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第九章 水曜日は乙女脳でチョロい
9-3話 お前の恋愛脳では、愛とか恋とかどうなってるの?
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食事が終わって、おれはポットのお茶(ハーブティー)を飲んでいた。昼休みはまだ時間があったので、前から気になっていたことを、最後の機会だから今日の妹に聞いてみることにした。
「お前の恋愛脳では、愛とか恋とかどうなってるの?」
「いきなりなんでそんな質問を?」と、今日の妹は言った。
「あー、兄さま、やっとわたくしの愛に気づいてくださいましたのね、カッコ棒。でもさ、あたしもその質問は気になるな。今まで恋愛要素が少なかったんで、ちょっとそういうの入れてみたくなった、みたいな?」と、冴野美登里(さやみどり)はからかった。
「えーと、好きな人というのは、その人と一緒にいると心が落ち着くというか、ずっとこのままいられたらいいなあ、とか、そんな感じ?」と、今日の妹は答えた。
「ワタシの場合は、この人の為なら死ねる、とか、この人が居ない世界では生きていけない、みたいな感じでしょうか」と、アメリカンでアメリカのヒーローっぽい真部岡恵留(まぶおかえる)さんは言って、何かの物真似をしてくれた。
「どうして…どうしておれたちは戦わなければならないんだよ、兄さん! 兄弟なのに、そんなのってないよ!」
真田一族かあ。
「甘いね、ふたりとも。実に甘い」と、美登里は言った。
「人を好きになるということは、好きな人がもう年を取って、認知症であたしが誰かわからないような状態になっても、その人のオムツを取り替えられるか、ってことなんだよ」
奉仕部の美登里が言うことだけに、リアル度と説得力がありすぎてつらい。
「…三絡さん、というか、猫(猫神)さんの場合はどうなの?」と、おれは三絡克真 (みつがねかつま)さんに聞いてみた。
「あー、要するに発情期ということだな。にゃー、にゃー、にゃー、すごく、すごく、すっごくエッチがしたいにゃー、みたいになるだけだ。でもそういうのは、実は神になってからは経験したことがないのだ。ヒトと猫はエッチするわけにはいかないから、飼い主とか好きなヒトとの関係とは違うな。それはウィン・ウィンではあるが、ひとつの打算というものだ」
よかった。発情期の三絡さんに迫られたら、逃げられる自信がない。
田部良紅羅架(たぶらくらか)さんは、と聞こうとしたが、すでに赤くなって下を向いて、周囲の温度を上げていたのでパスしよう。
「ぼくたちの場合は体液の交換かな」と、おれにとってのハーレム物語のホモ要員である流奇奈紘季(るきなひろき)は言った。
「銀河系のどこかに、龍神が天に昇ったあと集まって、体液の交換を派手にするところがあるんで。ヒトで言うところの大乱交パーティ場ね。そこで龍は繁殖して、子供たちを連れて故郷の星へ帰るんだけど、その途中で行方不明になったり、もう故郷に帰るのが面倒くさくなったりするのがいるから、ぼくたちの繁殖率は高くならないんだ」
「わたくしも兄さまと体液の交換はしょっちゅうしてますわ」と、今日の妹は言った。
「風呂に先に入ったり入られたりして。今、兄さまがお飲みになっているハーブティーは昨日の残り湯なので、エリーちゃんの体液も混ざっています」
おれは盛大に吹いた。
「というのは嘘ですが、兄さまが変態なのは本当です。わたくしの体液のついた…」
「もういい」と、おれは言った。
この話で嘘をついていい人間はおれだけで十分だ。
「お前の恋愛脳では、愛とか恋とかどうなってるの?」
「いきなりなんでそんな質問を?」と、今日の妹は言った。
「あー、兄さま、やっとわたくしの愛に気づいてくださいましたのね、カッコ棒。でもさ、あたしもその質問は気になるな。今まで恋愛要素が少なかったんで、ちょっとそういうの入れてみたくなった、みたいな?」と、冴野美登里(さやみどり)はからかった。
「えーと、好きな人というのは、その人と一緒にいると心が落ち着くというか、ずっとこのままいられたらいいなあ、とか、そんな感じ?」と、今日の妹は答えた。
「ワタシの場合は、この人の為なら死ねる、とか、この人が居ない世界では生きていけない、みたいな感じでしょうか」と、アメリカンでアメリカのヒーローっぽい真部岡恵留(まぶおかえる)さんは言って、何かの物真似をしてくれた。
「どうして…どうしておれたちは戦わなければならないんだよ、兄さん! 兄弟なのに、そんなのってないよ!」
真田一族かあ。
「甘いね、ふたりとも。実に甘い」と、美登里は言った。
「人を好きになるということは、好きな人がもう年を取って、認知症であたしが誰かわからないような状態になっても、その人のオムツを取り替えられるか、ってことなんだよ」
奉仕部の美登里が言うことだけに、リアル度と説得力がありすぎてつらい。
「…三絡さん、というか、猫(猫神)さんの場合はどうなの?」と、おれは三絡克真 (みつがねかつま)さんに聞いてみた。
「あー、要するに発情期ということだな。にゃー、にゃー、にゃー、すごく、すごく、すっごくエッチがしたいにゃー、みたいになるだけだ。でもそういうのは、実は神になってからは経験したことがないのだ。ヒトと猫はエッチするわけにはいかないから、飼い主とか好きなヒトとの関係とは違うな。それはウィン・ウィンではあるが、ひとつの打算というものだ」
よかった。発情期の三絡さんに迫られたら、逃げられる自信がない。
田部良紅羅架(たぶらくらか)さんは、と聞こうとしたが、すでに赤くなって下を向いて、周囲の温度を上げていたのでパスしよう。
「ぼくたちの場合は体液の交換かな」と、おれにとってのハーレム物語のホモ要員である流奇奈紘季(るきなひろき)は言った。
「銀河系のどこかに、龍神が天に昇ったあと集まって、体液の交換を派手にするところがあるんで。ヒトで言うところの大乱交パーティ場ね。そこで龍は繁殖して、子供たちを連れて故郷の星へ帰るんだけど、その途中で行方不明になったり、もう故郷に帰るのが面倒くさくなったりするのがいるから、ぼくたちの繁殖率は高くならないんだ」
「わたくしも兄さまと体液の交換はしょっちゅうしてますわ」と、今日の妹は言った。
「風呂に先に入ったり入られたりして。今、兄さまがお飲みになっているハーブティーは昨日の残り湯なので、エリーちゃんの体液も混ざっています」
おれは盛大に吹いた。
「というのは嘘ですが、兄さまが変態なのは本当です。わたくしの体液のついた…」
「もういい」と、おれは言った。
この話で嘘をついていい人間はおれだけで十分だ。
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