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取り返しがつかないこと。
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勇太は飲み会が終わり迎えに来てというハルカからの連絡を、駅前にある商店街の親の店の中で待っていた。
店番の終わりに一度、実家に戻っても良かったのだが、帰るのもめんどくさくて、帳簿の管理や在庫確認などの雑務もしてしまおうと実家には戻らず、営業時間を終えて店のシャッターを下ろしてから、スーパーに足を運び夜ご飯を調達、そして再び親が営んでいる雑貨店に戻ると、細々とした雑務をしながらハルカの連絡を待った。
彩乃が予約をした居酒屋は同じ商店街の中にあって、ここから目と鼻の先だ。連絡をもらってすぐ迎えばハルカをひとりにする時間は少ないだろうと思った。帰りは車に乗ってアパートに戻る。
高校のメンバーでの飲み会をハルカはずっと楽しみにしていた。今頃、ハルカはお酒で酔っているだろうか?そんなに弱くもなさそうだが好んでお酒を飲むタイプでもない。お酒を飲むことよりも、みんなで楽しい会話をするあの居酒屋独特の雰囲気が好きなのかもしれない。
最近の勇太は信じられないほど幸せを感じていた。紆余曲折を経てずっとずっと好きだった幼なじみのハルカと同棲生活してること。ハルカの手料理がめちゃくちゃ旨いこと、ハルカとのセックスが愛おしくて愛おしくて仕方ないこと。
うっかり調子に乗ってハルカを怖がらせてしまう失態をしてしまうこともあって、勇太はその度にハルカに謝るが、ハルカは決して勇太を責めなかった。そればかりかハルカの方が申し訳なさそうにしていることの方が勇太は心が痛い。
ハルカは何も悪くないのだ。何も謝る必要なんてないのに勇太から見てハルカはレイプされた自分の体やその恐怖のことについて申し訳なさを感じてるようだった。
スマホの着信音が鳴りハルカだとばかり思っていたスマホの液晶画面の表示は、彩乃からの着信であるとつげていた。彩乃から電話?ハルカは?飲み過ぎちゃって立てないとか?
勇太は薄っすらとした嫌な予感がしつもも、彩乃からの着信を出る。彩乃から居酒屋であった出来事を聞いて、勇太は顔面蒼白になり、スマホを片手に店を飛びだした。
ーーーーーー
勇太は彩乃から教えてもらった居酒屋に着き、彩乃たちを探す。すぐに聞き覚えのある声を勇太の耳が捉えた。
「だってさー!ハルカ羨ましいんだもん!いいなーってみんなだって思うでしょ?えー?なになに?思ったこと言っちゃいけない訳ぇ?彩乃はいつもいつもハルカに優しいよね!ふぅ~だ~!ひなたもハルカが固定客になって嬉しそうだし。良かったねーだ!私なんて……ううっ……の、飲み過ぎたっ!もう帰るぅぅ!」と飲み過ぎたみずきが彩乃に突っかかっており、席を立つ前に勇太の手がみずきの肩を抑えた。
「あ!勇太っ!ハルカがっ!」彩乃が勇太に声をかけるより先に勇太はみずきに向かって
「おまえ!ハルカに何言ったんだっ!何言ったんだよ!!」
「あ~?勇太じゃん?久しぶり~ハルカと楽しく同棲してんでしょ?良かったねーー!つーか何そんなに怒ってる訳ぇぇ?私ね。ハルカが羨ましい!って言っただけ!そんなに悪いこと??都会で酷い目に遭って良かったんじゃん!って言っただけよ!そのおかげでこっちに戻ってきて彼氏作れたんだかさ!それでフルで働かなくてもパートで暮らしていけるなんていいね!って言ったの!!何よ!みんなでハルカ、ハルカって!不幸な目にあえばみんな、そんなに優しくしてくれるなら私もハルカと同じ目にあいたいわ!」
「ゆ、勇太っ!ダメッ!!」
ドンッ!!
勇太は怒りに任せてみずきの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。怒りで体が震える。何を言ってるんだこの女は。目の前の女は本当にハルカの友達なのか。酒に酔ってるからって言っていいことと悪いことがあるだろうがっ!!
「自分が苦しいからって他人を傷つけていい理由にはならねぇんだよ!ハルカがおまえに何したんだよ!ハルカの何を知っててそんなこと言うんだよ!教えてくれないからってそこはハルカの自由だろうがっ!自分がつれーからって他人の幸せにケチつけていいのかよ!おまえみっともねーぞ!羨んでんじゃねー!おまえはハルカを馬鹿にしたかっただけだ!ハルカの今の幸せに!……なんでおまえがっ!……何様なんだよ!おまえはっ!……それでも友達かよっ!」
一気に勇太の怒りを浴びたみずきは少し酔いが冷めたのか。勇太の逆鱗に怯んだのか。「だ、だって……」とさきほどまでのクダはもう巻かなかった。
「だ、ダメだ!ハルカにずっと連絡してるけど、通じないよ!勇太!ハルカを探した方がいいんじゃない?!」と勇太の背中からひなたが声をかけてくる。
勇太はみずきに向かって最後に
「ハルカはな。……自殺未遂2回もしてんだぞ。何があったかは言えないけど同じ目に遭いたかったなんて、二度とハルカの前で言うなっ!これでもしハルカに何かあったらおまえ、絶対に許さないからなっ!」
「え……?じさ……つみすい……」
みずきが勇太が言った言葉の意味を頭の中で反芻し、ようやく自分が取り返しのつかない発言をしてしまったと気づいた時には。そこに勇太の姿はなかった。
勇太がハルカの姿を探して求めて一通り商店街を見て回り、いないことを確かめてからハルカの実家に一報を入れ、勇太は同棲してるアパートにハルカがひとりで帰宅したことも考え、車を飛ばしてアパートの室内に入る。
勇太はそこに大量服薬したと思われるハルカが床に転がっているのを見た。
店番の終わりに一度、実家に戻っても良かったのだが、帰るのもめんどくさくて、帳簿の管理や在庫確認などの雑務もしてしまおうと実家には戻らず、営業時間を終えて店のシャッターを下ろしてから、スーパーに足を運び夜ご飯を調達、そして再び親が営んでいる雑貨店に戻ると、細々とした雑務をしながらハルカの連絡を待った。
彩乃が予約をした居酒屋は同じ商店街の中にあって、ここから目と鼻の先だ。連絡をもらってすぐ迎えばハルカをひとりにする時間は少ないだろうと思った。帰りは車に乗ってアパートに戻る。
高校のメンバーでの飲み会をハルカはずっと楽しみにしていた。今頃、ハルカはお酒で酔っているだろうか?そんなに弱くもなさそうだが好んでお酒を飲むタイプでもない。お酒を飲むことよりも、みんなで楽しい会話をするあの居酒屋独特の雰囲気が好きなのかもしれない。
最近の勇太は信じられないほど幸せを感じていた。紆余曲折を経てずっとずっと好きだった幼なじみのハルカと同棲生活してること。ハルカの手料理がめちゃくちゃ旨いこと、ハルカとのセックスが愛おしくて愛おしくて仕方ないこと。
うっかり調子に乗ってハルカを怖がらせてしまう失態をしてしまうこともあって、勇太はその度にハルカに謝るが、ハルカは決して勇太を責めなかった。そればかりかハルカの方が申し訳なさそうにしていることの方が勇太は心が痛い。
ハルカは何も悪くないのだ。何も謝る必要なんてないのに勇太から見てハルカはレイプされた自分の体やその恐怖のことについて申し訳なさを感じてるようだった。
スマホの着信音が鳴りハルカだとばかり思っていたスマホの液晶画面の表示は、彩乃からの着信であるとつげていた。彩乃から電話?ハルカは?飲み過ぎちゃって立てないとか?
勇太は薄っすらとした嫌な予感がしつもも、彩乃からの着信を出る。彩乃から居酒屋であった出来事を聞いて、勇太は顔面蒼白になり、スマホを片手に店を飛びだした。
ーーーーーー
勇太は彩乃から教えてもらった居酒屋に着き、彩乃たちを探す。すぐに聞き覚えのある声を勇太の耳が捉えた。
「だってさー!ハルカ羨ましいんだもん!いいなーってみんなだって思うでしょ?えー?なになに?思ったこと言っちゃいけない訳ぇ?彩乃はいつもいつもハルカに優しいよね!ふぅ~だ~!ひなたもハルカが固定客になって嬉しそうだし。良かったねーだ!私なんて……ううっ……の、飲み過ぎたっ!もう帰るぅぅ!」と飲み過ぎたみずきが彩乃に突っかかっており、席を立つ前に勇太の手がみずきの肩を抑えた。
「あ!勇太っ!ハルカがっ!」彩乃が勇太に声をかけるより先に勇太はみずきに向かって
「おまえ!ハルカに何言ったんだっ!何言ったんだよ!!」
「あ~?勇太じゃん?久しぶり~ハルカと楽しく同棲してんでしょ?良かったねーー!つーか何そんなに怒ってる訳ぇぇ?私ね。ハルカが羨ましい!って言っただけ!そんなに悪いこと??都会で酷い目に遭って良かったんじゃん!って言っただけよ!そのおかげでこっちに戻ってきて彼氏作れたんだかさ!それでフルで働かなくてもパートで暮らしていけるなんていいね!って言ったの!!何よ!みんなでハルカ、ハルカって!不幸な目にあえばみんな、そんなに優しくしてくれるなら私もハルカと同じ目にあいたいわ!」
「ゆ、勇太っ!ダメッ!!」
ドンッ!!
勇太は怒りに任せてみずきの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。怒りで体が震える。何を言ってるんだこの女は。目の前の女は本当にハルカの友達なのか。酒に酔ってるからって言っていいことと悪いことがあるだろうがっ!!
「自分が苦しいからって他人を傷つけていい理由にはならねぇんだよ!ハルカがおまえに何したんだよ!ハルカの何を知っててそんなこと言うんだよ!教えてくれないからってそこはハルカの自由だろうがっ!自分がつれーからって他人の幸せにケチつけていいのかよ!おまえみっともねーぞ!羨んでんじゃねー!おまえはハルカを馬鹿にしたかっただけだ!ハルカの今の幸せに!……なんでおまえがっ!……何様なんだよ!おまえはっ!……それでも友達かよっ!」
一気に勇太の怒りを浴びたみずきは少し酔いが冷めたのか。勇太の逆鱗に怯んだのか。「だ、だって……」とさきほどまでのクダはもう巻かなかった。
「だ、ダメだ!ハルカにずっと連絡してるけど、通じないよ!勇太!ハルカを探した方がいいんじゃない?!」と勇太の背中からひなたが声をかけてくる。
勇太はみずきに向かって最後に
「ハルカはな。……自殺未遂2回もしてんだぞ。何があったかは言えないけど同じ目に遭いたかったなんて、二度とハルカの前で言うなっ!これでもしハルカに何かあったらおまえ、絶対に許さないからなっ!」
「え……?じさ……つみすい……」
みずきが勇太が言った言葉の意味を頭の中で反芻し、ようやく自分が取り返しのつかない発言をしてしまったと気づいた時には。そこに勇太の姿はなかった。
勇太がハルカの姿を探して求めて一通り商店街を見て回り、いないことを確かめてからハルカの実家に一報を入れ、勇太は同棲してるアパートにハルカがひとりで帰宅したことも考え、車を飛ばしてアパートの室内に入る。
勇太はそこに大量服薬したと思われるハルカが床に転がっているのを見た。
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