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22.ロリは可愛いとは限らない2
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トイレに行くのをやめて時間を潰すために散歩がてら目的もなく階段を下りた。一階には中庭があってそこで時間を潰そうと歩いた。
一階の中庭で女の子がベンチに座っていてうたた寝をしていた。珍しい薄桃色の長めの髪に興味が湧き近寄って見ると、そこには小学四、五年位の女の子だろうか。高校生にしては小柄な女の子。
この学園は小中学もある一貫校だったっけかと考えたが、ここは普通の私立学園だ。そんな訳はない。この学園の制服を着てるという事は一応生徒なんだよな。
日の光に透けてきらきらと反射している。輝いて艶やかな髪に視線が釘付けになった。見ていたら、女の子が目を擦り気配に気付いたのかこちらに視線を向けた。
「お前……まさか、居眠りをしてる無防備なこの私を襲おうとしたな!?」
「はぁぁ!?」
何言ってるんだ、こいつは。確かに女の子をじっと見てたのは不味かったかもしれない。そう勘違いされても仕方がないのか。
「このケダモノめ。私の身体をいやらしい目で見るとは破廉恥な奴だ!」
彼女は頬を赤くして恥ずかしながら、ふるふると震え自分の身体を抱き締めるような仕草をしている。
「んなもん見てねーわ」
「でもまぁ、お前ならちょっとだけ見せてやらない事はない」
一之瀬の否定の言葉に何を思ったのか恥ずかしがる素振りを止めて自分のシャツのボタンを手にする。そんな彼女に一之瀬は待て、と制止させた。何しようとしてんだ、ちみは。
「それは駄目だろぉぉ!」
「お前は私の身体は興味ないのか? 見よ、この曲線美を!」
片手を腰に当ててアピールしている。全く興味がない幼児体型の女の子にまな板な胸、くびれが感じられない腰を見せ付けられても萎えるだけだ。一之瀬は決してそんな性癖は持ってはいない。
「俺はロリコンじゃねぇー!!」
「ろりこん?」
彼女はその言葉を聞いて意味を理解してないのかきょとんとした顔をしている。
「ロリコンを知らないのか?」
「……ああ、あれだな? 巷で有名なあれな!」
「一般的に有名かは知らんが、オタク界隈では知らねぇ奴なんていないだろう」
「そうか。確かロリコンとやらはロリータコンプレックスの略した言葉で幼き女子供のみを対象に性的興奮を抱き、あわよくば乳触りたい、というか乳繰りたい人間の性癖の事を言うのだな! これで合ってるな?」
「多分間違っちゃあいないけど、君みたいな女の子が言っちゃうと何だかな……」
さらりと得意気に説明する姿はいろんな意味で圧倒された。もはや思春期真っ盛りの女子がいう台詞ではないと一之瀬は思う。
「それ、やめてくれ。君って呼び方はまるで子供みたいな言い方じゃないか」
いや、見た目は子供だろ、という突っ込みは言葉にせずに飲み込んだ。
「じゃあ、名前はなんなんだよ。これじゃ何も呼べねーだろうが」
「おお、自己紹介がまだだったな。すまない」
彼女は一度咳払いをして口を開く。その綺麗な目には自信があって女の子なのに逞しく見える。
「私は二年C-四組、化学研究科の北條院司だ。よろしく頼む」
いかにも金持ちでいそうな苗字だな。院が付く苗字はもれなく富豪と相場が決まっている。二次元の世界の話ではな。
──今、四組と言ったか?
(この女の子は四組だと!?)
この学園には各学年に普通科、コンピュータ科、化学研究科の三つの学科が存在する。普通科はローマ字でAで二組までクラスがあり、コンピュータ科はBで四組まで、化学研究科はCでこちらも四組まであるのだが、その四組こそがある意味で強者揃いのエリートクラスだ。
四組は学力の偏差値が他の組よりもずば抜けて高く授業内容もレベルが高い。選ばれし者しか入れないクラスである。ちなみに一之瀬はA-1組の普通科だ。四組は特別進学クラス、略して特進クラスという。学年の期末と中間のテストの結果の順位は毎回張り出されるが、特進クラスの者だけは除かれる。
特に化学研究科は三つの学科の中で学力の偏差値は断トツに高く天才故か頭のおかしい奴らが集まっているという噂だ。化学研究科で特進クラスという事はこの女の子は相当に頭が切れるようだ。
しかし注目するべきスポットはそこだけではなかった。この女の子は二年と発言していた。
「先輩だったのか……いや、先輩でしたか。すんません。俺、タメ口使ってしまって」
「ほうほう、というとその反応はお前、一年のようだな。わざわざ言い直す必要はなかったのだが。お前は意外と律儀な奴なんだな」
「そういえば、まだ名乗ってなかったっすね。俺は一年A-1組の一之瀬弥太郎です」
「一之瀬だな」
お前の名前はしかと覚えたぞ、と北條院先輩は自信満々で答えた。
「私はこの中庭かもしくは非公認の化学研究愛好会の部長をやっているから今度、校舎の北館三階に来るがいい」
「……非公認ってどういう事っすか?」
「それはだが……」
北條院先輩に疑問を聞いた。非公認とは学園で公認されていない部活の事で部費や空き部屋の貸し出し費用などが学園で出ないためその部活に所属してる人の自費らしい。しかも部の顧問も個人で探さないといけない。
「それって部のみんなが支払ってんすか? 莫大な金額になるんじゃ……」
「全額、私の方で支払ってる。私が立ち上げた部活なのだから、私が払うのは当然だ!」
「……へ?」
この子はガチの金持ちじゃないか。一体何者なのかと謎が深まるばかりだ。
「まぁ、気軽に遊びに来い。一之瀬だったら歓迎するぞ!」
姿は子供みたいに可愛いらしいのに自信あり気な表情できりっとした顔つきをしてギャップで笑ってしまう。北條院先輩は何を笑っているんだ? と問う。
「いや、北條院先輩は素敵だなって思っただけです」
「そうか……」
北條院先輩は視線を外してちょっと照れてる様子だ。そういう表情は年相応で可愛いと思ってしまった。
一階の中庭で女の子がベンチに座っていてうたた寝をしていた。珍しい薄桃色の長めの髪に興味が湧き近寄って見ると、そこには小学四、五年位の女の子だろうか。高校生にしては小柄な女の子。
この学園は小中学もある一貫校だったっけかと考えたが、ここは普通の私立学園だ。そんな訳はない。この学園の制服を着てるという事は一応生徒なんだよな。
日の光に透けてきらきらと反射している。輝いて艶やかな髪に視線が釘付けになった。見ていたら、女の子が目を擦り気配に気付いたのかこちらに視線を向けた。
「お前……まさか、居眠りをしてる無防備なこの私を襲おうとしたな!?」
「はぁぁ!?」
何言ってるんだ、こいつは。確かに女の子をじっと見てたのは不味かったかもしれない。そう勘違いされても仕方がないのか。
「このケダモノめ。私の身体をいやらしい目で見るとは破廉恥な奴だ!」
彼女は頬を赤くして恥ずかしながら、ふるふると震え自分の身体を抱き締めるような仕草をしている。
「んなもん見てねーわ」
「でもまぁ、お前ならちょっとだけ見せてやらない事はない」
一之瀬の否定の言葉に何を思ったのか恥ずかしがる素振りを止めて自分のシャツのボタンを手にする。そんな彼女に一之瀬は待て、と制止させた。何しようとしてんだ、ちみは。
「それは駄目だろぉぉ!」
「お前は私の身体は興味ないのか? 見よ、この曲線美を!」
片手を腰に当ててアピールしている。全く興味がない幼児体型の女の子にまな板な胸、くびれが感じられない腰を見せ付けられても萎えるだけだ。一之瀬は決してそんな性癖は持ってはいない。
「俺はロリコンじゃねぇー!!」
「ろりこん?」
彼女はその言葉を聞いて意味を理解してないのかきょとんとした顔をしている。
「ロリコンを知らないのか?」
「……ああ、あれだな? 巷で有名なあれな!」
「一般的に有名かは知らんが、オタク界隈では知らねぇ奴なんていないだろう」
「そうか。確かロリコンとやらはロリータコンプレックスの略した言葉で幼き女子供のみを対象に性的興奮を抱き、あわよくば乳触りたい、というか乳繰りたい人間の性癖の事を言うのだな! これで合ってるな?」
「多分間違っちゃあいないけど、君みたいな女の子が言っちゃうと何だかな……」
さらりと得意気に説明する姿はいろんな意味で圧倒された。もはや思春期真っ盛りの女子がいう台詞ではないと一之瀬は思う。
「それ、やめてくれ。君って呼び方はまるで子供みたいな言い方じゃないか」
いや、見た目は子供だろ、という突っ込みは言葉にせずに飲み込んだ。
「じゃあ、名前はなんなんだよ。これじゃ何も呼べねーだろうが」
「おお、自己紹介がまだだったな。すまない」
彼女は一度咳払いをして口を開く。その綺麗な目には自信があって女の子なのに逞しく見える。
「私は二年C-四組、化学研究科の北條院司だ。よろしく頼む」
いかにも金持ちでいそうな苗字だな。院が付く苗字はもれなく富豪と相場が決まっている。二次元の世界の話ではな。
──今、四組と言ったか?
(この女の子は四組だと!?)
この学園には各学年に普通科、コンピュータ科、化学研究科の三つの学科が存在する。普通科はローマ字でAで二組までクラスがあり、コンピュータ科はBで四組まで、化学研究科はCでこちらも四組まであるのだが、その四組こそがある意味で強者揃いのエリートクラスだ。
四組は学力の偏差値が他の組よりもずば抜けて高く授業内容もレベルが高い。選ばれし者しか入れないクラスである。ちなみに一之瀬はA-1組の普通科だ。四組は特別進学クラス、略して特進クラスという。学年の期末と中間のテストの結果の順位は毎回張り出されるが、特進クラスの者だけは除かれる。
特に化学研究科は三つの学科の中で学力の偏差値は断トツに高く天才故か頭のおかしい奴らが集まっているという噂だ。化学研究科で特進クラスという事はこの女の子は相当に頭が切れるようだ。
しかし注目するべきスポットはそこだけではなかった。この女の子は二年と発言していた。
「先輩だったのか……いや、先輩でしたか。すんません。俺、タメ口使ってしまって」
「ほうほう、というとその反応はお前、一年のようだな。わざわざ言い直す必要はなかったのだが。お前は意外と律儀な奴なんだな」
「そういえば、まだ名乗ってなかったっすね。俺は一年A-1組の一之瀬弥太郎です」
「一之瀬だな」
お前の名前はしかと覚えたぞ、と北條院先輩は自信満々で答えた。
「私はこの中庭かもしくは非公認の化学研究愛好会の部長をやっているから今度、校舎の北館三階に来るがいい」
「……非公認ってどういう事っすか?」
「それはだが……」
北條院先輩に疑問を聞いた。非公認とは学園で公認されていない部活の事で部費や空き部屋の貸し出し費用などが学園で出ないためその部活に所属してる人の自費らしい。しかも部の顧問も個人で探さないといけない。
「それって部のみんなが支払ってんすか? 莫大な金額になるんじゃ……」
「全額、私の方で支払ってる。私が立ち上げた部活なのだから、私が払うのは当然だ!」
「……へ?」
この子はガチの金持ちじゃないか。一体何者なのかと謎が深まるばかりだ。
「まぁ、気軽に遊びに来い。一之瀬だったら歓迎するぞ!」
姿は子供みたいに可愛いらしいのに自信あり気な表情できりっとした顔つきをしてギャップで笑ってしまう。北條院先輩は何を笑っているんだ? と問う。
「いや、北條院先輩は素敵だなって思っただけです」
「そうか……」
北條院先輩は視線を外してちょっと照れてる様子だ。そういう表情は年相応で可愛いと思ってしまった。
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