上 下
286 / 462
第六話 敗北せよ悪魔ども!

38※

しおりを挟む


 九蔵はうつ伏せに倒れ込むようにつんのめり尻を上げたまま、たまらず目の前のニューイに縋りつく。

 するとニコニコと笑顔の人間ニューイは九蔵の髪を優しくなで、ルビーの瞳で〝続きをしよう?〟と語りかけた。

 九蔵はしぶしぶと、人間ニューイのモノに両手を添えて愛撫する。


「うぅむ、そんなに驚くとは思わなかったぞ。大したことじゃないのだよ? どちらも私なのだから、九蔵の体をよく知っている」

「あ、それは……んっ……」

「一生懸命私のを舐める九蔵は、かわいらしくていやらしいのだ」

『だから私もかわいがりたい』

「体が足りなかったのだよ」

『やめて欲しくなかったからね』

「ふ…ぅ……」


 二人揃ってフフフと照れくさそうに笑う声を聞き、九蔵はガックリと呆れつつ、文句を言うのは諦めることにした。

 言うのは勝手だが、器用なだけで本来恋人いない歴イコール年齢だった九蔵の若葉マークを思い出してほしいものだ。

 恥ずかしく気持ちよすぎるドロドロのセックスが、いつもと同じこと。

 だが、それを二人同時に?
 断じていつも通りじゃない。

 それにほとんど骨の悪魔ニューイにブツがあるとすると、体格に合わせてそれなりにワイルドなサイズである可能性が高いじゃないか。


「んっ……ん……」

(深いし、二本でもうキツいですし……)


 だって指でこんなに苦しい。
 背丈がゆうに二メートル以上ある悪魔ニューイの手は、異形のもの。

 手首は細いが手のひらが広く、滑らかな皮に覆われたドラゴンの手のように節くれだち、人間よりもまだ長い。

 自分の尻からグチュグチュと粘着質な音が聞こえ、ニューイの指や自分の指じゃ届かない箇所まで引っ掻いた。


「ぅ、っ……ふ……うっ……」


 九蔵は快感に打ち震える。
 当然手前のしこりもなすり潰され、襞をまんべんなく丁寧に丁寧にかわいがられるのだ。たまらない。

 ピクン、ピク、と跳ねる尻。腰が縮こまるが、逃げられない。いつの間にか勃起したモノが、足の間で先走りを滲ませる。


『ふふ、かわいい九蔵。もう一本挿れるぞ』

「っは……っ……ぁ」

「九蔵、寂しいよ。こっちの私も忘れないでおくれ」

「ンふ、っ……」


 具合を見ながら三本に増える悪魔の指に翻弄され気が反れてしまうと、口の中のニューイが喉奥を軽く小突いた。

 ゴフ、とむせると心配そうに頬をなでられる。
 大丈夫。顎は疲れるが苦しくはないし、やめようとは思わない。

 どちらもニューイだ。
 意識も感覚もなにもかも共有している、本物のニューイが二人いるだけだ。……いやどんな状況だ。脳内ツッコミが捗るじゃないか。

 なんとかあふれ出る蜜を啜りゴクンと飲み込むと、中を愛撫していた手が襞を振りほどき引き抜かれる。


「んあっ……!」


 突然の刺激に、九蔵は思わずしゃぶっていたモノから唇を離した。

 指が引き抜かれたということは、十分拡がったソコへ次に侵入するモノは、悪魔ニューイのモノだ。緊張でうぅぅ、と唸る。


「はっ、マジ、かっ……」

『失念していた……悪魔サイズのゴムがないのでこのままするしかない……』

「それはいいけど……っ」

(そちらのサイズ感はどんな具合ですかね……!)


 プライオリティマックス案件。
 悪魔サイズのブツは、いかほどなものでしょうか。

 戦慄する九蔵をしり目に、悪魔ニューイは困ったように嘆きながら割れ目の奥へヌル、ヌルと冷たい怒張を擦りつけた。

 悪魔のブツは、脈動していながら冷たいらしい。新感覚過ぎる。

 九蔵が視線で必死に目の前の人間ニューイに尋ねると、人間ニューイは自分の淫液と唾液、ルージュの混ざった九蔵の唇を嬉しそうに親指でなぞり、得意げに笑う。


「ふふん、一応私たちも考えて悪魔と人間とで分担したのだ」

『ふふん、そうなのだ』

「ぶ、分担?」

『悪魔の私の性器は、とてもじゃないが九蔵の小さい口には入らないだろう? 人間のカタチじゃないからね』

「んッ……!?」

「だけど九蔵の中は柔軟だ。うまくやるので破れたりしない。安全である」

『うむ、安全である』


 ちょっと待て。──人間のカタチじゃないなんて聞いていないぞ!

 ニューイたちのドヤッとした声に、九蔵は口角をヒクヒクと引きつらせ、死相の浮かんだ笑みを返した。




しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

朝目覚めたら横に悪魔がいたんだが・・・告白されても困る!

渋川宙
BL
目覚めたら横に悪魔がいた! しかもそいつは自分に惚れたと言いだし、悪魔になれと囁いてくる!さらに魔界で結婚しようと言い出す!! 至って普通の大学生だったというのに、一体どうなってしまうんだ!?

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

処理中です...