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後話 受難体質大河勝流
08※
しおりを挟むそうか、アゼルが俺を抱く時にたくさん噛み跡をつける気持ちがわかったぞ。
これは、興奮する。
味覚も快感の元かもしれない。
「うぁ、……ふ、かわいい。俺もお前の血なら……飲んでみたいな……ん……っ」
「~~ッだから、そう言うことしたら俺がいっつもオチると、思うなよ……ッ! ちゃんと自覚しろっお前は俺のもんだぜっ」
「っひ、あぁ……っ! あっ、も、自覚、してるじゃないか……っ」
悦にいる俺の言葉に、アゼルはギュッと触れる腕の力を強くする。
バスタオル越しだった愛撫は、するりと手を滑り込ませて直接肉芯を掠めはじめた。
逆上せた頭でその快感を逐一受け止めながらも、どうにか会話をつなげる。
俺がいくら噛み付こうと、アゼルに傷はつけられない。
つけたところで五秒もあれば元通りだ。
「絶対、他の男にも女にも、ついて行くなよ? 誰にも触れさせるなっ、お礼にとか律儀に土産なんか買いやがって……っ!」
「んっ……ヒ……ッそれは、ごめん、って言った、あっ」
「ふん。たまにはこうやって叱らねぇとな……俺がシャルのいうことならなんでも頷く従順な男だと思って、甘く見てたら大間違いだぜ。お前は変な男ホイホイなんだからな」
「ぅあっ、あっな、中ぁ……っ」
背中を這っていた手が割れ目をなで、そのままお湯でふやけた窄まりの中に、長い指が埋め込まれた。
中に入った指は自由に動き、入り口を拡げるようにグルグルと根本を掻き回す。
時折抜き差しをくり返し、俺を翻弄する意地悪な指。
俺ははやく受け入れようと下腹部に力を入れたり息を吐き、自らもっとと刺激を求めた。
「ンん……っぁう、っ」
ズブ、と二本目の指が挿入される。
いやらしく蠕動する媚肉はねっとりと絡みつき、期待に収縮を繰り返した。
内側をなぞる俺を知り尽くした指先が、クンッと曲がって中のしこりをトントンと突く。
その指を締め付けながら、俺は拗ねているアゼルの首筋にチュ、と吸い付いた。
キツく痕をつけるように吸い付いても、アゼルの肌にはほとんど残せない。すぐに消えてしまう。それはいつも残念だ。
夢中で体を重ねて触れ合う。
指を絡ませた肉茎をすり合わせると、自然と腰が揺らめいた。
浴室に反響する俺の喘ぎ声と、お互いの呼吸、お湯の揺れるパチャパチャとした波音。
「アゼル、アゼル……、んっ……俺は、いつも自覚、ちゃんとしてる……、はぁっ……だって、こんな……ん、ぅ……こんな、気持ちいい、嬉しいの、お前だけだ」
「うぐ……、っそんなのお前、こんだけ感度よかったら誰相手でも気持ちいいんだろうが。ほら、もう三本、奥まで飲み込んでる……欲しがってるだろ、奥」
「あ……っ! ぁ、そう、する体にしたのは、お前だ、ん、ぅ……き、気持ちいいと、好きは違う……っぞ……?」
溺れそうな体をアゼルにしがみつき耐えて、ツンと拗ねている整った彼の頬へ、困り顔でキスをした。
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