115 / 454
第四話 後輩たちの言い分
51
しおりを挟む「うるっせぇぞ中都っ! だから勝手にギャーギャー騒がねぇで人の話を聞けッていつもいつも言ってただろォが!」
『せぇんぱぃぃいっ! だって、だって顔に似合わず律儀なセンパイが俺のメッセを一日放置するなんて、なんかあったかと思うじゃないすかぁぁぁ~……っ! 機械音痴も極まってスマホの使い方忘れたのかなって!』
「顔に似合わずは余計だコノヤロウ。ただ風邪引いて寝込んでただけで、今は全快してるから元気ハツラツだかんな」
どうやら中都なりに心配していたようで、叱りながらも大丈夫だと伝えた。
心配かけたのは申し訳ねぇからな。
「そんなハツラツな俺になにか文句があんのか? あ?」
『やっややっ! お、俺はかわいいと思うっすよ!? まじで! スタンプ送るのに苦労してたのも!』
「脳みそイカれてんのかテメェ。俺のなにがかわいいって? もう一度言ってみろコラ。膾にする」
『すんませんっしたっ』
だが、それとこれとは別だ。
病み上がりのざらついた喉で重低音を出すと、通話の向こう側からゴンッ! となにかをぶつける音と、矢継ぎ早な謝罪が聞こえた。
ケッ、土下座するくらいなら初めから普通にしてろってんだマヌケが。
悪意なく失言が多すぎるぜ。
「……先輩、要件聞いて早く終わらせろください。腹減ったって言ってるでしょ。ね」
「は? …………オイ中都。詳細は省くが俺の目の前に悪魔がいる。さっさと要件を話せ」
『へっ?』
しかしそんな俺のパワーアップした唸り声すら凌駕するひたすらに冷えた声が、ふと隣から発せられ、冷気の源を把握しようと顔を上げた俺は素早く目を逸らした。
ヤベェ。悪魔が空腹のせいで、不機嫌になってやがる。
言葉の端々にトゲが垣間見えて、普段と変わらない澄まし顔が直視できない。有無を言わせない微笑みを浮かべている時はどんな暴挙に出るかわからないのだ。
なので俺は威圧感に従って、ちゃんと中都を急かす。
『そだそだ! 用事ねっ、センパイ怒ってないなら今日俺ん家来ねぇすか?』
「うわっ……!?」
が、どういうわけか三初は俺をドンッと突き飛ばし、ベッドに後戻りさせた。
あぁっ? な、なにすんだよ、このサイコパス野郎──
「え、え? お前ん家?」
『? そっす! 昨日約束したっしょ?』
「まぁな、っちょっ、待てコラっ」
内心で悪態を吐き混乱しながらも、中都に〝わかった〟と言って話を終わらせようとしたが、今度は俺の上に覆いかぶさった三初によりヒョイッとスマホ本体が奪われてしまい叶わず。
しかも奪ったスマホは俺の目の前でスピーカーモードにされ、手の届かないベッドの端へ投げられてしまった。
待て待てっ、う、嘘だろ……!?
「おい、三初てめぇ……っ」
「だって、ズルいでしょ。俺が先じゃないですか? ご褒美貰うなら。ね?」
「っん、ぅ……!」
小声で抗議をするが、体勢が不利すぎて抵抗がままならない。
三初の手はなにを考えているのか、スウェットをズラして、俺の股間を下着の上からなでる。
「ふっ」
『センパイ? あっ、まだ病み上がりだからしんどいんすか! じゃあ俺がセンパイの家に行くっすよっ。結構近いし!』
「い、や、いやいいっ、あとで行「集中して」ぅひっくっ……!」
バッ! と反射的に口元を押さえた。
あとで行くと言って電話を切らせようとしたのに、それをなぜか遮った三初。
20
お気に入りに追加
1,377
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
市川先生の大人の補習授業
夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。
ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。
「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。
◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC)
※「*」がついている回は性描写が含まれております。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる