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0027★ちょっと…いや…かなり乙女ゲーム疑惑が……
しおりを挟むはぁ~…ルリもカッコイイわぁ……この世界って美形が多くない?
いや、あのアゼリア王国は、そういう意味では問題外だけどね
だって、王太子ですら…ちょっと容姿が優れているだけの普通イケメンだったし
いや、前世の私の主観的に、好みじゃ無かっただけかもだけどね
前世の……あの時期、かなり流行っていたようなのよねぇ……
名前もわからない妹が激ハマりしていた、色々ありの乙女ゲーム
実際に、妹や何名かの同僚は、かなりエイダン王太子を押しって言っていたし
ああ……そう言えば、不遇な魔法使いの次男だか三男なんてのもいたような気が
結構、色とりどりの攻略対象いたみたいだったわねぇ………覚えてないけど
そう言えば、他にも同じ会社が作った乙女ゲームが、複数流行っていたのよねぇ
そんなコトをつらつらと思い出していたら、自分の見事な青灰色を帯びたストレートな超ロングな銀髪が視界に入り、ハッとする。
って……そう言えば、私の…この見事な……銀髪って…ヤバかったりするかも
うわぁ~…なんか…心配になってきちゃった……この姿が主人公とかないよね
悪役令嬢も無いよね……ないよね……うわぁ~…なんか心配になってきちゃった
けど、あまり興味なかったから…シチュエーションや構成メンバー知らないんだけど
もし……もしだよ……そういうヒロインや悪役令嬢の姿だったらどうしよう?
モブでも…危険は少ないけど不味いのよねぇ……あと、当て馬っていうのもあったわね
同じ制作会社が作った乙女ゲームだと、基礎設定とか同じってコトないよねぇ………
ヤダ…ヤダ…そんなコト考えたら…グレンだって、攻略対象のひとりに見えてきた
美形で能力があって、不遇の要素がアレば……うわぁぁぁ……攻略対象じゃないよね
もしそうだったら…私は…また、悪役令嬢?…それとも当て馬?
魔道具が全部外されたおかげで、アゼリア王国の穢れを浄化する役目から解放さけど
まぁ…肌の色も、ここ数日でほぼ本来の色に戻ってはいるけど………
誕生時に授かった色も………時空神に捧げたコトで………違う色に変わったけど
流石に、この私に……いまだにかなり寸胴の樽姿……ヒロイン枠は無いと思うけど
その可能性に気付き、ちょっとクラリッとしたセシリアの身体を、ルリの長く太いモフモフの尻尾が支える。
「……ちょっとぉ…だいじょうぶ?……マスター…無理しすぎたんじゃないの……」
はぁ~…ルリのもふもふの尻尾は、見掛け以上にしっかりしているし温かいわぁ~
なんか、ものすごく安心できるのよねぇ………じゃなくって……お腹の子
心配そうに言うルリに、セシリアはちょっと肩を竦める。
「ありがとう、ルリ……そう言えば、ルリは大丈夫なの…その…お腹の子……」
心配するセシリアに、ルリは嗤って言う。
「アタシの子達が、弱いわけ無いでしょ……この程度のコトで消えちまう軽い命なんで持ってないよ………ちゃんと、アタシがこの身体なら大丈夫よ」
えっ……アタシの子達って…複数いるってこと?……いや、猫は複数産みだったっけ
哺乳類は、乳首の数だけ1度の出産で産めるんだったっけか?
……あれ?…まぁいっかぁ~……ルリだもんね
はっきりとそう言うルリに、セシリアはちょっとホッとする。
そこに、今度はグレンが気遣うように言う。
「あぁー……無理していたんだな……なら、取り敢えず、御者は俺がやるよ…」
名前を呼ぶのをためらったグレンは、そう言って立ち上がる。
うーん……やっぱり超絶イッケメンよねぇ……この綺麗な真紅の長髪……なんだっけ
ほら……世界を分けた…火炎の飛竜……の人化した姿と…かなり似ているわ
あっ……また…乙女ゲームの攻略対象疑惑がムクムクどころじゃなく湧いてくるわ
いや…だって…俺様系の超絶イッケメン…真紅の長髪…立ち姿もりりしくて……
と、思考が飛んでから、セシリアは再びハッとする。
「あっ…その……名前……仮名で呼んでたけど……貴方の名前は?」
かなり一生懸命っぽいセシリアに、ペロリッと唇を舐めて、ニヤッと嗤いながら言う。
「グレンのままで良い……いや、リアが付けてくれた、グレンが良い…よろしくな」
そう言って、グレンはさっさと馬車の外へと向かう。
あぁぁ~…もう……格好良過ぎて…クラクラしちゃうし…顔が赤くなっちゃうんだけど
声も、本当に低めの声で……モロに好みの声なんですけど……
思わずひれ伏したくなるような……龍帝陛下のお声とはおもむきが違うけど
やっぱり……たまらない声だわぁ~…はぁ~…アレは耳元で聞いたらダメね
その後ろ姿と声に、ちょっとどころがかなり顔を赤くしながら、セシリアは頑張って声をかける。
「……グレン………取り敢えず、大国ゼフィランスに向かってくれる」
「了解…リア……あんたは、ゆっくりと休んでいろよ」
セシリアの言葉に、グレンは片手を軽くあげて背中を向けたまま、そう言い放ってそのまま馬車から出て行く。
後ろ姿の格好良さと、気遣いのある言葉に、セシリアはちょっと胸ときめかせながらもグレンを見送った。
そして、再びユナとルリを見てから、当座の心配なルリの腹部へと視線を向ける。
その視線にすぐさま気付いたルリは、ふふふふとちょっと妖しく微笑って言う。
「ふふふふ……マスター……今は獣人に見える姿しているけど…アタシは魔獣だよ」
ルリの言葉に、セシリアは肩を竦める。
「いや…それはちゃんとわかっているわ…でも、あんなにガリガリに痩せちゃって……ヨロヨロしていたから……心配なのよ……」
そう言えば、ルリはハンッと言って言い放つ。
「そりゃ…グレンのヤツが、根性ないからだよ……まったく、たかが生餌出されたぐらいで……メシを何日も喰えないなんて、根性ないったらありゃしないよ………」
溜め息混じりの言葉で、まさに姐さんという感じに言い放つルリに、セシリアはこれ以上は何を言っても無駄を感じて溜め息を内心で吐く。
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