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第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力
14※
しおりを挟む「ぅ…っ……ふ、…ん……っ」
やけになって内部の刺激に集中すべく、俺は元々窮屈な直腸内を蹂躙するローターを三初の教えの通りに襞で包み込んだ。
キュッ、キュ、と強弱をつけて締め上げるが、ローターは抽挿なんてしない。
大きさも太さもそれほどない上に完全に全長が俺の中に入り切っている無機質なモノを、どうやって扱えばいいのか。
「はっ…、みは、じめ……っ」
「なに……?」
俺が困り果てて小さくくぐもった声で名を呼ぶと、三初はすぐに俺の耳元を甘ったれた声で濡らした。
嘲るような冷淡さを含む言葉ばかり吐くくせに、どんな小さな声でも聞き逃さない。
そういうところが腹立たしくて、……愛しくもある。
「な…か……どうしたら、っ……?」
「フッ……ローターをね? 奥に誘ってみ? 括約筋じゃなくてもう少し内側の筋肉を使って……そうだなぁ……後ろでローターを食べるイメージですかね……」
「ンなの、っ……出せなくなる、だろ……っ」
「大丈夫ですよ。ちゃんとゴムに結び目作ってあるから、引っ掛けて出してあげる」
「ん、ふッ……!」
口答えは許さないとばかりに強く口元を塞ぎ直され、一瞬呼吸が詰まった。
グッ、と後頭部が三初の体へ強かに擦りつけられる。
挙句にゴムの中を先走りで濡らす肉棒をスローペースに擦って、催促された。
これ以上奥に誘ったりなんかして取り出せなくなったら、という恋人様の不安は一蹴だ。コイツは本物のクソ野郎だぜ。
それでも興奮は拭えない。
性感は確実に高められている。
もっと強く激しく扱かれたら、あっけなく吐精してしまいそうなほど。
「……ッ…ふ……っぁ、ん……っ」
ほんの数秒考えてから、汗ばむ熱い体を一度震わせた俺は、腹の中で暴れるローターをじっくり締めつけてみた。
小刻みにアプローチを変えて震えるローターをどうにか奥へ動かそうと意識し、できる範囲で内部の動きを工夫する。
やってみて、ムカつくというか無意味というか、三初は教えるのがうまいということがわかった。
食べるようにというのはわかりやすい。
尻の筋肉も使って挟み込んで揉むイメージ。咀嚼して、ゴクリと。
穴を拡げて呑み込むだけじゃない。
うねらせ、蠕動し、誘い込む。
「ンッ……はぁ……ぅ、ンッ…ンッ……」
気づけば──俺は目を閉じ、三初の手淫をオカズに、夢中になって一人で快楽の沼に沈みこんでいた。
ローターが少しずつ入ってくる。
自分の触られては困る場所を目指されるのが、たまらなく気持ちいい。
時折ひり出すように腹筋を絞ると、入口付近まで降りてきた。
それをもう一度誘って粘膜全体で包みしゃぶる快感。
溺れる。理性が掠れてしまう。
「……ぅっ……ぁ…ふっ……っ……ぅ……」
シアタールーム内の騒々しい効果音と俳優のセリフは、俺の頭の中にはただの雑音として届けられていた。
一見して観客の一人である俺を誰かが見ていたとして、気づくわけがないだろう。
人に見えない下方の影でいきり勃った屹立を扱かれ、尻の中でローターを呑み込む遊びに没頭している大人の男。
あまりに奇特だ。ド変態すぎる。
頭がおかしいと思われるはずだ。
肩を組むようにしてその男の口元を押さえ込み、素知らぬ顔で他人の性器を虐める三初とて例外ではない。
視線は正面のままであるからして、目撃されても距離感のおかしいゲイのカップル程度の認識をされるだけ。
バレるわけがない。
でも──……バレたら俺は、どうなる?
ヴヴヴッと容赦なく震える体内のローター。言い訳がきかない。
手とローションに擦れヌチュッヌチュッと粘着質な音をたてる屹立。一目瞭然。
「っん、っ……ぅっ……っく、ふっ……ん……ん……ゔ…っん……ゔ……っ」
そしてそんな行為にとめどなく感じ指の隙間から漏らす、濁り混じりのくぐもったイカつい野郎の喘ぎ声。
もしこの姿のありのままを誰かに知られたら、きっと俺は手酷い罵倒を受けて非常識なド変態だと罵られるに決まっている。
そんなのは嫌だ。
そんなのは絶対に勘弁だ。
わかっているのに悪い遊びをやめられず、俺は身を固めたまま三初の腕の布地を握る手に力を込める。
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