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【完】ロク

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光…闇……王族…巡り人……

あーあ…俺には重いな~…

「ユウマ」
「……エル」

エルドレッドにも…悪いな…俺今までお前に好かれてんだと思って…

でも…

気持ち的には楽なんだよ……今が……

「ユウマこっちを見て…」
「……エル?」

普段から何を考えてるのか分からない、赤いエルドレッドの瞳には、暗い顔をした俺が写っていた。

グイッと引き寄せられるがままエルにもたれ掛かる。

「ユウマ好きです、好きなんです…!貴方が…どうしようも無い程に…!」
「やめろ…まだ城に着いてないだろ。」
「…私の前から消えないで…!」

背中に回る大きい手とか、ピッタリくっ付いた太ももとか。
エルが触れたとこ全部暑くて…ドキドキして……ぐちゃぐちゃで……

「……そんな顔、今までしなかったじゃないですか……っ」

どんな顔だよ、

「……愛おしい…私の…私だけのユウマ。」

あ…でも…分かるかも、俺…お前の傍に居ると幸せなんだ。落ち着くんだ。辛いこと全部忘れられる…。




「………もう…好きにしてくれ……」


「…ユウマ……?」



「…俺の事好きなんだろ……?」

「当たり前ですよ」



その顔…ほんとに勘違いする…俺を…俺だけを…見て欲しいって…思う…

「……なら…抱けよ、もう…めちゃくちゃにしてくれ」

「……ユウマ」

底に溜まった涙は、俺の知らぬ間に流れてて、酷く霞んだ声になった。

「………ごめん……」

……エル……エルドレッド…ごめん…ごめんなさい…好き…好きなんだよ……ずっと前から思ってた…

「……ぅ…うぅ……」
「……ユウマ」

抱きしめられた俺の体を、抵抗してない俺を…エルドレッドは一向に暴こうとしない。

いっつもこうだ…上手くできない…昔のことずっと引きずって…

「ごめん…好き。」
「ユウマ…?」

「すき…だいすき…ごめん…なさい」


「……俺が好きになると…死んじゃうから…!ずっと…エルも…って…怖かった!」

「ユウマ…それ…どういう事…?」

「父さんも…俺を庇って死んだ……母さんは俺を産んで死んだ…ばぁちゃんだって…俺が…俺がガキだったから……大変な思いして…」

本当は、分かってる、全部偶然だって。
でも…怖いもんは怖いんだよ。

父さんが撥ねられたトラックからした鈍い音も…最後の顔も…血も…全部覚えてる。

だから…エルも……って思うと…怖いんだよ……

「ユウマ…私は死なない…それに、自分の身位自分で守れる、それはユウマだってそうだ。」
「……」
「…私は、貴方のために死にません。」
「……エル…」

「それでも、私は自分の為に、貴方を安全な場所に置いておきます。たとえ戦の最中でも。」

「それじゃ…!んぐっ…!ぅあ…っ!」
「…ユウマ」

……エルの顔が…近い…し…これ…キス…してる……

「知ってました?うるさい口はキスで塞ぐんですよ。」
「っぁ…ひぁ!…しらな…い!」

しつこいくらい口を合わせると、嫌でも体がエルを拾う。

「も…!や!!うざい!!」

「…残念です。ふられちゃいましたね…?」

「知って…知ってるんだからな!お前が俺のオーラが好きなのは!!」
「……だけ?それはそれは…そんな事言ったのは誰ですか?分かっていませんね…」

「私はエルドレッド・ロマームとして、七瀬優馬。貴方が好きです。」

いつの間にか…アイツの憎たらしい顔には笑みが戻ってて、俺もなんでだか…嬉しくなって。



「……俺もだよバーカ!!」



王家の…無駄にでかい馬車の中で、外から丸見えのこの馬車で、自分からキスをするという醜態を晒していた。
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