42 / 107
第一章:不当解雇
第40話:魔獣討伐④
しおりを挟む
オーガロードだが、少々厄介なスキルを持っている。
俺やデンにはあまり関係ないが、自警団にとっては死活問題になりかねないな。
「だからこそ、ここで死んでもらうぞ!」
俺は目の前に立ちはだかるオーガファイターめがけて剣を振り抜く。
――ザンッ!
「……ん?」
『グルガアアアアッ! ……グルグググ、ゴガアッ!』
先ほどまでは一太刀で仕留められたオーガファイターだが、今回は左腕を半ばから両断するに止まる。
俺としては今までと同様に剣を振るったつもりなのだが……ふむ、あのスキルの影響か。
「数の暴力、ここに極まれりだな。だが――ふっ!」
『ゲガアッ!』
一太刀で仕留められなければ、二の太刀、三の太刀を振るえばいい。
だが、倍の時間が掛かってしまうので面倒ではある。
「群れが集まってくれているのは助かるが――ちいっ!」
邪魔な肉壁を排除しながら前進していたが、ここでも魔法の弾幕が降り注ぐ。
数も大きさも桁違い。……全く、これは俺にも面倒なスキルだったか。
「オーガロードのスキル――オーガの加護」
支配下のオーガに対して能力向上の効果を与えるオーガの加護は、支配者の近くにいればいる程にその効果を発揮する。
だからこそ、先ほどのオーガファイターは動きが良く一太刀で仕留められず、魔法の規模も桁違いになっていた。
「だが、この程度なら!」
多少衣類が燃えたり凍ったりするのは想定内。
後はこの肉壁を排除できれば――!?
『ウウゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
「う、煩いなあ! どんだけでかい雄叫びなんだよ!」
周囲の木々が揺れて落ち、地面が揺れて小石が跳ねる。
顔をしかめながら悪態をついていると、オーガたちの雰囲気が一変する。
瞳が真っ赤に血走り、肉体が隆起し、表情が狂気に染まる。
「……おいおい、マジかよ!」
BランクやAランクといった魔獣たちが、ランクを一つ上げて進化を始めたのだ。
ただのオーガがハイオーガに、オーガファイターがオーガナイトに、そしてオーガウィザードがオーガビショップになる。
それぞれハイオーガとオーガナイトがAランクに、オーガビショップがSランクだ。
「全く、オーガの加護にこんな使い方まであったとはな」
これだけハイランクの魔獣が数を揃えたのなら、確かに数の暴力が成り立つな。
「……仕方ない。ならばここからは――本気で相手をさせてもらうぞ!」
オーガロードがスキルの本領を発揮させたのなら、こちらも魔獣キラーを遺憾なく発揮させてもらおうか。
Aランクのハイオーガを一振りで縦の両断し、武器を持つオーガナイトにはその武器ごと斬り捨てる。
遠くにいるオーガビショップに対してはバードスラッシュを放つが、やはりSランクを守るためだろうか、Aランクの魔獣が肉壁になる。
しかし、バードスラッシュの威力も魔獣キラーのおかげで底上げされており、肉壁ごとオーガビショップを真っ二つにした。
「さーて、ここからが本番だ! 一番後ろでふんぞり返っていられるのも今の内……ん?」
待て、おかしくないか?
BランクがAランクに進化するのは、規格外だが可能性としては納得できる。
だが、AランクがSランクに進化するのはおかしいだろう。
「……どうして、Sランクの魔獣が同じSランクに魔獣を進化させる事ができるんだ?」
そこで俺は気がついた。
あり得ないと思っていたが、目の前で起きてしまった事を信じられない程、俺は堅物ではない。
だが、理解して受け入れるまでには多少の時間が必要だった。
「自分のスキルで、自分すらも進化させたのかよ!」
『ゲギャギャギャギャ! コロス……コロスコロス、コロスコロスコロスウウウウ!』
「人語を理解する魔獣……こいつ、マジかよ!!」
オーガロードが――SSランク魔獣、オーガキングに進化していやがる!
だが、進化した事でスキルにも変化が起きたようだ。
オーガの加護が消えたのはありがたい事だが、その代わりにオーガキングを強化するスキルに進化していた。
「スキル、キングの加護。配下が死ぬたびに、自らの能力が向上する」
オーガキングに進化したのはいつだったのか。
雄叫びをあげたあの時だろうか。もしそうであれば、俺は結構な数の配下を殺した事になる。
となれば必然的に――
『グルオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアッ! サラニ、ワレハ、ツヨクウウウウ!』
……あぁぁ、やっぱりか。
SSランクに進化してから数分しか経っていないにもかかわらず、俺が大量に配下を殺した事で一気に進化が進みやがった。
SSランクからの進化となれば、当然次のランクになるって事だよなぁ。
『ウウウウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! ワレハ、オーガを統べる魔獣!』
「ハイオーガエンペラー!」
おいおい、まさかサクラハナ国に来て数日でSSSランクの魔獣と相対するとか、あり得ないだろうが!
俺やデンにはあまり関係ないが、自警団にとっては死活問題になりかねないな。
「だからこそ、ここで死んでもらうぞ!」
俺は目の前に立ちはだかるオーガファイターめがけて剣を振り抜く。
――ザンッ!
「……ん?」
『グルガアアアアッ! ……グルグググ、ゴガアッ!』
先ほどまでは一太刀で仕留められたオーガファイターだが、今回は左腕を半ばから両断するに止まる。
俺としては今までと同様に剣を振るったつもりなのだが……ふむ、あのスキルの影響か。
「数の暴力、ここに極まれりだな。だが――ふっ!」
『ゲガアッ!』
一太刀で仕留められなければ、二の太刀、三の太刀を振るえばいい。
だが、倍の時間が掛かってしまうので面倒ではある。
「群れが集まってくれているのは助かるが――ちいっ!」
邪魔な肉壁を排除しながら前進していたが、ここでも魔法の弾幕が降り注ぐ。
数も大きさも桁違い。……全く、これは俺にも面倒なスキルだったか。
「オーガロードのスキル――オーガの加護」
支配下のオーガに対して能力向上の効果を与えるオーガの加護は、支配者の近くにいればいる程にその効果を発揮する。
だからこそ、先ほどのオーガファイターは動きが良く一太刀で仕留められず、魔法の規模も桁違いになっていた。
「だが、この程度なら!」
多少衣類が燃えたり凍ったりするのは想定内。
後はこの肉壁を排除できれば――!?
『ウウゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
「う、煩いなあ! どんだけでかい雄叫びなんだよ!」
周囲の木々が揺れて落ち、地面が揺れて小石が跳ねる。
顔をしかめながら悪態をついていると、オーガたちの雰囲気が一変する。
瞳が真っ赤に血走り、肉体が隆起し、表情が狂気に染まる。
「……おいおい、マジかよ!」
BランクやAランクといった魔獣たちが、ランクを一つ上げて進化を始めたのだ。
ただのオーガがハイオーガに、オーガファイターがオーガナイトに、そしてオーガウィザードがオーガビショップになる。
それぞれハイオーガとオーガナイトがAランクに、オーガビショップがSランクだ。
「全く、オーガの加護にこんな使い方まであったとはな」
これだけハイランクの魔獣が数を揃えたのなら、確かに数の暴力が成り立つな。
「……仕方ない。ならばここからは――本気で相手をさせてもらうぞ!」
オーガロードがスキルの本領を発揮させたのなら、こちらも魔獣キラーを遺憾なく発揮させてもらおうか。
Aランクのハイオーガを一振りで縦の両断し、武器を持つオーガナイトにはその武器ごと斬り捨てる。
遠くにいるオーガビショップに対してはバードスラッシュを放つが、やはりSランクを守るためだろうか、Aランクの魔獣が肉壁になる。
しかし、バードスラッシュの威力も魔獣キラーのおかげで底上げされており、肉壁ごとオーガビショップを真っ二つにした。
「さーて、ここからが本番だ! 一番後ろでふんぞり返っていられるのも今の内……ん?」
待て、おかしくないか?
BランクがAランクに進化するのは、規格外だが可能性としては納得できる。
だが、AランクがSランクに進化するのはおかしいだろう。
「……どうして、Sランクの魔獣が同じSランクに魔獣を進化させる事ができるんだ?」
そこで俺は気がついた。
あり得ないと思っていたが、目の前で起きてしまった事を信じられない程、俺は堅物ではない。
だが、理解して受け入れるまでには多少の時間が必要だった。
「自分のスキルで、自分すらも進化させたのかよ!」
『ゲギャギャギャギャ! コロス……コロスコロス、コロスコロスコロスウウウウ!』
「人語を理解する魔獣……こいつ、マジかよ!!」
オーガロードが――SSランク魔獣、オーガキングに進化していやがる!
だが、進化した事でスキルにも変化が起きたようだ。
オーガの加護が消えたのはありがたい事だが、その代わりにオーガキングを強化するスキルに進化していた。
「スキル、キングの加護。配下が死ぬたびに、自らの能力が向上する」
オーガキングに進化したのはいつだったのか。
雄叫びをあげたあの時だろうか。もしそうであれば、俺は結構な数の配下を殺した事になる。
となれば必然的に――
『グルオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアッ! サラニ、ワレハ、ツヨクウウウウ!』
……あぁぁ、やっぱりか。
SSランクに進化してから数分しか経っていないにもかかわらず、俺が大量に配下を殺した事で一気に進化が進みやがった。
SSランクからの進化となれば、当然次のランクになるって事だよなぁ。
『ウウウウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! ワレハ、オーガを統べる魔獣!』
「ハイオーガエンペラー!」
おいおい、まさかサクラハナ国に来て数日でSSSランクの魔獣と相対するとか、あり得ないだろうが!
6
お気に入りに追加
2,586
あなたにおすすめの小説
みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~
黒色の猫
ファンタジー
両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。
冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。
最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。
それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった…
そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。
小説家になろう様でも投稿しています。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
弟のお前は無能だからと勇者な兄にパーティを追い出されました。実は俺のおかげで勇者だったんですけどね
カッパ
ファンタジー
兄は知らない、俺を無能だと馬鹿にしあざ笑う兄は真実を知らない。
本当の無能は兄であることを。実は俺の能力で勇者たりえたことを。
俺の能力は、自分を守ってくれる勇者を生み出すもの。
どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。
だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。
ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。
かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。
当然のようにパーティは壊滅状態。
戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。
俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ!
===
【第16回ファンタジー小説大賞】にて一次選考通過の[奨励賞]いただきました
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
異世界を【創造】【召喚】【付与】で無双します。
FREE
ファンタジー
ブラック企業へ就職して5年…今日も疲れ果て眠りにつく。
目が醒めるとそこは見慣れた部屋ではなかった。
ふと頭に直接聞こえる声。それに俺は火事で死んだことを伝えられ、異世界に転生できると言われる。
異世界、それは剣と魔法が存在するファンタジーな世界。
これは主人公、タイムが神様から選んだスキルで異世界を自由に生きる物語。
*リメイク作品です。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる