誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第八話 シスターワンコとなりゆきブラザーズ

32※

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「は、ぁ……、ぅ……、っん……」

 円を描くようにして拡張していく。

 気持ちいいところには当たらないように、気を付けた。

 前立腺に触れると内壁が締まってしまう。
 気持ちいいように作り替えられたから、抗えない。

 そうしてクチュクチュと後孔を解していると、不意に伸びた手が俺の頭を引き寄せた。

 唇を覆われ、閉じていた目を開いて睨む。
 動くなっつってんだろうが! キスしてんなッ、コノヤロウ。

「ん、ぅ……はっ……ん、ん」

 なんて、思っていても言葉にはならず。拒絶もできず。

 三初にキスをされながら後ろを弄ると、つい手の動きが快感を探るように変わってしまう。

 風邪菌が感染ったらどうしてくれるんだコノヤロウ。
 普通はこういう時、感染るからしないって言うもんじゃねぇのか?

 内心で悪態を吐くが、離れる気にならないのがままならないところだ。

 睨んでいた目をうろつかせ、少し伏せて、それからもう一度閉じた。

 見ないふりをして、舌を絡ませる。これはまあ、仕方ねぇ。

 口づけ合いながら三初の手が太ももをなで、浮かせた下半身の下で揺れる陰茎に指を触れさせた。

 ピク、と腰が跳ねる。
 熱い内部をかき回す自分の指を締め付けてしまい、熱っぽい吐息が漏れてしまった。

 首に添えられていた手が動き、スウェットの上から乳頭を強く抓られる。

 思い切り爪を立てられているのに、春用の衣服の上からだと絶妙な掻痒感をもたらした。

「はっ……ぁ…ん……んっ……」

 性器と乳首への刺激で喘ぐ俺は、なんともマヌケな姿である。

 全部自分がするつもりだったが、結局愛撫されているのだ。

 それぞれが俺を追い込むために動く指に、拡張している後孔が疼く。

 誘い込むように動く襞がもっとと求めていることは自分でよくわかった。

 柔らかかった陰茎が脈打ち、屹立していく。先端のくぼみから蜜が溢れ始め、三初の腹に糸を引いて零れた。

 鼓動が早まる。
 ねっとりと絡みつく粘膜を振り切って指を引き抜くと、拡がった入り口がきゅっと締まった。

「っは、ん……もう、いいだろ……」
「ふっ〝もう我慢できない〟の間違いでしょ?」

 うっせぇ。俺に組み敷かれてるくせに、呷ってくンな。

 無言のまま顔を逸らしてもぞもぞと動き、俺は三初の下着の中身を取りだす。

 相変わらず素の状態で一般より凶悪なサイズである。目の前にすると少し躊躇したが、今更だ。

「は……っ」

 丸く張った先端を歯を立てないように咥え、慎重に喉の奥へ挿れた。

 入りきらない根元はローションを付けた手を添え、手淫する。

「ン、ふ……ぅ…ん」

 悲しきかな。
 慣れたもので、俺は奉仕活動にも多少の快感を覚えるようになっていた。

 風呂に入ったせいであまり味のしない一物を舐め、頭を上下に動かして育てていく。

 ジュル、と唾液と先走りの溶液を啜り飲み込むと、脳みそが痺れて興奮が沸き上がった。

 味が、状況が、香りが、俺の全身を粟立てて止まない。期待……してしまう。

 そんな自分は、重症すぎるのだろう。
 諦めたとはいえ、毎度死にたくなる案件だ。

「ん……ん……ふ……」

 丁寧に舌を絡ませ呼吸が止まらない程度に喉も使って扱く。

 これが後で自分の中に入ることを考えてしまうと、体が熱くなるように仕込まれた。

「はぁ…は…ん……ふ、っ……」

 懸命に舐めながら、無意識に腰がユラユラと揺れる。

 拡げた後孔がヒクヒクと収縮し、欲しがっているのがよくわかった。

(あぁ、ちくしょう……我慢できねぇ。悔しい。ムカつく、けど、もう挿れてぇ……欲しい。クソ……)

 恋人を体と頭が欲しがるのは当たり前なのに、やはり得体のしれない反抗心が湧いてくるのが俺という生き物である。



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