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第一章

キュア

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 あれから更に1ヶ月たったが全然金が貯まんない。スキルも覚えない⋯⋯
 ギルドの受付に聞くと、実家に住んでいない冒険者は、モンスター討伐のクエストまでいかないと厳しいらしい。
 宿代・食費。モンスターと戦うなら回復薬が必要。そうなると払うものでほぼ無くなるとの事⋯⋯

 回復くらい【キュア】とか言えば薬草要らないんじゃね?と思った瞬間。体がほのかに光った。
 ⋯。
 ⋯⋯。

 おーい。なんだよ。まったく。なんだよ。
 スキルを覚えたら、コツつかんじゃってんじゃん!困ったもんだぜ。もうずっとニヤニヤが止まらねーよ。

 よっしゃ!武器なんか無くったって【ツノウサギ】倒せるっつーの。

 そうとわかれば早速町の外にツノウサギを倒しに向かう。
 初めて目覚たぶりに外に出て、テンションも上がった。

 前回ウサギに出会った場所に向かうとツノウサギが3匹見つけた。多少痛くとも、致命傷さえ食らわなければ楽勝だ。
 意気揚々とツノウサギに突っ込んでいく。
 前回と同じ様に1匹のウサギにフックを入れる。
 大きくぶっ飛び、動きが止まる。イケる!

 この3ヶ月で攻撃力も上がっているんだな。
 俺に気付いた残り2匹が同時に襲いかかってくる。1匹のは避けたが、もう1匹の突進は避けきれず腕をかすめる。
 結構痛い。ってか普通に痛い。
 早急に【キュア】と唱える。体がほのかに光る。
 ⋯。
 ⋯⋯。
 あれ、痛いままだ⋯⋯血は止まらない。
 何が起きたか考えていると、右足に激痛が走る。
 見ると右足にツノウサギが足に刺さっている。

 ⋯⋯嘘でしょ?
 再度【キュア】と唱えると体は光る。光るだけ。

 今度は左腕に激痛が。
 四の五の言ってられない。何度も【キュア】と唱えるが体が光るだけだ⋯⋯その間もツノウサギの突進が止まることは無い。

 殺される!!本能が叫ぶ。
【SPEED】と【スタミナ】を使い、逃げる。
 死に物狂いで走る。身体中から血が出てるし、激痛で気を失いかけるがここで止まったら、間違いなく殺される。

 ***

 スキルがあった為、何とか宿屋までたどり着きベックさんと目があったが、そこで気を失った――――
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