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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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しおりを挟む中程に蛇腹のような凹凸がついているものの、普段挿れられている凶悪な怒張より、一回りは小さいバイブだ。
前にこれより大きなディルドを挿れられたことがある。
その時は三初が突っ込んだ。だから嫌だったし腹が立って文句を言ったが、それほど怖くはなかった。
しかし初めて自分で無機物を孕むとなると、こんなにも心細くて、不安になる。
「こ、怖い……三初、苦手だ、変なもん入ってく、あ、っ中……っ」
言いながら間もなく、トン、と細身のバイブは最奥にたどり着いた。
細いぶん長いバイブ。
短く息を吐いて体の内部を貫かれる圧迫感を散らそうともがきながら、俺は勃起した自身から先走りを溢れさせ、歯噛みする。
持ち手だけが生えた尻の割れ目。非日常的だ。汗とローションでオレンジ色に光る腹筋が、ヒクヒクと痙攣していた。
筋肉質なももの間でバイブを呑み込んだだけで勃起させている俺は、情けなくも哀れで淫らでマヌケな男だろう。
内部が収縮するたび、バイブの持ち手がピクッ……ピクッ……と揺らぐ。
尻尾みてぇだ。
俺はめちゃくちゃ、頑張った。
「はっ……入った、三初、俺、挿れたから……もう、褒めてくれよ……」
だから褒めて、好きになって、なぁ。
そんな気持ちでを上目遣いに三初を伺うと、三初は俺の唇に手を伸ばし、なでるように口内へ親指を滑り込ませて顎を掴んだ。
「うん。俺好みでかわ、あー……イイ顔。ふ、許してでも怒んないででもなく、文句言うでも強がるでもなく……あんた本当は俺に褒めてほしかったのね」
「んっ……ひょう、おぇあ、ぁはッ……あッ……あッ……あぁ……!」
なにか言いかけたことを濁す三初にカチ、ともう片方の手でスイッチが入れられ、直後にヴヴッ、ヴヴッ、と断続的な振動が体内のバイブから与えられる。
ランダムに変化する振動が飢えた内部を刺激し、甘い快感を下腹部にとごらせる。
「トロットロな目ぇしてまぁ……」
「……あッ、……は……んッ……」
「先輩、舐めていいよ。上手にできたら、……わかるでしょ?」
甘言で唆され、こくりと頷いた。
顎を掴まれ導かれるまま、俺は三初の足の間に顔を埋め、求めていた温かい肉棒に舌を這わせる。今度こそうまくやればこれを貰える。言質もある。
「ぁ……ん、ふ……俺、いいこにするから……浮気すん、なよ……はっ……俺が一番、好きだぜ……よそ見はごめんだ……」
チュプ、と口内に固く弾力のある生々しい雄を迎え入れ、喉の奥の肉で包む。
舌の上でドクンドクンと脈打つほど熱い。今度こそ上手にしようと、バイブに追い詰められながらも口の中全部を使って丁寧にしゃぶった。
「は……やっぱ、気にしてたんですか。あんま関わらせたくないんで詳しく言いませんでしたが、間森先輩とはこんなこと、イカレたってしませんけどねぇ」
「んんッ……ん、……ん……」
ローションでねばついた髪を弄ぶようになでながら、三初は少し笑ってそう呟く。
分泌された先走りを唾液と混ぜて、大袈裟にゴクリと飲み込んだ。
再び喉の奥を開いてなるべく深くまで包み込み、入りきらない根元の部分は手で懸命に擦る。
──イカレなくても……そんなのわかんねぇだろうが。
俺との始まりがセックスである以上、俺よりセックスの相性が良ければぐらつくかもしれない。
なんせ俺は、まだどこが好きなのか、具体的に言われたことがないからだ。俺のイイところなんてないのかもだろ?
一つくらい具体的に言われるか明確にそういう言葉を貰わないと、自信なんて永遠にないまま、焦ってばかり。
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