誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第十話 誰かこの暴君を殴ってくれ!

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「はっ……」
「あ……ぁ、あ……」

 悲鳴じみた嬌声を上げる喉が枯れても、泣きながら感じ続ける。

 五度目の行為の終わりを感じた四肢が、ピクン、と僅かに跳ねた。

 顔中が涙と汗と唾液とで悲惨に濡れている。
 ブサイクだと笑われるそれも、今日ばかりは仕方がなかった。

「勝手に寝ていいって、言ってませんが……」

 ようやく霞程度の理性が戻った三初は、汗が伝う髪を掻き上げ、ベッドに沈む恋人の痴態に息を吐く。

 薬のせいで直情的に求めていた言葉や態度が、本来の嗜虐性を持ち始めていた。

 三初は腕の拘束を外し、未だ収まりのつかない屹立を俺の頬にヌルリと滑らせた。

 息も絶え絶えに重い体を起こす俺は、ボヤける視界に三初を見つけ、歓喜する。

 やっと顔が見れた。三初の顔は、結構、俺の好みのタイプなのだ。

 しっとりと濡れる紅潮した面差しで眉根を寄せ、はちみつ色の双眸は潤み、口元が歪に歪む。

「っ……ん…ぅ……」

 薬の抜けない蠱惑的な表情に煽られ、俺は弾力のある長大なものに、舌をのばしてしゃぶりついた。

 口の中いっぱいに広がる雄の味を感じ、肉茎の根元がキュンと疼く。

 今日は汗の味がする。
 おいしいとは思わない。思わないのに、喉が先端を飲み込みゴク、と嚥下する。

 顎を開いて舌と喉を使ってゆっくりと頭を上下に動かし、収まりきらない幹は手で扱いた。

 頭がぼう、として、上目遣いに三初を伺う。三初は熱に浮かされた瞳で俺を映し、眉根を寄せて口角を上げた。

「はっ……ねだってんの……?」
「ふぁ…、ん、う……」
「歯止め効かねぇのに、いいの?」

 コクリと頷くと、三初の手が俺の頭を掴み、角度を調整する。

「じゃあ、いつもは挿れないトコで……ちゃんと扱いて、ください」
「ぅぶ、っ……んぐ、っ……」

 その言葉と共に頭を引き寄せられ、ヌグッ、と強引に入り込む肉棒が喉奥を犯した。

 一瞬吐き気がして、それを堪えて唾液を飲み込むと、ゴクンッ、という喉の動きで締めつけてしまい、まともに息ができない。

 三初の体にしがみついて震えるが、顎を閉じないように固定されたまま、三初は俺の頭を前後に動かしはじめた。

 ジュポ、ジュポ、と下品な音がする。
 気道を塞がれて、苦しい。

 息苦しいと後ろが締まり、下腹部がジュクジュクとトロけてキュゥ、とすぼまった口からローションや腸液がシーツへ糸を引いた。

 滑らかな表皮を舌が擦ると、足の間で反り返った肉棒に先走りが滴る。

「ゴホッ、ぐ…っふ…ぉあ…っ」
「っ、は……っ、飲み込んで、何回も、奥入れた時に、そう、ふっ」
「ンッ……ぶ…ぅっ……ゴホッ……っ」
「喉搾って……上手ですね、先輩。俺の犬は、熱くて……イイコ、だね……」
「ぇう、う……」

 いつもより雑な教え方。
 最初より落ち着いてきているが、シラフではないのがよくわかる。

 それでも褒められると俺はかんたんで、三初の言うとおりに喉を搾って奉仕する。

 息苦しさに目じりから涙が伝うと親指で擦られ、熱っぽい視線を交わらせた。

 そんな、じっと見んなよ。
 汗や涙や唾液でぐちゃぐちゃに乱れた顔なんて、あんまり見られたくねぇよ。

 俺をこんなブサイクにするのはいつも三初でずっと三初だけだが、喉奥を犯されて感じているのは、バレたくない。

 恥ずかしくて目を逸らそうとすると、耳の穴に指を入れられクリクリと弄られる。バレバレらしい。

 そのまま何度も抽挿されると、口内のそれが僅かに膨張し──胃の中へ直接注ぎ込むように、ドクッ……、とあまり量が減らない種が流れ込んだ。



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