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1章
3話
しおりを挟む「アリアス~。これから服を買いに行くわよ~。早く出てきなさい!!」
じゃらじゃらと服にあふれるぐらいつけた宝石を揺らしながら、私の母が入って来た。う~る~さ~~い!!
そう、私の悩みの種はこの母親だったりする。
この人は、私にも同じようなじゃらじゃらした服を着させたがる。こんな人が貴族なんて、この国大丈夫か!?と思ったよ。
私の意思なんか無視されるし、母親の望む娘でないとなぐられる。
もうとっくに愛想が尽きた。
こんなに簡単に親を見捨てられるなんて、私は狂っているだろうか。
なんていうか、、、感覚が違う。
私の世界は前世のままで、今は夢のような状態。リリーもお母様も私のとって夢の住人。お母様は血の繋がった他人のような感覚だ。
どうせ夢を見るなら、もっと楽しいところが良かったけど、仕方ない。生まれてくるところは選べないし。だから私は諦めた。そして、
「お母様~。早く行きましょうよ~。今日は、新しくできたお店に行きましょう~?売っているもの全部買うのよ。オンハラートがあなどられないためにも、私たちが目一杯着飾って差し上げなければ!!」
最低な自分の母親と同じ真似をすることにした。
でも、これが、意外と楽しい。
私たちを仇でも見るような目で見つめる我が家の使用人たちと我が父。それに、全く気がつかない我が母。
これを見て、笑わない人がいるだろうか?断言しても良い。絶対にいない。こんなの誰でも笑う。
えっ、他人事じゃないだろうって?良いの、良いの。面白いから、全然オッケー。死んでもログアウトするだけだし。
でも、切り捨てられたときは、一人で生きていかないといけないから、対策を考えたんだ。
宣言します!!私、1級魔法使いになります!!
魔法使いっていうのは、3~1級まで位があって、それになるには、相当な努力と生まれ持った才能がいるんだって。
で、私はその中でも、魔法使いの頂点に立つ、1級魔法使いになりたいと思います!
といっても、生まれ持った資質もいるから、無理だったら諦めて他の道を探すけどね。
まぁ、こんな感じで何の問題もないから、心配はいらないよ。魔法の練習はまた今度暇なときにやろおっと。
とりあえず今は、お買い物だね。
はは、あの人、脂肪を隠そうとしすぎて、逆に膨らんで見えるよ。アハハハハ、あれで自分のことを国一番の美女だと思ってるのだから、もう、目も当てられないよね。
眼科に行くことをおすすめしま~す。
そんなことを思っていると、いつの間にか私にも同じようなものが用意されていた。うげ~、これを着るのか_。
はぁ、せーのっ!?ヴ、重い。母親がこれを普通に着ているのって案外凄かったりして。
用意もできたし、では、出発!って所で邪魔が入った。
主人の奥方とご令嬢を止められる人って、一人しかいないよね。そう、私のお父さんです!!多分。
「おい、お前たち、無駄遣いはやめろと何度言えば分かるんだ!?お前たちのせいで、我が家の家計は火の車だ!誰かこいつらを部屋に閉じ込めておけ。」
この二人の馴れ初めを私の専属メイドのリリーちゃんが教えてくれた。
昔、母親には婚約者がいたらしい。
といっても相思相愛な訳ではなく、母親がその当時モテモテだったその婚約者_フィル·オンハラート侯爵子息に一目惚れし、王命をふりかざして無理やり婚約者の座に収まっただけらしいけどね。
父親はその人の従兄弟で、兄弟同然に育ったらしい。
母親はこんな性格だからね、彼女の父親の王様と兄の第一王子以外の人からは嫌われていたんだって。その婚約者も例に漏れず、過干渉な母親のことは大嫌いだったらしいよ。
そんな三人が成人_この国では18歳で成人だよ_になる一年前、隣国と戦争が始まったんだ。
当時のオンハラート侯爵と子息は国内でも屈指の強者だったんだ。だから戦争に駆り出されたらしい。あ、父親も強かったみたいだけど、丁度その時怪我をしていて、後から参加することになってたんだって。
でも、相手側が戦場で大爆発をおこしたんだ。
そのせいで我が国は戦える人がいなくなって休戦を申し込んで多額の賠償金をぶんどられたんだって。
で、その大爆発でオンハラート侯爵と子息は亡くなってしまったんだ。
なのに何故母親がここに嫁いだのかというと…。唯一当主と跡継ぎを亡くしたオンハラート家には王家からかなりのお金が貰えたらしい。
それに目をつけた母親がオンハラート家を継ぐことになった大嫌いな父親に嫁いだんだってー。
王様は困窮した王家を立て直すために邪魔な王女をオンハラート家に押し付けたんだ、と民の間では言われてるらしいよ?ひどいよねー、甘やかすだけ甘やかしといて、邪魔になったら他人に押し付けるなんて。
まぁそんなわけで、二人の仲は非常に悪い。
だから、私の父親は多分母親が何処かで不倫した相手だと思うよ。でも、私は母親そっくりだから本人たち以外分からないんだよね。
あっ、父親のこと忘れてた。なんてかえそうかなーっと。ええと………。
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