誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

文字の大きさ
上 下
31 / 454
第二話 先輩ワンコの沽券

15※

しおりを挟む


「んぅ……ぅッ……ぅッ……ふぅ……っ」


 俺が握り締めてまで我慢している様を煽るように内側から強烈に突かれ、手のひらの中でくぐもった喘ぎが反響した。

 どうにか声を抑えようとしても、反射の勢いで口が開く。
 大振りな律動に迷いはない。いつの間にか弱点の場所を把握されていたという事実を、いやでも実感した。

 くそ、だめだ。内側から抉られて感じると声が抑えられないということを、こんなことで知りたくなかった。


「ぁっ……はっ…っ……ん、くっ」

「こら、先輩、しー……っ」


 ニヤリと歪む口元が酷く楽しそうだった。声が我慢できなくなってきているのが嫌で、必死に俯き顔をそらす。

 それほどの快感。握り締めたモノを擦りあげて今すぐに達したい。
 もう、我慢できない、けど、我慢。我慢だ。

 本当は、イキたくて泣きそう。
 声我慢しねぇで好きなだけ喚いて、好きなだけイキてぇ。

 快感に流される自分に悔しさもあり、涙は出ないが、目玉の表面が生理的な水分で潤んできた。

 手のひらの下で、真っ赤に火照る顔が泣きたい顔にクシャりと歪む。

 クソ、射精我慢なんか普通しねぇんだよ。それを生物の本能に逆らって我慢するなんて、無理で当たり前だ。

 それほど切羽詰っても意地を張る俺が口元を覆っている手の甲に、勝ち誇った表情の三初がチュ、とキスを落とす。


「ハッ。俺がそれ見てるとイきそうって言ったから、わざとそんな顔してるんですか? 後輩弄んで、悪い先輩……なぁ、もっと見せてくださいよ。手ぇ……どけて?」

「ゔっぅ、ふっ……ン、ンッ」

「嫌? なら首振ったって駄目です。嫌ならちゃんと口で言って」


 やや手前にあるしこりを挿入のたびにごりごり押し擦りながら、優しそうな仮面を被った顔を近づけられた。

 一見甘い声の誘いだが、俺は何度も首を横に振る。その実従えば、羞恥に塗れながら揶揄されることが目に見えているのだ。

 口を押えている手を離したら、みっともなく感じている声が、手のひらに阻まれることなくやつの鼓膜に響く。


(そんなの、駄目だ……!)


 プライドだけで意固地に我慢をしているが、実際は情けない。早く、早く、となにを急かしているのか、酷い焦燥に駆られる。

 それでも我慢する。

 しかし三初は無情にも、抱えた俺の太ももの内側を手でなでながら、もう片方の手で口を塞いでいた堰を掴み上げた。


「っあ! っめ、はっ……ぃいっ嫌だぁ……っ」


 途端に唇の隙間から溢れる、耳を塞ぎたくなるほど蕩けたグズグズの媚声。


「すっげぇ、クるわ……っ」


 三初は眉を寄せ、心底気持ちよくてたまらないように、ニヤァ、と口角をあげた。

 常に余裕を保ち続けていたくせに、ちょっと泣きそうな俺が懇願の勢いで嫌がる顔を前にテンションをあげて笑っている。

 こいつ、なにがサドじゃねぇだよ。
 ──近年稀に見るドSじゃねぇか……ッ!


「ンぁ、あ、アぁ……ッ」


 言葉はもれなく甘く味付けをし直され、文句一つにもなりはしない。

 怒る暇もなくグリッグリッと熱い杭で弱いところを抉られ、なんとか唇を噛み、頭を振ってガクガクと悶える。

 限界まで勃起し赤く腫れたものの先から、コプ、と白濁が少しだけ溢れた。

 それを止めようと手に力を込めると体が緊張し、ギュゥ……ッ、と腹の中がキツく締まる。そして収縮すると中の三初のサイズをリアルに感じて、嫌に気持ちがいい。


「ぅあ……っぁ…っ……う…っ」


 すると、頭が霞がかる。
 熱い怒張が自分の中を出入りし、襞を擦る快感に媚びてしまう。

 それが気持ちいいから、握りしめても止められない白濁液が、また尿道口からトロ、トロと断続的に滴る。

 無限ループだ、こんなの。
 もう、ずっと出してるようなもんじゃねえか。




しおりを挟む
感想 137

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...