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閑話 犬の知らない物語
01(side三初)※微
しおりを挟む《本編中に話だけでてきたベランダネタのその後小話》
肩に担いでいた男をドサッ、とベッドの上に下ろして、俺──三初 要は濡れたように気だるい息を吐く。
「あーあ、もうちょい貧弱になってくんないかねぇ……先輩」
「ん……」
ギシッ、とスプリングを軋ませて覆い被さると、男こと先輩──御割 修介は僅かに吐息を漏らした。
しかし目覚める気配はない。
それほど疲れ果て、深淵まで意識が落ちているのだろう。
せっかく人様が自分より筋肉質で背の高い無駄マッチョをわざわざベッドまで運んでやったってのにお礼も言わないなんて、先輩はダメな先輩である。
ま、気絶するまでイかせまくったのは俺だけどね。
内心でペロリと舌を出す。
お茶目な年下男子。かわいいでしょ? はい無罪。控訴不可。
シーツの海でくの字に横倒れてぐったりと寝入る先輩から体を離し、素敵な有り様をしげしげと観察する。
武骨で暑苦しい野性的な男の顔だ。
厚めの唇。つり上がった眉と目。健康的な肌色に朱がさした頬。
汗で濡れた短い黒髪が影を落として、意識がある時より断然エロい。
見てくれは割と男前な先輩なのだが、このオトコ臭い顔がさっきまで死ぬほど情けない顔であんあん鳴きながらトロけていたと思うとかなり笑えた。
こんなマヌケな姿、俺以外見たことないんだろうなぁ。
あからさま事後って感じだし。
シャツもベルトもとっくに床に投げ捨てた。黒いタンクトップの隙間から覗く体は湿り気を帯び、未だに熱を持って呼吸するたび微かに戦慄いている。
ホックもチャックも無視でとりあえず履かせただけのジーンズの下で、不自然にシミたグレーのボクサー。
それに指をかけてジーンズごとひざ元まで下げると、日に焼けない下腹部から太ももがあらわになる。
ニチャ、と粘着質な音が鳴った。
重なった太ももの間で、力をなくす精液まみれのモノとご対面する。
覚えている限り三回は出させたしね。もちろんシメに潮を吹かせたからには、打ち止め間違いない。
けれど散々に擦り上げたせいで赤剥けたように腫れた先っぽを見ていると、もっと虐めてあげようかな~? という気分がムクムク湧いた。
ニンマリと笑みを浮かべ、ウズウズと疼く嗜虐心と欲望に従ってジーンズと下着を抜き取る。
片方の足をグッと持ち上げると、ついさっきめちゃくちゃに酷使したばかりの秘所が晒された。
使い慣れて充血した穴。
腸液とローションでぬかるみ、ヒク、ヒク、と先輩の呼吸に合わせて控えめな収縮を繰り返す。ふ、やーらし。
気まぐれに、粘膜をかき分けて指を二本噛ませてみた。
直前に何倍も太いモノを根元まで咥えていた胎内は拒むことなく柔らかく拡がり、艶めかしい収縮でピタリと指先に吸いつく。
クチュ…クチュ…と遊び半分で弄るが、先輩はピクピクと震えて微かに吐息を漏らすだけで起きる気配はない。
「……っ……ん……」
あらら。たかが指にすら絡みついちゃってまぁ、欲張りなこと。
全部俺が仕込んだ反応だ。
先輩のカラダは入り口をつつかれると開いて咥え、挿れると力を抜く。
中の襞に触られたら感じるしうねるし、締めると同時に奥へ誘うような食み方をする。要は気持ちいいカラダ。
それにしたって意識がなくてもしっかり癖になってるあたり、相当やらしい男に育ったと思う。
「ふっ、やーいスケベ先輩」
「ぁ…はっ……」
持ち上げていた靱やかな足を折り曲げるように奥へ倒し、指を三本に増やした。
ビク、と僅かに跳ねる体。だが覚醒はしない。三本の指を根元まで呑み込んで歓迎し、無抵抗に内臓を嬲られているのに甘い声で鳴く。
本人が起きていたらいい加減にしろ! と目を剥いて騒ぎ立てただろう。いいや、快感でバカになっている頭ならもう嫌だ、と泣き出したかもしれない。
「くく……どっちでもいいけど、早く起きないと寝たまま犯しますよ?」
「ぁ……ぁ…ぁ……」
前立腺を指先で抉りながら含み笑いで囁くが、先輩は掠れた声で喘ぐだけ。
いつもは恐ろしく睨みつける鋭い瞳もまぶたの中にしまわれ、まつ毛がフルリと揺れるだけだ。もったいねーの。
への字に曲げられてばかりの唇がしどけなく開き、断続的に声を漏らす。
眠っているせいで罵詈雑言を吐かないところは、甘えているらしい。
静かにしていればかわいいのに。
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