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0034★拾ったからには………

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 ものごころついたころから…常にさげすまれ……馬鹿にされ……しいたげられた
 その原因が…すべて…悍ましい魔道具のセイだったコトを改めて実感する

 セシリアが、過去の口惜しさの原因に意識が向いている間に、奇跡は起きる。

 身体を取り巻く光り輝くモノがスゥーっと消えると、もふもふな羽毛姿のグリフォンの雛は、ムクリッと何事もなく起き上がった。

 そして、グリフォンの子はすぐさまセシリアの足にスリスリしだす。

 ピィィ~…ピィィ~…ピョピョピョピョッ……ピィ…ピィ……

 その愛らしい姿に、セシリアがほっこりしていると、腕の中からレオが言う。

 「レオの弟ぉ~…ママ…レオの弟……」

 グリフォンの雛が、なにを言っているかは理解らないけど、可愛いわねぇ…
 弟?……あら…じゃあ…この子は男の子なのねぇ…レオが嬉しそうなことぉ………

 嬉しそうなレオの言葉に、クスッと微笑う。

 「そうね…この子はレオの弟ね……」

 そこに、ルリが言う。

 「あら…生き返ったんだね、ソレ……リア…汚れているから、綺麗にした方が良いんじゃないかい……ユナが毛を逆立ているよ」

 ルリの言葉に、側に居るユナを見たら、たしかに尻尾の毛が限界まで膨らんでいるわ
 もしかして、スリスリで私の足が汚れるのがイヤってコトかな?

 まぁ~…確かに、グリフォンの雛は血塗れだったもんね
 そんなコト気にしないのにねぇ………ふふふふ……本当にユナは可愛いわぁ

 「ああ…確かに、そうね……」

 それじゃ…スリ付かれた足も一緒に、綺麗にしちゃいましょうか

 「綺麗になれっ」

 その瞬間、ふわりっと魔力が少し抜ける感覚を感じたわ
 やっと…自分の魔力を認識できるようになったのかな?

 あの悍ましい魔道具の群れのセイで、自分の魔力の動きすらわからなかった
 感知するコトが出来なくて…何度、手や足の見えないところを鞭で打たれたことか……

 その時の激しい痛みと、くやしさと、かなしさと、屈辱感などがないまぜになり、セシリアのこころの中に渦巻く。

 セシリアの魔力が不安定に揺らいだのを感じ取ったルリが、声をかける。

 「リア…ソレ…飼うのかい?……まだ、だいぶ小さいから、ちょっと成体まで育つかは疑問だよ……まして、育ちづらい異形だからねぇ………」

 言外に親が手に負えないと捨てたのを拾う覚悟あるのか?と、問い掛けて来るルリに、左腕にレオを抱いたまま、右腕に抱き上げる。

 「当然でしょ……私は、その程度のことで捨てたりしないわよ…この子も、私の子よ…レオの弟ね………ふふふふ………なんて名付けてあげようかなぁ~……」

 と、気持ちが明るい前向きな方を向いたコトにホッとしつつ、ルリはグレンに目配せする。

 「んじゃ、取り敢えずは、メシにしようぜ……腹減ったわ」

 そう言いながら、セシリアの両腕からレオとグリフォンの雛を取り上げる。

 「レオとグリフォンの雛は、ルリ用に取り分けた壷の中の細かくしてやるしかないな…
いや、レオの方は調理したモノでも大丈夫かな?」

 その言葉に、ルリが答える。

 「レオも、まだ弱いから、アタシが取っておけって言った生き血や生肉だね」

 ルリの言葉に、ガァーンという表情になるレオに、グレンは溜め息を付く。

 「了解…猛禽の子は育てたコトある……内臓を細かくしたのに、新鮮な血を混ぜてやれば良いんだよな……レオも同じで良いのか?」

 「ああ、レオも同じモンで良いよ……まだ、消化器官も未熟だからね」

 「……えぇぇぇ…ママの作ったの食べたいっ」

 と、頑張って主張するが、ルリにいっしゅうされる。

 「馬鹿を言うんじゃないよ……レオは、調理したモノなんて、上手く消化できないんだから……リアを哀しませたいのかい?……もうちょっと成長するまで諦めな」

 吸収できなくてやつれはてるのが目に見えているので、その内容を念話でセシリアに送り、内緒で調理したモノをあげないように事前に注意する。

 念話を受け取ったセシリアは、ちょっと肩を竦ませて、レオ達を振り返らず、塊り肉のひとつを手に取って、いそいそと調理しに移動する。

 「諦めるんだね……はぁ~…後で酒混ぜて血酒にして飲もうと思ったけど、そこの2人に譲ってやるよ……グレン、腹がポンポンになるまで食べさせてやりな」

 どちらも、栄養が足りてないんだからと、言外に言い置いて、ルリはセシリアの元へと猫科特有の無音で、優雅に歩いて行く。

 残されたグレンは、壷に入った内臓と鮮血で2人分のご飯を作り、食べきるまでちゃんと面倒を見るのだった。

 存外、面倒見の良いグレンだった。











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