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第二話 先輩ワンコの沽券
15※
しおりを挟む「んぅ……ぅッ……ぅッ……ふぅ……っ」
俺が握り締めてまで我慢している様を煽るように内側から強烈に突かれ、手のひらの中でくぐもった喘ぎが反響した。
どうにか声を抑えようとしても、反射の勢いで口が開く。
大振りな律動に迷いはない。いつの間にか弱点の場所を把握されていたという事実を、いやでも実感した。
くそ、だめだ。内側から抉られて感じると声が抑えられないということを、こんなことで知りたくなかった。
「ぁっ……はっ…っ……ん、くっ」
「こら、先輩、しー……っ」
ニヤリと歪む口元が酷く楽しそうだった。声が我慢できなくなってきているのが嫌で、必死に俯き顔をそらす。
それほどの快感。握り締めたモノを擦りあげて今すぐに達したい。
もう、我慢できない、けど、我慢。我慢だ。
本当は、イキたくて泣きそう。
声我慢しねぇで好きなだけ喚いて、好きなだけイキてぇ。
快感に流される自分に悔しさもあり、涙は出ないが、目玉の表面が生理的な水分で潤んできた。
手のひらの下で、真っ赤に火照る顔が泣きたい顔にクシャりと歪む。
クソ、射精我慢なんか普通しねぇんだよ。それを生物の本能に逆らって我慢するなんて、無理で当たり前だ。
それほど切羽詰っても意地を張る俺が口元を覆っている手の甲に、勝ち誇った表情の三初がチュ、とキスを落とす。
「ハッ。俺がそれ見てるとイきそうって言ったから、わざとそんな顔してるんですか? 後輩弄んで、悪い先輩……なぁ、もっと見せてくださいよ。手ぇ……どけて?」
「ゔっぅ、ふっ……ン、ンッ」
「嫌? なら首振ったって駄目です。嫌ならちゃんと口で言って」
やや手前にあるしこりを挿入のたびにごりごり押し擦りながら、優しそうな仮面を被った顔を近づけられた。
一見甘い声の誘いだが、俺は何度も首を横に振る。その実従えば、羞恥に塗れながら揶揄されることが目に見えているのだ。
口を押えている手を離したら、みっともなく感じている声が、手のひらに阻まれることなくやつの鼓膜に響く。
(そんなの、駄目だ……!)
プライドだけで意固地に我慢をしているが、実際は情けない。早く、早く、となにを急かしているのか、酷い焦燥に駆られる。
それでも我慢する。
しかし三初は無情にも、抱えた俺の太ももの内側を手でなでながら、もう片方の手で口を塞いでいた堰を掴み上げた。
「っあ! っめ、はっ……ぃいっ嫌だぁ……っ」
途端に唇の隙間から溢れる、耳を塞ぎたくなるほど蕩けたグズグズの媚声。
「すっげぇ、クるわ……っ」
三初は眉を寄せ、心底気持ちよくてたまらないように、ニヤァ、と口角をあげた。
常に余裕を保ち続けていたくせに、ちょっと泣きそうな俺が懇願の勢いで嫌がる顔を前にテンションをあげて笑っている。
こいつ、なにがサドじゃねぇだよ。
──近年稀に見るドSじゃねぇか……ッ!
「ンぁ、あ、アぁ……ッ」
言葉はもれなく甘く味付けをし直され、文句一つにもなりはしない。
怒る暇もなくグリッグリッと熱い杭で弱いところを抉られ、なんとか唇を噛み、頭を振ってガクガクと悶える。
限界まで勃起し赤く腫れたものの先から、コプ、と白濁が少しだけ溢れた。
それを止めようと手に力を込めると体が緊張し、ギュゥ……ッ、と腹の中がキツく締まる。そして収縮すると中の三初のサイズをリアルに感じて、嫌に気持ちがいい。
「ぅあ……っぁ…っ……う…っ」
すると、頭が霞がかる。
熱い怒張が自分の中を出入りし、襞を擦る快感に媚びてしまう。
それが気持ちいいから、握りしめても止められない白濁液が、また尿道口からトロ、トロと断続的に滴る。
無限ループだ、こんなの。
もう、ずっと出してるようなもんじゃねえか。
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