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第四章 月曜日は普通じゃない(裏)

4-4話 この、死なない程度に体調悪くなる、という微妙なさじ加減が難しいんだ

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 龍神の流奇奈紘季(るきなひろき)は青い液体をすごい勢いで飲んで「おかわりはないのか?」と言い、狐神の田部良紅羅架(たぶらくらか)さんは焦げ茶色の液体の匂いを何かの溶液を扱うのと同じように手で仰いで匂いをかいで鼻をしかめ、三絡克真 (みつがねかつま)さんは下から黒・オレンジ色・白の3色に分かれた液体をふうふうしながら舐め、おれはマロウブルーのピンク色の液体を口に入れてみた。

「…なんかあまりおいしくないですね?」

「そうなんだよねー、そういうときにはぁ、これを加えてみるの」と、茶道部部長の時尾摩殊(ときおまこと)先輩は、シュガーポットの、麦茶を濃い色にしたようなものを少しだけ入れてくれた。

「ふむ…植物性の甘みと、さわやかな渋みが出ますね」

「アマチャを煎じて濃縮したのよね。あと、ハチミツとかハッカとか、シナモンの棒でかき混ぜるとか、いろいろやってみるといいよ。あっ、アマチャ入れすぎたり、直接飲んだらだめだよ。多分死なないだろうけど、普通に下痢・腹痛・発熱とかの副作用あるから。この、死なない程度に体調悪くなる、という微妙なさじ加減が難しいんだ」

「な…なんか眠くなってきたのだ。手足の先がしびれて、全身がだるい…」と、三絡さんは言った。

 眠たいのはいつものことだが、ひょっとして毒を盛られたのか。

「曽根地(そねじ)くんのお茶はともかく、ほかの3つはめっちゃ危ない感じがする!」と、田部良は言った。

「いやいや、どれもそんなに、たいした問題じゃないレベルではない程度に大丈夫ですよ。お、そこの青っぽい人、じゃ、お代わり持ってきます」と、4つのお茶(じゃないと思うんだけど、一応)をどれも半分以上せっせと飲んでいる時尾先輩は、ふらふらしながら台所のところにある冷蔵庫に行って、昔の牛乳瓶みたいな入れ物に入っている、フルーツ牛乳みたいな液体を出した。腰に手を当てて、銭湯の湯あがりのおっさんのような勢いである。

「やめてください」と、流奇奈は瓶を持った時尾先輩の手首を取って言った。

「これは、ヒトが口にしてはいけない飲み物です」

「えー、そんなことないよ~。あたしは毎日3回ぐらい飲んでるしい。ていうか返せよこんちくしょう、殺すぞ。…ふわあああん、返してくださいお願いしますう、何でも言うこと聞きますう。…なんでダメなの、どうして? そうでよね、あたしみたいな子、どうせ誰からも好きになってもらえないよね…好きです、青っぽい後輩! だからだからその瓶くれよ。くれくれくれ!」

 これは面白い。

 でもこんなのを常飲してたら、廃部どころか廃人になるんじゃないかな。
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