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第九回『カワテブクロ ヒトデで検索』
しおりを挟む「クリスマスですねー」
「渋谷に◯ミサイル落ちて終末の始まった新たな意味付けがされたらいいのに」
「そろそろシャレにならんからやめとけ」
「だから今のうちにしとくんだろ。ガチで戦時とかなったらネタにもできん。逆にいえばネタにできてるうちはまだギリ大丈夫ってことだよ。ま、切り替わる時は一瞬で、一日の区切りとも皆が休んでる時とも限らねーけどな、ケケケ」
「人工衛星と偽って、弾頭積んでたら開幕でしたからね」
「私、ちょうど水星の再放送見ててさー。しかもソフィとノレアがゲームにかこつけて、おっぱじめる話(苦笑)」
「なんでコクピット狙うんだよぉっ!?」
「そう。そんな気分で見てたもう」
「ちなみに弾頭には二種類あります。止められる奴と止められない奴。前者は普通に飛ばして、先っぽ切り離して、あとは慣性による自由落下なので落下地点が測定できますが、後者はアバンギャルド型っていって放たれてからも空中で制御ができ、しかも発射から十分くらいで着弾。この最新型は、米国でさえ不可避の放たれたら最後ってやつです」
「……申し訳ないんだけど、チンコと精子の話にしか聞こえない。亀頭を付け替えられるチンコで、安全日なら回避できるけど危険日は無理みたいな」
「本当に申し訳ないな」
「もうすぐワイのおにんにんが空を飛び回って大地に降り注ぐ時代が来るでー! ガハハっ! みたいな、ヒトラーもそんなこと言ってたらしいですから、あながち例えとして間違ってないのが恐ろしい」
「ミカパイセン、大丈夫……? 一回トイレ休憩入れようか……?」
しかし、言いながらマギは閃いた。
これはミカパイセンの巧みな話術によるフリだ! サービスの回だと言っているのだ。
リツにはまだ到達できないチームワークの域……そして何よりプロの世界……パイセンの意を汲んでしまった私が即興でやるしかない……。
マギは深呼吸して心の準備をすると、唐突に目を瞬かせて、足を閉じ、横に流し目アピールをするのだった。
「何ならパイセン……?」
「ん?」
「わ、わたしが……そ、その……お、お手伝い、します……か?」
「お前竿ついてないじゃん。どの口で手伝うとか吹いてんだよ。ほしいのはおっさんのぶっとくてストロークの長い本物のピストンなんだよ。中高生のひょろいので、一生懸命かくかく小刻みに腰振られると、あのAV女優の説明動画見た時みたいに笑っちゃう。振れてない、振れてないって笑、みたいな。あと女だったらみんな女同士、乙女の花園に交われると思うな。普通に引くやつもいるから。お前が男だったら乙女の嗜み本みたいに隣の男子の精液舐めたいって思うのか。しゃぶりてーって思うのか? 掘られてーって思うのか? 常識で考えろよ」
想像してたのとだいぶ方向性は違った……違ったけれども、これはこれで結果オーライってやつだろう。
「はぁ……っ……はぁっ……すぅーーっ……」
マギはわりと真面目なトーンで説教を喰らって過呼吸になりかけたが、プロの洗礼と思うことにして堪えた。
ミカは気にせず続けた。
「あーなんでこう、冬ってさ、人肌恋しくなんだろね。っぱ寒いから? そんなんどうだっていいから、温めあいたいってテープ巻きの兄貴みたいなこと考えちゃうのかな」
「二学期末にそんな気の迷いで付き合った奴らの、年明けには別れてて『え?! もう別れたの?!』って一声から三学期が始まる率を本気で調べあげて論文に起こしたい。後の後輩たちのためにも切実に残したい」
「ロシアでは不倫が当たり前らしいですよ。また、らしい、で恐縮ですが、テレビで見ました。文化的違いだから、はぇーそうなんだー程度で。でも私的には犬やハクビシン、コウモリ食べるよりまだマシだと思います。色白で本当にフランス人形が動いてるみたいに綺麗な人多いんですけどね。中身はわりと日本人の律儀な殿方には合わないかも」
「それ言ったら日本もクジラ食べるからなー。ちなみに意外に受け入れられないのが豆腐なんだよね。歯応えがないのが不満で、なんであえてこれを食べなきゃならないのかと考えてしまうらしい」
「あと馬肉ですね。イギリスなんかじゃ馬って日本で言うところの犬みたいな扱いですから、もうズッ友も甚しくて、え?! 友達食えって言うの?! ってくらいカルチャーショック受けるみたいです。お隣で犬食べるのに拒否反応示す日本みたいに」
「一方で日本なら沖縄もお盛んだから、一概に寒いからとは言えないんだよなぁ」
「そうなんですよねぇ」
意外に話題の通じ合うミカとリツの一方で、意外にもマギが押されがちだった。中高ホモォい推し活に誠意を出したツケがこんなところで来るとは……リツならまだしも、ミカに知的な話題で遅れをとることが許せない。
「それはよくある田舎でやることないから~論なんじゃね。島時間とかいうじゃん。それが良いとこでもあるんだけど」
「言っとくけど、マギ。沖縄だって本島はわりともう都会だからね。島時間とか言うのは宮古島とか端っこの孤島くらいだよ」
「ぐ……な、なんだと」
「この間リア友と話したんですが~、そうやってやっぱ田舎と思われていた地方でも気付いたらドバイとかあの辺みたいに都会化が目覚ましいじゃないですか。一方で山岳の奥地ってまだ過疎が多いんですよ。これもテレビで見た」
「あーたぶんあれでしょ。珍百景」
「あ! それです。ミカ先輩も見てるんですか?」
「チンコ好きだからさ」
「関係ねーだろ。チンアナゴ、ちんすこうも同じ理由で好きそうだな、お前は。正直言うと思ったけど」
「一度でいいから、ムラムラした時カワテブクロってヒトデ検索してみて。カワテブクロ、ヒトデ、ね。普通にぷっちょのケースが人知れず羨むレベルの生々しいフォルムしてっから。もう全身にモザイクかけるべきレベル。彼らには申し訳ないけど、存在がもう放送コードに引っかかってる」
「(無視)で、そのリア友が言ってたのは、最近の若者って自然に還りたいと思ってる節あるじゃないですか。スローライフとか地産地消とかふるさと納税頑張ってたり、自給自足的な。もう都会暮らしに疲れ切ってて」
「ああ、あるね。間違いない。てかもう何でもかんでも東京ってのに飽きてる。はいはいシティシティ格好いい格好いい、高マン高マン(高層マンションの略)すごいすごい、みたいな。オシャレとか流行とか、映える可愛いスイーツ(笑)とかにうんざりしてる。横浜民が横浜駅の人の多さにうんざりするくらい日本人、東京そのものに嫌気がさしてる」
「庭で畑とか耕して、そこで採れたもの食べて暮らせたらもう良くね? みたいな人たちも多くいると思うんですよ」
「うんうん」
「だから、あの過疎山岳地帯をちょっとヴィレッジみたいに開拓して、市とか県でお金出しあって、その開拓者に若者を誘致したらいいんじゃないかって」
「あー」
「良い運動にもなるし、開拓って響き楽しげで、結構来そうじゃないですか? 実際モデルとしてスイスのマッターホルンの麓とかってそんな感じの村なんですよ。良い感じで都会とロッジが半々くらいで」
「へぇ。イモトが石崎Dと登ったやつ」
「そうそう。仲良いなーとは思ってたけどまさかマジで結婚するとはって感じでしたね。で何より空が広くて高い。でもあれ見た時に日本にもこんな土地がまだあるじゃん! って思って。珍百景で見た感じ山奥で4、5軒くらいおじいちゃんおばあちゃんが暮らしてて。さらにいくともう一軒しかなくて、一人で暮らしてるとかそんななので、ロープウェイとかやって、耕していったら良い町おこし、観光地兼共同体になるんじゃないかって」
「まぁ地元住人、特にお年寄りの方々の説得というか協力とか色々問題もあるだろうけど、それはなかなか良さそうだね」
「でしょ? 私もこういうところに税金使うなら増税メガネさんも文句言われないと思うんですよ。若者から支持率も得られそうだし」
「ただまぁ、私たちが素人考えで好き勝手言ってるだけで、何も変わんないっていうね」
「まぁそうなんですけどね。本気でちょっと、やんないかなぁ。ま、知事とかその関係者でこんな番組見てたらそれはそれで、あ……お仕事大変なんだな……お疲れ様です……って勘繰っちゃいますけど」
「いや普通に私は好感持つわ。下手にSPY×FAMILYとかの話題出されるより、きっと好感持つ。麻◯副総裁がローゼンメイデン知ってたみたいな」
「あったあった。今回……結構真面目な話になってましたけど、何の話でしたっけ?」
「マギが意外とビアンゴだっていう」
ミカは上品に口に手を当てモノ◯マみたいな笑みをこぼす一方で、話になかなか加われないマギは沸騰寸前だった。
「ぐぬぬ……」
カットが入った。
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