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31.お着替えはリップなサービスの後で*
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プールの授業が終わった後に更衣室で着替えようとしたら、ある二人に声かけられ話し込んでいたら、いつの間にか周りにはもう一之瀬と他にその二人だけだった。
その二人に上手く乗せられてシャワー室の個室に連れ込まれた。扉の前を塞ぐように囲まれてしまっては退却不可能で逃げられない状態だ。大の男三人が上半身裸の水着姿でぎゅうぎゅう詰めの狭い密室にいる事事態がおかしい上にこの男臭く暑苦しい空間に少々眩暈がしてくる。
「更衣室には僕らで最後みたいだ。多少声が漏れても外には聞こえないね」
「ここだったら、誰にも見られねぇだろ? 我慢してたからいいよな」
「一体何を……」
春風と花岡の行動に状況がよく飲み込めないでいると、花岡が一之瀬の両腕を掴んで胸の突起に口を含んで甘噛みしたりくちくちと舌で愛撫する。
(信じらんねぇぇ、女じゃねーのに胸舐めやがった)
「あ…………うっ……やめろっ!!」
「一之瀬、何すんだっ」
「それはこっちの台詞だ、馬鹿タレ」
男がこんなかの場所を感じて恥ずかし過ぎて堪らずに花岡の頭を手で押さえて制止させる。花岡は不満を口にしたが、当然ながら透かさず強めに突っ込んだ。一之瀬のその態度に花岡は叱られた子犬のようにしゅんとしている。
耳が垂れてる犬に見えて可愛いけど、やってる事は全然可愛くねぇ……。
「一之瀬が嫌がるような事をしないんだったよね? 大佑。僕だってさわ……いや、ともかく悪ふざけはそれ位にしなよ」
「俺はずぅっと本気だ。中途半端な気持ちで手を出してるんじゃねーからいいだろっ!」
「ただの仲の良い友達相手に手出しするのはいただけないなぁ。それは一之瀬に対して不誠実じゃないのかな?」
「お前が先に手ぇ出したんだろぉ! 優ばっかずりぃ」
「うーん、どうだったかなぁ? でもお互いに同意であれば全然問題ないな。一方的な感情で無理矢理じゃなければ……ね」
「惚けんなよっ! お前のやり方が……──」
幼馴染同士の二人の口喧嘩が勃発した。呆然として止めるか否か考えながらやり取りを眺めていたら頭の奥が何か妙な感覚に包まれる。
(何だ……? この光景は。既視感のような気が……ずっと昔の……何故か懐かしい)
“一之瀬にずっとくっつくなよ! 今から俺とリフティングで勝負すんだよ!”
“昨日も今日も──ちゃんばっかりで狡いよぉっ”
“お前だって……”
“──ちゃんだって……”
一瞬、部分的に過去の記憶が蘇った。
その時の俺は確か……こう話した。
「わーった、わかった。お前らのやりたいものを二人で決めろよ。喧嘩ばっかすんな」
勝手にポロッと声に出てしまって自然と腕で包み込むように二人の片肩を軽く叩いた。ポカンとしていた春風と花岡が二人見合って一度頷いて口を開いた。
「一之瀬がそう言うんだったら遠慮なんてしないよ。本当にやってもいいんだよね?」
「嫌だったら、断れよ!?」
「二人して何する気なんだよ……」
熱っぽい目をしてにじり寄る二人に若干引いた。二人は何をしようとしているのか想像がつかない。
「今から僕ら二人で一之瀬を一生懸命に奉仕をしようと考えてたんだ。不完全燃焼じゃあ疲れが溜まって可哀想だからね」
「優から持ち出したんだぜ? 一之瀬が疲れてるから癒してやりてぇ」
(……奉仕? 不完全燃焼?)
あぁ、そうかとマッサージでもしようとしてんのか。なかなか気が利くんじゃないかと感心する。だが、何故三人でわざわざシャワー室に入る必要があるんだ。
「まぁ、別にいいか。奉仕でも何でも受けて立つぜ」
肯定的な返事をした。それを聞いた花岡がマジかっ、と何故か嬉しそうに目を輝かせる。春風は穏やかな笑顔をして何か思い出したかのように優しく声を出した。
「そうそう、昨日は全然出来なくて残念だったね。珍しく上手くいけなかったんだよね?」
「昨日どっかに行く予定だったのか? 一之瀬」
「は? 何の事だよ」
春風の言葉に何の話かさっぱりわからずに聞き返した。ちなみに昨日は寄り道してもいないし、どこにも行ってない。
「それで昨晩は何を想像して発散しようとしてたのかな。刺激的な癒し系の動画? それともまたお気に入りの子の卑猥な本とか……」
春風が強張っている表情で詰め寄ってくる。その春風の話で何となく思い当たる節があってぎくりとする。あれをしていた事を指しているんじゃないかと脳裏に過ぎる。
でもま、まさかな……。
「いやーさ、何の事かさっぱりなんだが……」
「あんな胸だけの素人系の女の子じゃあ身も心も気持ち良くなれないよね? もっと身近で相応しい人を選ばないと」
「な、何故それを……」
さっきまでの会話を全て聞いて昨夜に素人系の惣菜を嗜みながらあれの処理をしていたのがバレていた。何故春風が一之瀬の性事情を詳しく把握してるのか恐ろしくて聞けない。こいつ実はエスパーではないかと疑ってしまう。
「一人でやってたのか!? 一之瀬が一人でやってるとこ見たかった……」
花岡は頭を抑えて残念そうな顔をしていた。春風も「僕も近くで見たかったなぁ」とにこやかに同意した。同性のあれの処理してる現場を見たいとは相当な変わり者だ。
「時間がないからすぐに始めよう。長引いてお腹を空かしている一之瀬がお昼ご飯を食べそびれたら大変だからな」
「気持ち良くさせるから安心しろよ。痛がる事はぜってぇしねぇから」
(へ? ここですんの? てかマッサージ……なんだよな?)
疑念を抱くも考えてる余地もなく大の男二人が一之瀬との距離を詰めてくる。下がろうにも背中には壁。これは絶体絶命のピンチではないかと冷や汗をかきながら焦った。
その二人に上手く乗せられてシャワー室の個室に連れ込まれた。扉の前を塞ぐように囲まれてしまっては退却不可能で逃げられない状態だ。大の男三人が上半身裸の水着姿でぎゅうぎゅう詰めの狭い密室にいる事事態がおかしい上にこの男臭く暑苦しい空間に少々眩暈がしてくる。
「更衣室には僕らで最後みたいだ。多少声が漏れても外には聞こえないね」
「ここだったら、誰にも見られねぇだろ? 我慢してたからいいよな」
「一体何を……」
春風と花岡の行動に状況がよく飲み込めないでいると、花岡が一之瀬の両腕を掴んで胸の突起に口を含んで甘噛みしたりくちくちと舌で愛撫する。
(信じらんねぇぇ、女じゃねーのに胸舐めやがった)
「あ…………うっ……やめろっ!!」
「一之瀬、何すんだっ」
「それはこっちの台詞だ、馬鹿タレ」
男がこんなかの場所を感じて恥ずかし過ぎて堪らずに花岡の頭を手で押さえて制止させる。花岡は不満を口にしたが、当然ながら透かさず強めに突っ込んだ。一之瀬のその態度に花岡は叱られた子犬のようにしゅんとしている。
耳が垂れてる犬に見えて可愛いけど、やってる事は全然可愛くねぇ……。
「一之瀬が嫌がるような事をしないんだったよね? 大佑。僕だってさわ……いや、ともかく悪ふざけはそれ位にしなよ」
「俺はずぅっと本気だ。中途半端な気持ちで手を出してるんじゃねーからいいだろっ!」
「ただの仲の良い友達相手に手出しするのはいただけないなぁ。それは一之瀬に対して不誠実じゃないのかな?」
「お前が先に手ぇ出したんだろぉ! 優ばっかずりぃ」
「うーん、どうだったかなぁ? でもお互いに同意であれば全然問題ないな。一方的な感情で無理矢理じゃなければ……ね」
「惚けんなよっ! お前のやり方が……──」
幼馴染同士の二人の口喧嘩が勃発した。呆然として止めるか否か考えながらやり取りを眺めていたら頭の奥が何か妙な感覚に包まれる。
(何だ……? この光景は。既視感のような気が……ずっと昔の……何故か懐かしい)
“一之瀬にずっとくっつくなよ! 今から俺とリフティングで勝負すんだよ!”
“昨日も今日も──ちゃんばっかりで狡いよぉっ”
“お前だって……”
“──ちゃんだって……”
一瞬、部分的に過去の記憶が蘇った。
その時の俺は確か……こう話した。
「わーった、わかった。お前らのやりたいものを二人で決めろよ。喧嘩ばっかすんな」
勝手にポロッと声に出てしまって自然と腕で包み込むように二人の片肩を軽く叩いた。ポカンとしていた春風と花岡が二人見合って一度頷いて口を開いた。
「一之瀬がそう言うんだったら遠慮なんてしないよ。本当にやってもいいんだよね?」
「嫌だったら、断れよ!?」
「二人して何する気なんだよ……」
熱っぽい目をしてにじり寄る二人に若干引いた。二人は何をしようとしているのか想像がつかない。
「今から僕ら二人で一之瀬を一生懸命に奉仕をしようと考えてたんだ。不完全燃焼じゃあ疲れが溜まって可哀想だからね」
「優から持ち出したんだぜ? 一之瀬が疲れてるから癒してやりてぇ」
(……奉仕? 不完全燃焼?)
あぁ、そうかとマッサージでもしようとしてんのか。なかなか気が利くんじゃないかと感心する。だが、何故三人でわざわざシャワー室に入る必要があるんだ。
「まぁ、別にいいか。奉仕でも何でも受けて立つぜ」
肯定的な返事をした。それを聞いた花岡がマジかっ、と何故か嬉しそうに目を輝かせる。春風は穏やかな笑顔をして何か思い出したかのように優しく声を出した。
「そうそう、昨日は全然出来なくて残念だったね。珍しく上手くいけなかったんだよね?」
「昨日どっかに行く予定だったのか? 一之瀬」
「は? 何の事だよ」
春風の言葉に何の話かさっぱりわからずに聞き返した。ちなみに昨日は寄り道してもいないし、どこにも行ってない。
「それで昨晩は何を想像して発散しようとしてたのかな。刺激的な癒し系の動画? それともまたお気に入りの子の卑猥な本とか……」
春風が強張っている表情で詰め寄ってくる。その春風の話で何となく思い当たる節があってぎくりとする。あれをしていた事を指しているんじゃないかと脳裏に過ぎる。
でもま、まさかな……。
「いやーさ、何の事かさっぱりなんだが……」
「あんな胸だけの素人系の女の子じゃあ身も心も気持ち良くなれないよね? もっと身近で相応しい人を選ばないと」
「な、何故それを……」
さっきまでの会話を全て聞いて昨夜に素人系の惣菜を嗜みながらあれの処理をしていたのがバレていた。何故春風が一之瀬の性事情を詳しく把握してるのか恐ろしくて聞けない。こいつ実はエスパーではないかと疑ってしまう。
「一人でやってたのか!? 一之瀬が一人でやってるとこ見たかった……」
花岡は頭を抑えて残念そうな顔をしていた。春風も「僕も近くで見たかったなぁ」とにこやかに同意した。同性のあれの処理してる現場を見たいとは相当な変わり者だ。
「時間がないからすぐに始めよう。長引いてお腹を空かしている一之瀬がお昼ご飯を食べそびれたら大変だからな」
「気持ち良くさせるから安心しろよ。痛がる事はぜってぇしねぇから」
(へ? ここですんの? てかマッサージ……なんだよな?)
疑念を抱くも考えてる余地もなく大の男二人が一之瀬との距離を詰めてくる。下がろうにも背中には壁。これは絶体絶命のピンチではないかと冷や汗をかきながら焦った。
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