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第十話 人の心、クズ知らず。
13※
しおりを挟むしなやかな筋肉をまとった肉体が、玉のような汗を浮かばせ、火照りを発散できずにうぶ毛を逆立てて震えている。
キュッと引き締まった小尻の割れ目から、太ももにかけてが、ローションとも体液ともつかない粘液をまとい、オレンジ照明を浴びて光っていた。
「ハル、コレ、欲しいの?」
「っあ、っほ、欲し、っ……っ」
手を触れることはなく、尻の割れ目に唾液で十分に濡れそぼった怒張を宛てがい、ヌルリヌルリと擦る。
それだけでハルはアヤヒサの背に額を押しつけ、不自由な肢体を期待で熱く滾らせ悶える。
「ほし、欲しぃ……っ欲しいっ……じゅ、十五年以上……っ我慢した、俺……っ頼むから、俺、俺のハジメテ、根こそぎ汚せよぉ……っ」
「んふ? なんか、思ったより限界なカンジ? ありゃりゃ」
「ッひ、イッ、ッ……!」
バシンッ! ともちろん手加減はしてハルの尻を叩くと、ハルは引き攣った悲鳴をあげて海老反った。
そのままバシッ、バシッ、と白いケツを叩きながらうーんと思案する。
や、ハルが予想外に必死でさ。
だっておかしくね。ハルはまだ男に抱かれたことねーし、性格的も抱かれるより抱くほうが好きだもん。
だからウブでピュアな純情ボーイのハルが壊れてしまわないよう、俺は毎度丁寧に開発して、緩めて、他人に触られても嫌がらないように慣れさせていた。
「んッ……! ッつ、ぁ……!」
あとハル、言ってたんだよね。
俺に抱かれんのマジ勘弁的な。
いやまぁ正確に思い出せるけどサムシングで許してちょーだい。記憶ほじくったら日付も当てれるわ、タブン。
「さ、き……ッ!」
嫌がられるとシない。
でも嫌がられたいわけじゃない。
だからひたすらハルに触って舐めてキスして叩いて引っ掻いて押し潰して、ハルの体中の皮膚やその内側やら、俺が触ったら多少気持ちいいからオトクだって思い込ませたのだ。
でも、別に抱いたことはない。
中で達する癖はつけたけども。
なら、奥の奥まで犯してやったことがあるアヤヒサと違うハルが、こんなに空きっ腹を嫌がるわけねーでしょ。
「な。ハルはどう思う?」
「ヒッき……ッ!」
「乳首勃起させてないで、教えてよ」
バシッ! とひときわ強く尻肉を叩く。激しいの好きよな、ハル。
悲鳴で返事をするハルの穴に高ぶったモノを押しつけたまま、ハルの耳元に唇を寄せて、胸の突起に爪を刺す。
「くひ…っ……」
「俺はさ、ハルは穴より竿のが感じるだろうって、アヤヒサの中に突っ込んだまま動けないお仕置きをしてみたわけ」
「咲、っ……あっ……擦んねぇで……っ」
「なのにアヤヒサがしゃぶってんの見て俺のコレが欲しくなるって、どゆことかオマエ、ちゃんと理解してんの?」
「も、挿れて、ぇ……っ」
話しながら、片手はクリクリと乳頭を弄び、もう片手は真っ赤に腫れた打撃の患部を柔らかくなで、労る。
「ココにさ、お前、ねじ込まれてズボズボされたことねぇのに、自分からそうシてってオネダリしてんのよ」
「あ…ぁ……っ」
ハルが羞恥に焦げつきそうになったところでパッと手を離した。
支えを失った体が再度前のめりに倒れ込む。重なり合う二人に甲乙はつけられない。できればこのままここで永遠に寝そべっていてほしいと思う。
涼し気な美形であるアヤヒサと、苛烈な美形であるハル。
タイプは違うけど、どっちも質のいい筋肉がついた魅力的なカラダ。一般的な近寄りがたさはトントン。
ま、ただの甘えんぼうだぜ。
「ハルちゃん。そのシステム、完璧終わってんじゃね」
「っは……!」
使用頻度があがって剥き出しのままベッドのそばに置きっぱなしのゴムを取り、その封を歯で噛み切った。
腰を掴み、長く待ちわびて先端でつついただけでヒクン、ヒクンと呼吸し、吸い付く入り口を狙う。
今更かもしんねーけど、コイツらにすがりついて恋人関係になってもらってから、俺はちゃんとセックスマナーにも気を遣っているのだ。
ゴムでおめかしして、ベッドにブランケットも敷くし、グチョグチョユルユルに解してやる。
たいがい生で挿れろって言われるけど、基本は順守する。普通を踏襲する。ね、えらい?
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