上 下
13 / 173

0012★出た先はできたての『ダンジョン』らしい

しおりを挟む


 小部屋の扉を開けて、踏み出した先は、今まで居た小部屋よりもかなり大きな部屋だった。

 えぇーてぉ……小部屋の扉から出たら、また部屋なの?
 広さてきには、2倍より大きいけど3倍よりは小さいくらいかなぁ?

 さっきの小部屋が8畳よりやや大きいぐらいだったから………
 この部屋は、約20畳くらいかなぁ?………

 部屋の中を確認するように、ぐるっと見回す。

 あらあら………この部屋にも宝箱があるわ……それも、6つも………
 認識阻害とか隠蔽がかかった宝箱は、なさそうね………

 一応というコトで、耳飾り型の鑑定魔道具に魔力を通して確認する。

 宝箱1
 鍵有り
 財宝有り
 罠有り(毒弓矢)
 開錠方法
 宝箱の背後から両手で蓋の左右のへこみを押す
 同時に、魔力を流すと開錠される

 宝箱2 罠有り(睡眠ガス)
 鍵無し
 財宝有り
 
 宝箱3 罠有り(魔物の擬態)
 鍵無し
 財宝無し
 倒すと30%の確率で中級ポーションを落とす
 
 宝箱4 罠無し
 鍵有り
 財宝有り
 開錠方法
 正面中央の突起に魔力を流しながら全開する
 魔力を流すのを止めた瞬間に蓋が閉じる

 宝箱5 罠有り(魔物の擬態)
 鍵無し
 財宝無し
 倒すと20%の確率で中級ポーションを落とす

 宝箱6 罠有り(ファイアーボール)
 鍵有り
 財宝有り
 開錠方法
 宝箱の背後から両手で蓋の左右のへこみを押す
 同時に、魔力を流すと開錠される

 セシリアは、部屋の中にある宝箱の内容を確認し頷く。

 さて、ここで宝箱開けるのもねぇ………っと、そうだ………
 さっきみたいに、アイテムボックスに、宝箱を収納できないかな?

 ネット小説の物語りによっては、その場所から動かせないものあるみたいだけど………
 あっちでは、隠蔽されていた宝箱も、本体ごと収納できたのよねぇ………

 まぁ………ダメだったら、その時考えるってコトでやってみよう
 勿論、魔物が擬態したのは、生きているから入らないでしょうし………

 下手にかかわると、襲ってくる可能性があるからパスね………
 つーことで、宝箱3と宝箱5を抜いて、残りの宝箱は『収納』………

 セシリアは、安全を取って、ちゃんと財宝が入っている宝箱だけを、アイテムボックスに迷わず収納する。
 宝箱は何の抵抗もなく、今回もそのままアイテムボックスに吸い込まれた。

 宝箱を収納したセシリアは、改めて小部屋の中を見回す。

 ふ~ん………こっちは、壁画も無い、まんま削っただけの壁なのねぇ………
 って…今、この部屋に入って来た扉が消えているんですけどぉ………

 背後を振り返ったセシリアは、壁となっているコトに気付き嘆息する。

 ようするに、此処も一方通行なのねぇ………進むしかないってことね………
 となると、あっち側にある扉を開けるしかないってコトね………

 セシリアは、正面にある扉に向かって足を踏みだす。
 勿論、魔物が擬態した宝箱から出来るだけ距離を取ってである。

 距離にして約6メートルぐらいの距離を足早に歩き、セシリアはただひとつだけになった扉に手をかけて開く。
 と、ダダダダッという荒い駆け足の音と同時に、魔物の声らしい音が耳に入る。

 「ちょっとぉー………まじぃー……なんであんなにいるのよぉ~………」

 「知るかぁ~……バウが罠を踏んだからだろぉー………」

 「いっくらゴブリンっでも、あの数はないわっ………」

 「くそっ……って…扉付きの部屋がある……扉が開いたっ……警戒しろっ…」

 「ダメッ追い付かれるよぉぉー………」

 そんな声の中に、セシリアはひょっこりと部屋から出てしまった。
 セシリアが扉から出ると同時に、どうやら冒険者を追い駆けていたらしいゴブリンが急停止して、慌てて逃げて行く。

 まさに、ゴブリンに捕まる寸前だった女冒険者は、窮地を逃れたコトにホッとして崩れ落ちる。

 「カレン……大丈夫か?」

 抜き身の剣を持っている男の冒険者が慌てて、剣を鞘にしまい駆け寄る。

 「えーと……その…済みませんが、此処って何処なんでしょう?」

 目の前の冒険者パーティーらしい4人組に、セシリアは自分でもおまぬけだと思いつつも、声をかけた。

 セシリアの言葉に、ハッとして身構えてから、リーダーらしき男の冒険者が口を開く。

 「あぁ……ここは何処って……できたばかりの『ダンジョン』だろうがぁ………」

 その言葉に、セシリアは嘆息する。

 あははは………どっかのできたての『ダンジョン』に出たわけね………
 じゃなくって………外で…名乗る名前考えて無かったぁ………

 もう、このさいセシリアから一部をとって、リアって名前で良いかなぁ………
 嘘を交えて、それらしいコトを言って、現在地を知らないとねぇ……はぁ~……

 「そのぉ………なんか、変な転移魔法陣を踏んだらしくて………」

 心底困っていますというニュアンスを含ませながら、セシリアはサッと鑑定魔道具に魔力を流して確認する。

 デュバイン(20)
 剣士

 バウ(19)
 盾役

 カレン(20)
 魔法使い

 エルザ(19)
 盗賊

 ………????……えぇーとぉ……これだけぇ?
 宝箱は、鑑定したら詳細が出たのに………

 この人達は、名前と…たぶん、年齢て……ジョブ?だけ?
 う~ん………もしかして、鑑定をした回数によるとか………

 そう言えば、宝箱も最初の頃はろくな情報出なかったような気が………
 魔道具ってそういうモノなのかなぁ?………よくわからないわぁ………

 困っているとう雰囲気が滲みきっているセシリアに、4人は視線を交わしてから、剣を装備する男の冒険者が再び口を開く。
 

 








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢に婚約破棄されたので、人間やめました

えながゆうき
ファンタジー
 うー、ダイエット、ダイエットー!  子爵家の庭を必死に走っている俺は、丸々太った、豚のような子爵令息のテオドール十五歳。つい先日、婚約者の伯爵令嬢にフラれたばっかりの、胸に大きな傷を負った漆黒の堕天使さ。髪はブロンド、瞳はブルーだけど。  貴族としてあるまじき醜態はすぐに社交界に広がり、お茶会に参加しても、いつも俺についてのヒソヒソ話をされて後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも!  そんなわけで、俺は少しでも痩せるために庭を毎日走っている。でも、全然痩せないんだよね、何でだろう?  そんなことを考えながら走っていると、庭の片隅に見慣れない黒い猫が。  うは、可愛らしい黒猫。  俺がそう思って見つめていると、黒い猫は俺の方へと近づいてきた! 「人間をやめないかい?」 「いいですとも! 俺は人間をやめるぞー!!」  と、その場の空気に飲まれて返事をしたのは良いけれど、もしかして、本気なの!? あ、まずい。あの目は本気でヤる目をしている。  俺は一体どうなってしまうんだー!! それ以前に、この黒い猫は一体何者なんだー!!  え? 守護精霊? あのおとぎ話の? ハハハ、こやつめ。  ……え、マジなの!? もしかして俺、本当に人間やめちゃいました!?  え? 魔境の森にドラゴンが現れた? やってみるさ!  え? 娘を嫁にもらってくれ? ずいぶんと地味な子だけど、大丈夫?  え? 元婚約者が別のイケメン男爵令息と婚約した? そう、関係ないね。  え? マンドラゴラが仲間になりたそうな目でこちらを見てる? ノーサンキュー!  え? 魔石が堅くて壊せない? 指先一つで壊してやるよ!  え? イケメン男爵令息が魔族だった? 殺せ!  何でわざわざ俺に相談しに来るんですかねー。俺は嫁とイチャイチャしたいだけなのに。あ、ミケ、もちろんミケともイチャイチャしたいよー?

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

転生後モブ令嬢になりました、もう一度やり直したいです

月兎
恋愛
次こそ上手く逃げ切ろう 思い出したのは転生前の日本人として、呑気に適当に過ごしていた自分 そして今いる世界はゲームの中の、攻略対象レオンの婚約者イリアーナ 悪役令嬢?いいえ ヒロインが攻略対象を決める前に亡くなって、その後シナリオが進んでいく悪役令嬢どころか噛ませ役にもなれてないじゃん… というモブ令嬢になってました それでも何とかこの状況から逃れたいです タイトルかませ役からモブ令嬢に変更いたしました ******************************** 初めて投稿いたします 内容はありきたりで、ご都合主義な所、文が稚拙な所多々あると思います それでも呼んでくださる方がいたら嬉しいなと思います 最後まで書き終えれるよう頑張ります よろしくお願いします。 念のためR18にしておりましたが、R15でも大丈夫かなと思い変更いたしました R18はまだ別で指定して書こうかなと思います

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

神様のサウナ ~神様修業がてらサウナ満喫生活始めました~

イタズ
ファンタジー
定年を機に、サウナ満喫生活を行っていた島野守。 極上の整いを求めて、呼吸法と自己催眠を用いた、独自のリラックス方法『黄金の整い』で、知らず知らずの内に神秘の力を身体に蓄えていた。 そんな中、サウナを満喫していたところ、突如、創造神様に神界に呼び出されてしまう。 『黄金の整い』で得ていた神秘の力は、実は神の気であったことが判明し、神の気を大量に蓄えた身体と、類まれなる想像力を見込まれた守は「神様になってみないか?」とスカウトされる。 だが、サウナ満喫生活を捨てられないと苦悶する守。 ならば異世界で自分のサウナを作ってみたらどうかと、神様に説得されてしまう。 守にとって夢のマイサウナ、それが手に入るならと、神様になるための修業を開始することに同意したとたん。 無人島に愛犬のノンと共に放り出されることとなってしまった。 果たして守は異世界でも整えるのか? そして降り立った世界は、神様が顕現してる不思議な異世界、守の異世界神様修業とサウナ満喫生活が始まる! *基本ほのぼのです、作者としてはほとんどコメディーと考えています。間違っていたらごめんなさない。

ヒロインに悪役令嬢呼ばわりされた聖女は、婚約破棄を喜ぶ ~婚約破棄後の人生、貴方に出会えて幸せです!~

飛鳥井 真理
恋愛
それは、第一王子ロバートとの正式な婚約式の前夜に行われた舞踏会でのこと。公爵令嬢アンドレアは、その華やかな祝いの場で王子から一方的に婚約を解消すると告げられてしまう……。しかし婚約破棄後の彼女には、思っても見なかった幸運が次々と訪れることになるのだった……。 『婚約破棄後の人生……貴方に出会て幸せです!』  ※溺愛要素は後半の、第62話目辺りからになります。 ※ストックが無くなりましたので、不定期更新になります。 ※連載中も随時、加筆・修正をしていきます。よろしくお願い致します。 ※ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

幼馴染の婚約者聖女が勇者パーティー追放されたから、俺も一緒に離脱する事にした。

古森きり
ファンタジー
幼馴染の聖女セレーナは前世の記憶を持つ転生者。 それを打ち明けられた時、それはもう驚いた。 だが、俺の想いは変わらない。ずっと君の側で君を守る。 そう約束した数年後、神託通りに異世界から勇者が召喚されてきた。 しかし召喚されてきたニホンジン、ユイ殿はとんでもない我が儘娘。 なんと、婚約者のいる俺に言い寄ってきた。 拒むとなぜかセレーナをパーティーから追放すると言い出したので、俺も我慢の限界を迎え、セレーナを追ってパーティーを出て行く事にした。 「結婚前の独身最後の旅行にしようか」 「ヤダー、もうライズったらぁー!」 魔王? 知らん。 ※ノベルアップ+さんにえげつない読み直しナッシング書き溜め中。 改稿版は小説家になろう、カクヨム、アルファポリスに掲載予定です。

処理中です...