276 / 319
第十話 人の心、クズ知らず。
03※微
しおりを挟むそれから咲野のマンションへの最短ルートを走り慣れたベントレーが到着し、理久が寝室へ入ってきたのは、通話を切ってからピッタリ十分後のことだった。
「実践してやるから足を開きなさい。ちょうどランチタイムだ。急ぎの用はない」
バタン、とドアが閉まる。
一分一秒で気分が変わる咲野に鍛え上げられたか、元々の気質か、どちらやら。いいや、その両方だろう。
分単位で宣言通りなんて気色悪い。
腹の立つ言い方もされた。
チャコールグレーのジャケットを脱ぎながら、理久は春木が寝そべるベッドに近寄り、冷めた視線で促す。
「ちゃーんと手洗いうがいはしたんだろうなぁ? クソガキ」
「とっくに消毒済みだよ、クソガキ。凶暴なウイルスに触るのだからね」
仕方なく起き上がると、理久は脱いだジャケットをハンガーにかけて、遊び時間もなくベッドに乗り上げた。
(はー速攻本番とかコイツ、抱く相手にすっとマジでつまんねぇな……ま、いいぜ。せっかくの月曜日に時間を浪費することねぇわ)
春木は内心で呆れ果て、それならそれでと舌を出した。
こちとら処女だが童貞ではない。
名前を呼びながら性欲を発散できるという理由で、サキという名の女に限り相手をしていた頃がある。若かった。
そこらへんの経験的に、理久は確定でモテないだろう。
ムードも作らず遊びもない挿れて出すだけの鉄仮面なんか、男女関係なくつまらない。そう咲野に吹聴しておくとする。ザマァミロ。
カーキのワイドパンツを脱ぎ捨て、下着のみの無防備な下半身を晒す。
枕を背に軽く寝そべると、腕をまくった理久が指にサックを着けてローションを手にし、不躾に春木の体に触れた。
不遜な大人センセーによるセックスレッスンのスタートだ。
「はっ……あんまベタベタ触んなよ? 咲のカラダに手垢ついちまう」
「ほう、私相手に触らず勃てられる自信があると? 結構。こちらも気乗りしない愛撫を省ける。是非ムードを盛り立てる発情期で淫らにリードしてくれ。レッスンは以上」
「アァンッ?」
「できないならがなるな。自分でも触れ。ドヤ顔で引っ張る自信がないからわざわざ呼び出したくせに……私を咲だと思ったほうが自然だな」
「オイオイ、火曜の男はウルセェぞ咲ちゃーん。月火兼任でも俺は構わねぇ、っく……!」
首を曲げて天井を煽る春木の中へ、ヌルヌルと入り口をなぞっていた理久の指がズプッ、と容赦なく突き込まれる。
春木が呻くが気にもせず、理久は胸の突起をシャツの上から捻った。
「ッあ、ッ……!」
「咲、月曜の男はケツの緩め方も知らない生娘だが、口と態度ばかり大きくて呆れるね」
「……ッせ、ンくらい、知ってらぁ……ッんふ、ぅ」
いちいちいけ好かない野郎め。
この態度で咲野だと思えだなんて、ずいぶん自分を高く見積ったものだ。
理久の右手の指が春木の中を這いずるまま、左手が喉元を過ぎて口腔内へもぐりこみ、唇や粘膜を擦り始めた。
舌も打てなくなったと嘆く言葉も吐き出せず、口内を愛撫する理久の指を舐めながら、春木は自身を慰める。
「ん、は」
眉間に皺を寄せ、フルリと震えた。
つい慣れた性器への快楽を追いかける本能を抑え、後ろの快感を拾う。
別に、中の開き方ぐらい、春木はちゃんと知っていた。
理久の指が引く時に合わせて括約筋に力を入れ、奥へ押し込む時に合わせて下腹部に力を入れる。
入り口を拡げながら前立腺を指先で挟んで中をかき混ぜる時は、襞で食むように小刻みに収縮させる。
そうすることでグチ、グチ、とローションのヌメリを借りながら、指は三本ほどをスムーズに呑み込む。
仕込みはもちろん、咲野だ。
焦れて理久を利用するくらいに本番行為以外はある程度いろいろと施されたカラダは、それなりに感度が高い。
スムーズに抱かれる自信とリードできるくらいの経験値、挿れられた時の感じさせ方がわからないだけである。
だから薄く目をつぶって意識を集中すれば、尻穴をまさぐられ前立腺を引っかかれる行為も異物感や違和感は薄く、滲む快感が勝った。
まぶたの裏に咲野を描けば、妄想をオカズに発散し慣れている春木は、簡単に脳内変換ができる。
「はっ…ん、ぁ」
「なるほどね……咲なら抱かなくともある程度躾をするだろうと思っていたが、嫌悪なく、これが気持ちいいことくらいは教わっているらしい」
「うふぇ、んぅ」
耳元に吐息を吹きかけ、舌打ちしたそうな顔で吐き捨てる理久。
舌打ちしたいのはこっちだ。
理久は、悔しいがやはり上手い。
アナルが切れないようしっかり拡張しつつも早々と見つけ出したしこりを的確に押しなで、きちんと春木を感じさせながら、指先一つで口内の性感帯を探り当ててはやましくなぞる。
その上唇は肌を舐め、呼吸まで使ってオスの欲望を炙るときた。
脳が二つあるのかと疑う程度には巧みに翻弄される。
おかげで自ら慰める肉茎は弾力を増して赤く熟れた頭部を見せ、蜜を滲ませ始めていた。クソが。殺意すら湧く。
0
お気に入りに追加
275
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
淫紋付けたら逆襲!!巨根絶倫種付けでメス奴隷に堕とされる悪魔ちゃん♂
朝井染両
BL
お久しぶりです!
ご飯を二日食べずに寝ていたら、身体が生きようとしてエロ小説が書き終わりました。人間って不思議ですね。
こういう間抜けな受けが好きなんだと思います。可愛いね~ばかだね~可愛いね~と大切にしてあげたいですね。
合意のようで合意ではないのでお気をつけ下さい。幸せラブラブエンドなのでご安心下さい。
ご飯食べます。
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる