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第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力
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しおりを挟む「というか逃したらもうこのランクのイイ男なんて、シュウちゃんの手に入らないわよ!? スペシャルスーパーレアキャラなんだからね!?」
「うっ……う、うるせぇ、わかってんだよ」
勢い良くズズイと詰め寄られた俺は言葉に詰まり、意気消沈と肩を丸める。
確かに、三初はテレビの中以外じゃそうは見ないイケメンだ。
イケメンの上に手足も長い。
謎に収入も良く、質のいい生活をしているが、浪費はしない。
仕事もできる。
やるじゃなくて、できるだが。
「……うぁぁ……!」
それらを思うとナーコの言うとおり、到底俺の手に収まっているのがおかしな存在に思えてきた。
テーブルに両肘をつき、頭を抱える。
クソ、忌々しい野郎だ。
アイツのステータスなんか、俺にはなんの価値もねぇのに、煩わしいったらねぇ。
俺は別に、三初の顔が好きなわけじゃない。
いや好きか嫌いかでいうと好きな系統の顔だが、それは相手が女だった場合の話だ。
男に恋ができるようになった俺でも、普段から男をそういう目で見てはない。見れるようになっただけだかんな。
三初のスタイルも別にどうでもいいし、三初が突然一文無しになっても、理由があれば渋い顔はしない。
職はあるし、問題ねぇだろ。
俺にも貯えはあるから、二人くらい当面は生きていける。
「寛容ねぇ~。けどシュウちゃんはそうでも、カレシくんのことよく知らない人からすると、ね。恋愛的興味を持つきっかけが、目白押しのステータスなのよ? シュウちゃんとは逆に中身がどうでもいい人もいるかもしれないでしょ」
ツンツンと抱えた頭をつつかれて言われた正論に、俺は「ぐぅ……ッ」と唸り声で返した。
わかっているから、頭を抱えているのだ。
三初がいくら俺のものになってくれると言っても、俺が取り逃がさないように守っても、ハンターは撲滅しない。
既婚者にでもなればいいんだろうが、それは現状難しい。
そう言うと、ナーコはしんみりと目を伏せて、つついていた俺の頭をポンポンとなでた。
「結婚はね、男同士だもんねぇ……」
「あぁ……? 違ぇよ。付き合って四ヶ月ちょいで婚約とか結婚は、気が早ぇだろ」
「え」
「あとプロポーズとかそういうの痒いんだよ俺ァ……ッ! アイツ口うるせぇし金銭感覚合わねぇし……だから最低一年は理解度深める期間っつか、同棲とかも経てってのが相場だよな?」
「うん、あんた変なとこ男気あって変なとこ真面目ね……!」
「は?」
ただ常識を言っただけなのに、なぜ話と関係ない反応をされるのか。
そういう言葉が出てきた意味がわからない俺は首を傾げ、訝しく睨んだ。
普通だろ? 今後別れるかもしんねぇし。
ただ今の俺はこれっぽっちも離れたいと思わず、むしろそうなると嫌だから、こうしてゲイバーにまできているのだ。
悔しいが、それは紛れもない事実である。アイツは知らねぇけど。
「あ、ちょっと待て」
「なぁに?」
そうしていると、不意にブブッ、とマナーモードのスマホが震えた。
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