悪徳夫人の娘

猫狐

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1章

8話

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まずは想像。

虹の元は水。

反射する光を水の表面に固定。

想像するは虹色の宝玉。

空気から膜を作り出すイメージで、、、。

どうしようッ。

空気を巻き込みすぎて空間が曲がって見える。

ヤバい。

このままだとまた暴走してしまうッッ。

そんなことしてる間にもどんどん歪みが大きくなってく。

やっぱり私には無理だったんだ、、、。

ごめんね、アラウ。

「アリー落ち着いてッッ。」

落ち着いてるよッッ!

でも、どうしようもないんだって。

「アリー。僕の話を聞いて。大丈夫だから。目の前を見て。何も傷ついてないから。」

そんなはずない。

さっき見たんだから。

渦巻く大気がッ。

「アリーもう一度言うよ。落ち着いて。何も壊れてない。何の音も聞こえないでしょ?僕がちゃんと約束どうり止めたから。だから、あとは、アリーが魔力を納めて落ち着くだけ。」

落ち着いたアラウの声。

確かに音が聞こえない。

ああそっか。

アラウが止めてくれたからか。

やっと脳が動き出した気がする。

前を見ると、来たときと同じきれいな自然が広がっていた。

ほんとだ。

アラウは約束を守ってくれたんだ。

「良かったアリー。落ち着いたね。あとは手に持っている魔力を君の想像どうりに動かすだけ。暴走して魔力が減ったから、操りやすいはずだよ。」

オーケー、アラウ。

私は今度こそ前を向いて創造した。

輝く虹の玉を。

集中しろ。

流れ落ちる汗も気にせずに私は集中した。

動かないまま10分が経過した。

そろそろ魔力がなくなるっ。

私は最後の力を振り絞って魔法を込めた。

すると変化が顕れてきた。

先程のように空気が歪んでいく。

でも、さっきより何倍も小さい歪み。

水が固まらないように気体化されてゆく。

虹が蒸発して色だけが残る。

周りに膜ができてゆく様子はやけに幻想的だ。

どれ程見とれていたのか。

目の前には虹色の輝く玉が。

「やったぁぁあ。アラウ成功したよッ。」

見て見てとはしゃぐ私をアラウは嬉しそうな顔で見ていた。

いや、私じゃなくて虹の玉を見てよッ。

恥ずかしいなぁ、もぅ。

「良かったね、アリー。とってもきれいなモノができたね。」

「ありがとうアラウ。アラウのお陰だよ。これはアラウにあげるね!」

本当にアラウのお陰でできたんだもの。

そうじゃなくても、私が初めて創ったものだから、一番の親友のアラウに贈りたいし。

「えっ、いいの?せっかく頑張って作ったモノなのに。」

アラウの驚いた顔もかわいい。

「勿論!是非もらってください!」

「ありがとうアリー。」

じゃあせっかくだからと、アラウは嬉しそうな顔で虹色の玉を二つに割っ、、、ん?

「えぇ!アラウ何してるの?」

「はいアリー。半分個だよ。補強しておいたから身に付けても壊れないよ。」

「いやそうじゃなくて、、、。せっかくアラウのために作ったのに。」

ちょっと残念だな。

「??せっかくのきれいな宝玉だから、二人で半分に持ってた方がいいでしょ。ほら、二つ合わせたらきれいな丸になって面白いでしょう?」

ああそゆことね。

確かにそれは面白いかも!

「じゃあアラウ。チェーン作れる?これをチェーンに通して、首にかけておきたいから。お揃いだね!」

アラウは一瞬でチェーンを作って渡してくれた。

ふふアラウとお揃いは嬉しいな。

「はいどうぞ。あ、そうだ。これに魔法をかけておくからいつでも連絡がとれるよ。」

なにそれスマホみたい。

でも、嬉しいな。

アラウと一緒だと思えると心強い。

「危ないときは連絡してよ?絶対だからね!」

「アラウもだよ。絶対ね。」

アラウは心配性だな。

大丈夫なのに。

なぁんてこのときは思ってたけど、いきなりあんなことになるなんて、、、。
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