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第八話 ショーゴと粉雪。
16(side翔瑚)※
しおりを挟むこんなの初めてだ。普通の恋人同士はこうなのか? だとしたら今、俺は咲に、愛されているんだな。
「あっ…はあ……っ気持ち、いい……っ」
「そりゃあよかった」
愛されている。
そう思うと無意識に包み込んでいる肉棒を締めつけてしまい、後ろに入ったモノの太さを感じて快感が増した。
咲のセックスとは思えないほど穏やかだ。咲は俺の要求をとめどなく受け止める。
咲だけを好きでいた俺は、誰とも付き合ったことがなかった。
幼い頃に淡く好きだった人はいたが、本気で恋をしたのは咲だけ。
普通の、なんて求めていたわりに、本当は普通のセックスなんて知らない。
だからただ俺がしてほしいだけのことをしてもらっている。
優しくして、なんていつも強請っていたけれど……優しく甘く愛される人々と同じく抱いてもらえたら、俺がどう感じるか。
初めて知った。
「んん…ッンッ…ん──……ッ」
鋭い角度をつけて根元の裏側から前立腺、膀胱までを一気になぞられ、ビクンッ、と弾んだ腰が背ごと仰け反った。
不格好な四つん這いの体勢で空気を犯すように突き出した男根からびゅく、と白濁液が飛び散り、アイボリーのシーツを汚す。
脈動に合わせて拡げられた中がぎゅっ、ぎゅう、と縮み上がり、崩れそうな尻を持ち上げる内ももがビクビクと痙攣した。
腹筋が波打ち、力が抜ける。
あぁ、ダメだ。気持ちいい。
後ろだけで出してしまうといつもは恥ずかしくて後戻りできない気がして唇を噛むが、今は恍惚と表情がゆるみ、力の抜けた腰を揺らした。
「はぁ……あ…ふっ」
「ん、もっとシてぇの? いーよ」
まだ一度も達していないのに、咲は俺の要求を優先して一定のテンポで狙い澄ました箇所をトン、トンと突き上げる。
イッたばかりでまだ硬くない濡れた肉茎がヒクンと震えた。期待だ。こうされると出さずにイクことができると体が知っていた。
俺は奥も感じるから、引き抜く時には腹側の性感帯を根こそぎ引っ掻いて、貫く時は結腸の入口まで届かせられるとすぐにイク。
いつもと逆だと思う。
セックスで恋人を楽しませる方法がまるでわからない俺は咲任せだ。
いつもは俺に指示して楽に性処理をしようとする咲が俺を体ごと堕落させる。
汗で湿るを通り越してヌルヌルとヌメる肌が触れるたび、パンッと破裂音が響く。
眉根を寄せて目をつぶる。
「さ、き……咲……」
「あ? なぁに」
優しく抱いてもらえたらどう思うか。
初めて知ったその答えを伝えようと声を上げると、ぐぷぐぷと深く強く出入りする怒張が動きを止めて俺の話を聞こうと身を乗り出す気配を感じた。
そんなことしなかったくせに。
こういう時ばかりちゃんと聞かないでほしいとワガママな気分になる。
わからないと聞き返され、全身を火照らせながらもう一度大きめの声で頼む。
もっとはっきり言えと耳たぶを噛まれたから、慌てて口を大きく開ける。
「少し、痛いことを、されたい」
今度は背後で吹き出す声が聞こえて、俺はくたくたになった腰を抱えられたまま茹でエビのように赤い身を丸くした。
だ、だからそんなにちゃんと聞くようなことじゃないと言ったのに……!
俺が無言でシーツに顔を埋めてブルブル震えていたってアハハ! と上げていた声をクスクスと潜めるだけで笑いっぱなしだが、咲のせいでこうなったのだ。
単純で強烈な雑みのない快楽を与えられ続けるセックスはもちろん気持ちいい。
けれど咲に慣れた俺の体は咲のやり方に順応している。梶ではスイッチが入れられなかったように咲でないと満足できない。
言っとくけどな、俺の性経験はだいたい咲のレベルで歪んだんだぞ?
童貞処女のノンケだったのにある日モデル並みの年下美形男子に押し倒されて前も後ろも全身隅々好奇心の餌食にされまくった俺が、シンプルに抱かれるだけでもの足りるわけないじゃないか。
「うぅ……っ童貞より先に尻を捨てた俺に普通のセックスなんかわからん……っ」
「ククッ、フッ、アハッ」
咲はひとしきり笑ったあと「じゃあ、こうしようか」と提案した。
「俺が思うに、ショーゴは根っこがセンセーに向いてねーんだ」
「い゛ッ……!?」
からかうように言いながらバチンッと強く尻を叩かれ、刺激にそなえていなかった神経がしゅんと怯えて縮こまる。
丸くなった体を仰向けに返され、グチュ、と結合部が擦れて声が漏れた。
そのまま自分の腰に足をまきつけるよう誘導して、咲は汗で湿った俺の前髪を優しく上げ、惰性じみた動きで律動を再開した。
「んっ……あ、はっ……」
「教えるより教わるほうが好みなんだよ。だからお望み通りすこーし痛い、俺が思うショーゴの感じるやり方をあげてく」
「俺の感じる、っん、やり方……?」
「そ。まずケツしばかれんのが割と好き」
「っ……! あ、改めて言葉にされると恥ずかしいな……んっ、う」
「なんで? 事実だろ。ショーゴはね、恥ずかしいのはあんま好きくねーけど躾られるのが好きよな。スパンキングとかドンピシャラブ。あと強要されんのも。嫌ならやめていいのにやめねーもん」
「しつ、そんなことない、っぁ、んん……っ」
「そっか? そうかもな」
一つ一つ分析しながら俺の顔をニンマリ薄く笑って覗き込む咲の顔が、ラブホテルの上品ぶった逆光で影の中に沈んでいる。
頬を伝う汗が俺の胸にポタ、と落ちる。
汗ばむ程度には絡み合ったあとだ。
「んなことないって言われても、俺にはわかんねーって言っただろ? だってショーゴ、こうされて悦んでるように見えるから」
「っく、ひっ……!」
なのにいつも通りの表情がまるで崩れない恋人がグリッと戯れに胸の突起をひねり潰すようなセックスが、俺のいつも通り。
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