魔導学園の嫌われ者

汐田 蓮

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部屋でゆっくり休もうと、そう誓ったはずだが...

「じゃあ早速寮長の部屋に行きましょうか!!」

「あ、僕先にお菓子とか持ってくるよ。」

「ありがとうございます先輩!!二人も行こ!!」

「え、なんで僕まで??」

「まぁまぁいいじゃないですか、どうせこのあと何も予定無いでしょ!」

「そうですけど...」

「わ、私もですか?」

「勿論!多いほうが楽しいじゃん!!」

はずなんだが...

「...私のこと無視しないでくれない?」

なんでこの後輩は勝手に私の部屋でパーティーする気なんだ?

セレスも止めて。

あと早く返ってきて。

自分一人で後輩の相手は無理。

「まぁまぁ、取り敢えず行きましょ。話はそれからということで。」

「ちょ、無視しないで。」

この推しの強い後輩は4年生のコライド・ファイトニサム、別名フェイだ。

闇魔法と炎魔法の混同魔法の達人で、4年生の中では優秀の部類に入る人物だ。

まぁ座学はからっきしだが。

「...」

「......」

「.........」

そしてこの二人は5年生のエクセル・チェルシアと、3年生のアーラ・リリーベル。

全員学年が違うが、フェイやセレスに連れられて、食事や集まったりする仲だった。

そう、たまになのだ。

二人とは余り関わらずにいたし、何より喋る時もセレスかフェイ経由だったのだ。

そんなんだから会話が続かない。

黒の寮で話すが得意な人なんてセレスとフェイの二人ぐらい。(偏見)

気まずいこっちの心情なんかお構いなしに、フェイはぐんぐんと歩き始めた。

流石について行かないとまずいと思い、無言の状態でみんな歩き始める。

フェイ、お前はまず座学よりその天然なところ直せ。

それから喋れ。なんで今喋らない。

「お、みんな来たね。」

「セレス...」

私の部屋の前で腕を組みながら待っていたセレスと合流した。

手にはいっぱいのお菓子とジュース。

本気でパーティーをするつもりのようだ。

むかついたので殴ってやった。

非常に残念なことに自分に腕力はないから全然ダメージは無いけど。

「おっじゃましまーす!!」

「「し、失礼します。」」

「いらっしゃい。あ、荷物はここに置いてね。」

「なんでセレスが仕切ってるわけ。」

勝手に部屋の住人ぶってるセレスに足蹴りを食らわせて、床に腰掛ける。

寮長の部屋はかなり大きく造られているので、5人ぐらい入っても全く窮屈にはならない。

「そういえば先輩の部屋初めて来ましたけど、意外に綺麗ですね。センスもいいし。」

「あぁ、ときどき僕が片づけに来てるからね。」

「なるほど。」

一応言っておくが自分で片付けしないわけではない。

ただセレスがやってくれるからやってないだけで。

「それじゃあ、新しい一年に乾杯!!」

「「「「乾杯。」」」」

それからは意外にも話が弾んだ。

聞くところによるとアーラの家は薬学の名門校であり、自分も薬学については得意な方だったので話があった。

エクセルは召喚術と精霊術が得意なそうで、ノワに良い食べ物や飼育の仕方を教えてもらった。

最初から諦めてた人との関わりは、意外にも心地よかった。

それだけじゃない。

5年間一緒にいたセレスは甘い物は一切取らない偏食家だった。

彼が優しく温厚な性格だったため、なぜか頭の中で甘いものが好きという結論になっていた。

(持ってきたお菓子類もいろんな人からもらって困ってたらしい。それから偏食家のレベルは私の方が上だった。)

そろそろの時間で自分達は解散することになった。

しかも明日は5人で集まって勉強会をするという約束も取り付けて。

この少ない時間で4人のいろんな面を見た。

やはり人は表面だけでは全くわからない生き物だと思った。
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