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0007★魔法陣で移動した先は…………
しおりを挟むスゥーっとエレベーターに乗った時のような感覚に包まれた次の瞬間、セシリアは狭い小部屋の中に立っいた。
えぇーとぉ…ここは何処かしら?
あの古代遺跡の中の部屋の規模では最小よねぇ………
辺りを見回せば、ちゃんと灯かりが点って居るので、見える。
扉があるわね………さて、探検といきますか………
完全に魔法陣の稼働が停止したのを確認し、セシリアは足を踏み出す。
セシリアの歩幅で20歩程の距離にあった扉は、セシリアが指先を触れさせただけで、音もなくスゥーっと開いた。
あら…簡単に開くのね………何か手続きが必要かと思ったのに?
取り敢えずは、探索しないとね
そう思い、部屋から出ると、足元が仄かに光り…ポッ……ポッ……ポッ……と光り点が、勝手に点いて行く。
「えーとぉ……これって、道しるべなのかしら?」
何処に向かっているかは、わからないけど…………
まぁ、どのみち行先が決まってないまだから、行ってみましょうか?
軽い気持ちで、セシリアは足元が導く光りに誘われるように、歩き続ける。
だんだんと道が細くなり、灯かりの光量が減る道しるべに、セシリアは焦る。
えぇーとぉ……なんか道しるべの灯かりが小さくなっていってるんですけど
周囲の灯かりもほとんど消えて来ているしぃ………
あのスイッチに込めた魔力が終わりかけてるとか…………
うわぁ~ん…………もっと魔力を込めればよかったぁぁぁぁぁ…………
心の中で、泣き言を言いながら、足元の灯かりを見ていた為、セシリアは顔を上げるコトもなく歩き続ける。
もし、ここで顔を上げ、左右を確認していたら、悲鳴を上げていただろう。
何故なら、セシリアの歩く細い道は、地上の世界では、既に幻獣扱いとなっている魔物達が、彫像のように立ち並んでいたのだから。
だが、疲労からちょっとどころじゃなく思考力が低下しているセシリアは、道しるべを見失わないようにと周囲に気を配る余裕は無かった。
か細くなった道しるべの灯かりは、けしてセシリアの視界を明瞭にはしなかった。
うわぁ~……道しるべの灯かりが消えそうだよぉぉぉ…………
こんなイベントってあったぁ?
そう思いつつ、セシリアはひたすら今にも消えそうな道しるべの灯かりを頼りに歩き続けた。
気が付けば、周囲は無音の真っ暗闇になっており、下手に『ライト』など唱えたら、道しるべの灯かりを見失う状態になっいた。
精神集中を切らさないようにしながら、セシリアは道しるべの灯かりを追い続けた。
どのぐらい歩いたかも分からなくなった頃、道しるべの灯かりがセシリアの目前でフッと消える。
あぁぁぁぁぁ~………消えちゃったよぉぉぉ~………
こっから何処に行けば良いのぉぉ~………
もう、こうなったら、足元に魔力を流してみるしかないわね
上手くいけば、この空間の灯かりの回路に魔力流せるかもだし…………
セシリアは、スッとしゃがみ込み、両掌を床に着けて魔力を流し込んだ。
その途端に、セシリアを中心として、ポッポポポポッという音を立てながら、魔法陣が足元に浮かび上がった。
足元に浮かぶ魔法陣に、セシリアは内心でホッとする。
なんだぁぁ~………次の魔法陣に到着していたんだ
でも、危なかったなぁ~……
はぁ~……今度からは、ちゃんと十分に魔力を流し込もう
取り敢えず、もう少し流しとかないとね
途中で、電池切れならぬ魔力切れは御免だわ
周囲を見回せないと、方向も判らないもの
「はぁ~………これだけ込めておけば良いかしら?」
無意識に呟くセシリアに、答える声が響く。
『十分だよ、お嬢さん………最後に灯かりを見られるとは………』
その声に、びっくりしつつも、セシリアはその正体を知っていたので、無様に泣き喚くというコトをせずにすんだ。
「えーとぉ………龍帝陛下…様…ですよね………」
居るとは噂されていたけど、巡り逢えなかった存在。
ただ、その声は前世のセシリアも大好きな声優さんだったのでピンッときたのだ。
顔を上げれば、眼前には前世の日本でおなじみの東洋の龍神と呼ばれる存在がとぐろを巻くような姿で鎮座していた。
が、その身体には、無数の澱んだ暗褐色の鎖が絡み付き、その先にはいくつもの楔が射ち込まれていた。
あまりにも惨いその姿に、今までの自分の姿と重ねてしまったセシリアは、思わず無意識に呟く。
「………っ……ひ…どい………」
愕然とするセシリアの鳩尾に、ズクリッとした激しい痛みが走り、次いで全身のあちこちに痛みが伝播し、声に成らない悲鳴を上げる。
……ひっ………つぅ……いったい…この痛み……は…なに?………
全身が締め付けられてあちこちが痛いんですけどぉぉぉ………
そこで、セシリアはハッとする。
自分が感じている痛みは、目の前の龍神………龍帝陛下………が、感じているモノだと悟る。
これって……共鳴?…とか……共振?……ああ……レゾナンスのがあうかな………
ぼう然自失になりながらも、セシリアは最初に痛みを感じた鳩尾に手を無意識に持って行く。
………っ……あっ………ここに……魔封石……埋められてる………
あの……大魔道師だとかいう……エセ魔法使いに………
思い出したと同時に、セシリアは右手の指先に魔力を集めて、埋め込まれた魔封石を無理やり鷲掴み、体外に引き摺り出した。
腹部から全身へと走り抜ける激痛を、涙を流しながらこらえ、セシリアは反対の左手をあてて、懸命に『ヒール』をかける。
本当なら、先ほど見付けた『エリクサー』を使うべきなのだが、この時のセシリアはそこまで思考が回らなかった。
私に埋められた魔封石と、この龍帝陛下に埋められているのは双子石だ
いや……もとは、ひとつの精霊王の靈石で出来たモノだったはず………
あれ?………妹がやってた……攻略ン時…………魔封石に………あれ?
………えぇ~…なんか…変な知識が混じってるぅぅ?………
あ…ぅぅぅぅぅ………どうしてぇぇ………そんなの……識ってるのぉ?
いやいや…いやいや……じゃなくてぇぇぇー………今は………
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