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最強剣士
学園初日
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翌日、アルの気持ちは少しだけ高揚していた。
それは今日から魔法学園での授業が始まるからだ。
レベル1しか持っていないのだから大きなことはできないまでも、それなりに楽しく過ごし、そして友人を一人でも多く作ることができればいいなと考えていたのだが──友人作りは思いのほか難航していた。
「なあなあ、お前って入学試験の時に学園長へ突っかかっていった奴だよな?」
「全く、なんでそんなことするのかしら、おかしいんじゃないの?」
「ああいう輩には関わらない方がいいぜ」
アルが入学試験の時にアミルダが魔法を使っていると指摘したところはクラス全員が見ていたのだが、良かれと思ってやったことが悪い方向に印象付けられてしまったようだ。
「どうしてアル様の行為を悪く言うのでしょうか」
「まあ、長いものには巻かれろと言いますからね」
アルの味方をしてくれているのはリリーナだ。
クラスでも隣同士に座って助け合おうと話をしていたのだが、まさかリリーナ以外の生徒から邪険に扱われることになろうとは思いもしていなかった。
「俺は問題なく授業を受けて、問題なく卒業までこぎつけることができればそれでいいんですけどね」
「まあ。うふふ、アル様ったら」
「ど、どうしたんですか、リリーナ様?」
突然笑い出したリリーナに困惑顔のアルだったが、その理由はすぐに教えてくれた。
「すでに問題を起こしているではないですか」
「……え、ええええぇぇっ」
「それに……」
「ま、まだ何かあるのですか?」
「昨日までは自分のことを私、と仰っていましたが、普段は俺、と言うのですね」
「……あー、えっと、すみません」
「いえ! 謝ることではありません。学園では皆が平等なのですから」
平等、という部分に引っかかりを感じたアルだったがあえて口にすることはなかった。
しばらくすると教室のドアが開き教師が入ってきたのだが──
「みんなー、席に着きなさーい」
「「「「……が、学園長!?」」」」
「……マジかよ」
入学式の時に壇上から見せたウインクを向けられたアルだったが、顔を覆い見えていないことにした。
だが、アミルダがここにいるというのは明らかにあり得ないことだった。
なぜなら、ここはFクラスだからだ。
成績優秀者や高レベルの者が揃うAクラスの授業に学園長が参加して指導を行うことは稀にある。
しかし、Aクラスですら稀であり、Bクラスにもほとんど顔を見せない学園長が最低のFクラスに顔も見せるというのは絶対にあってはならない。
それは他の上位クラスから妬みを向けられるからだ。
「……あの、学園長?」
「んっ? どうしたのかしら、アル?」
誰もこの状況を受け止めきれないことから、仕方なくアルがアミルダに声を掛けた。
「ここはAクラスではないのですが?」
「知ってるわよ。アルもいるしね」
「……確認なのですが、他のクラスにも行かれたのですよね?」
「行くわけないじゃない。私の目的はここなんだから」
「……やっぱりか」
アルはキリアンから学園の上下関係や実力主義について聞いている。
学園は平等を謳っているが、それは文字の上だけの話であり実際は違っていた。
そして、それは生徒だけではなく教師も暗黙の了解として受け入れている。
学園長であるアミルダがそのことを知らないはずはないのだが、いったい何を考えているのだろうか。
「今年の生徒では、ここに優秀そうな人材が固まっているんだもの。だったら指導しに来るのは普通じゃないかしら?」
「だ、だからといってFクラスにいきなりとは──」
「が、学園長先生!」
そこに慌てた様子でやって来たのは初老の男性である。
「あら、どうしたのですか、ゼロア副学園長?」
「どうしてFクラスなんかにいらっしゃるのですか! 早くAクラスに戻ってください!」
「……Fクラス、なんか?」
「ぐうっ!」
ゼロアの発言に対してアミルダは鋭い睨みを利かせている。
「……エ、Fクラスなんか、ではないですか。早く戻りますよ、さあ!」
「……はぁ。仕方ないですね。それじゃあまた後でね、アル」
「……はあ」
頭を掻きながら教室を出て行くアミルダ。
続いてゼロアが出て行こうとしたのだが、なぜかギロリと一瞥を向けられてしまう。
「……問題は起こさないでいただきたい。ノワール家だからといって、何をしてもいいわけではないのだからな」
そう吐き捨てると、そのまま教室を離れていった。
「……まさか、学園長だけじゃなくて、副学園長からも目を付けられるとはなぁ」
初日から問題ばかりの学園生活。
そして──全く役に立たないタイミングでFクラスの担任教師がやって来たのだった。
それは今日から魔法学園での授業が始まるからだ。
レベル1しか持っていないのだから大きなことはできないまでも、それなりに楽しく過ごし、そして友人を一人でも多く作ることができればいいなと考えていたのだが──友人作りは思いのほか難航していた。
「なあなあ、お前って入学試験の時に学園長へ突っかかっていった奴だよな?」
「全く、なんでそんなことするのかしら、おかしいんじゃないの?」
「ああいう輩には関わらない方がいいぜ」
アルが入学試験の時にアミルダが魔法を使っていると指摘したところはクラス全員が見ていたのだが、良かれと思ってやったことが悪い方向に印象付けられてしまったようだ。
「どうしてアル様の行為を悪く言うのでしょうか」
「まあ、長いものには巻かれろと言いますからね」
アルの味方をしてくれているのはリリーナだ。
クラスでも隣同士に座って助け合おうと話をしていたのだが、まさかリリーナ以外の生徒から邪険に扱われることになろうとは思いもしていなかった。
「俺は問題なく授業を受けて、問題なく卒業までこぎつけることができればそれでいいんですけどね」
「まあ。うふふ、アル様ったら」
「ど、どうしたんですか、リリーナ様?」
突然笑い出したリリーナに困惑顔のアルだったが、その理由はすぐに教えてくれた。
「すでに問題を起こしているではないですか」
「……え、ええええぇぇっ」
「それに……」
「ま、まだ何かあるのですか?」
「昨日までは自分のことを私、と仰っていましたが、普段は俺、と言うのですね」
「……あー、えっと、すみません」
「いえ! 謝ることではありません。学園では皆が平等なのですから」
平等、という部分に引っかかりを感じたアルだったがあえて口にすることはなかった。
しばらくすると教室のドアが開き教師が入ってきたのだが──
「みんなー、席に着きなさーい」
「「「「……が、学園長!?」」」」
「……マジかよ」
入学式の時に壇上から見せたウインクを向けられたアルだったが、顔を覆い見えていないことにした。
だが、アミルダがここにいるというのは明らかにあり得ないことだった。
なぜなら、ここはFクラスだからだ。
成績優秀者や高レベルの者が揃うAクラスの授業に学園長が参加して指導を行うことは稀にある。
しかし、Aクラスですら稀であり、Bクラスにもほとんど顔を見せない学園長が最低のFクラスに顔も見せるというのは絶対にあってはならない。
それは他の上位クラスから妬みを向けられるからだ。
「……あの、学園長?」
「んっ? どうしたのかしら、アル?」
誰もこの状況を受け止めきれないことから、仕方なくアルがアミルダに声を掛けた。
「ここはAクラスではないのですが?」
「知ってるわよ。アルもいるしね」
「……確認なのですが、他のクラスにも行かれたのですよね?」
「行くわけないじゃない。私の目的はここなんだから」
「……やっぱりか」
アルはキリアンから学園の上下関係や実力主義について聞いている。
学園は平等を謳っているが、それは文字の上だけの話であり実際は違っていた。
そして、それは生徒だけではなく教師も暗黙の了解として受け入れている。
学園長であるアミルダがそのことを知らないはずはないのだが、いったい何を考えているのだろうか。
「今年の生徒では、ここに優秀そうな人材が固まっているんだもの。だったら指導しに来るのは普通じゃないかしら?」
「だ、だからといってFクラスにいきなりとは──」
「が、学園長先生!」
そこに慌てた様子でやって来たのは初老の男性である。
「あら、どうしたのですか、ゼロア副学園長?」
「どうしてFクラスなんかにいらっしゃるのですか! 早くAクラスに戻ってください!」
「……Fクラス、なんか?」
「ぐうっ!」
ゼロアの発言に対してアミルダは鋭い睨みを利かせている。
「……エ、Fクラスなんか、ではないですか。早く戻りますよ、さあ!」
「……はぁ。仕方ないですね。それじゃあまた後でね、アル」
「……はあ」
頭を掻きながら教室を出て行くアミルダ。
続いてゼロアが出て行こうとしたのだが、なぜかギロリと一瞥を向けられてしまう。
「……問題は起こさないでいただきたい。ノワール家だからといって、何をしてもいいわけではないのだからな」
そう吐き捨てると、そのまま教室を離れていった。
「……まさか、学園長だけじゃなくて、副学園長からも目を付けられるとはなぁ」
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そして──全く役に立たないタイミングでFクラスの担任教師がやって来たのだった。
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