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ハルカのお願い(番外編)
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年明けに兄の勇一と勇一のお嫁さんと一緒にハルカに新年の挨拶をするとしばらく勇太はハルカと会う機会がなかった。
何度もスーパーに足を運んでハルカが働いてる姿を探したが、どうやらハルカはあのナンパ野郎待ち伏せ事件の後にレジ打ちのアルバイトを辞めてしまったらしい。
あんな些細なことで、とは勇太は思わない。ハルカの恐怖はきっと勇太が思うよりもずっと深刻なのだ。勇太の母親の情報によればハルカはメンタルクリニックに通院してるという話だった。メンタルクリニック……要するに精神科だ。ハルカは専門的な治療が必要となるほど状態があまり良くないのかもしれないと勇太は思った。
それでもハルカに会いたい。ハルカに会いたいが、勇太からアクションを起こしてハルカのメンタルに何か影響を及ぼしてしまうのが、どうしても怖かった。今はそっとしておくべきだろうか?そんなことを考えていた冬の終わり頃、勇太が雑貨店の店番をしてる時にハルカがひょっこり現れた。
「いっらっしゃいませ……はっ!ハルカ?!
どどどうしたん?何か買い物か?!」
「おばさんに聞いたら店番してるっていうからここに来たの。あのさ。お願いしたいことがあって。無理ならいいんだけどさ。」
と躊躇いがちなハルカに向かって、勇太は身を乗り出す勢いで
「な、なんだよ?遠慮せずに言えって幼なじみのよしみだろうがっ!」と興奮気味にハルカに迫った。ハルカが俺にお願いごと?!なんだろう?とにかくめちゃくちゃ嬉しいっ!と勇太は喜んだ。
ハルカは少し目を伏せながら……
「原付バイク買うのに付き合って欲しいんだけど……あともし良かったらそのあと原付に乗る練習も」
とハルカは言うのだった。
ーーーーーーーー
勇太の連絡先は変わっていたので久しぶりにハルカと連絡先の交換を済ませると、バイク屋さんに原付バイクを買う日程を決めて、当日はバイク屋で現地集合、現地解散だった。
そしてまたナンバープレートや保険の手続きをしたりして新品のバイクをハルカの家まで運んでもらい、勇太はハルカと原付に乗る練習に付き合うことになった。
勇太は幸せだった。しばらくぶりのハルカに会えたこと。ハルカが原付を買うのに勇太を頼ってくれたこと。そして原付の練習も頼まれたこと。何もかもが幸せだった。
「これがアクセルでブレーキはここ。あまりアクセルを一気にふかすと原付でもタイヤが急発進してウィーリーみたいに前輪が宙を舞うことになるから気をつけてな。」
「うん。分かった。
き、緊張するっていうかちょっと怖いね。」
とあわよくばさりげなくハルカの手を触ってバイクについてレクチャーしたくなるが、そんなことをしたらハルカが怖がる。
勇太はハルカの体に触れるのは絶対に避けなければならなかった。勇太はうっかりハルカに触ってしまってまたハルカの恐怖スイッチを押さないように細心の注意を払った。
近所の道であらかた練習したあとは駅前の商店街で待ち合わせして一緒にランチを食べることになっていた。勇太は車で先に行って、ハルカは原付でゆっくり出発した。
勇太が車を駐車場に停めてから待ち合わせ場所でハルカを待っていると少ししてから、ハルカが小走りでやってきた。
「乗れたよっ!原付!道路凄く怖かったの!でも勇太!乗れたよっ!ありがとう!勇太!」
とハルカに笑顔で言われて勇太の胸はキュンキュンとなった。俺は少女かっ?!いや、しかし、なんて可愛いんだ。可愛すぎる。どうして幼なじみというアドバンテージを持っていたのに俺はハルカに今まで何もしてこなかったんだ!!
泥だらけになって友達と遊んでいる場合じゃなかった。ハルカともっと一緒に遊んでいれば良かった。中学になってみんなから揶揄からかわれるのが嫌で少し距離を取るなんてことしてなきゃ良かった!!
高校でたくさんたくさんアプローチしていれば、すました兄貴にハルカの恋心を持ってかれずに済んだかもしれないのにぃぃぃぃぃーーー!
と勇太は心の中でたくさんの後悔をするが、今は目の前のハルカとの時間を大切にしようと意識を現実に戻して、
「おぉ!良かったなハルカ。でも原付は事故った時に大怪我するからほんと気をつけてな。」と真剣な眼差しでハルカに忠告する。
「うん。気をつける。でも本当にありがとう。助かったよ。」
彩乃行きつけのパスタ屋というのが少し気に食わないでもなかったが、まぁそれはいい。2人で席を囲んでハルカと一緒に食べるパスタは、どんな店でも勇太にはきっと美味しく感じるはずだ。
勇太とハルカは”お互いの過去に触れることなく”、たわいもない話をしながらパスタランチを食べて、勇太にとっては幸せなひと時を過ごした。
ハルカにとってはどうだったんだろうか。男と何かあったのは分かるが勇太との時間はハルカにとって苦痛でないといいなと勇太は思った。
少し躊躇ったもののハルカとの別れ際に「無理しなくていいんだけど。これからお互い予定がない時は一緒に飯めし食べに行かないか?」と恐る恐るハルカに聞いた。
ハルカは「いいよ」とすぐに返事をくれて勇太は心の中でよっしゃぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!とガッツポーズを決めたのだった。
何度もスーパーに足を運んでハルカが働いてる姿を探したが、どうやらハルカはあのナンパ野郎待ち伏せ事件の後にレジ打ちのアルバイトを辞めてしまったらしい。
あんな些細なことで、とは勇太は思わない。ハルカの恐怖はきっと勇太が思うよりもずっと深刻なのだ。勇太の母親の情報によればハルカはメンタルクリニックに通院してるという話だった。メンタルクリニック……要するに精神科だ。ハルカは専門的な治療が必要となるほど状態があまり良くないのかもしれないと勇太は思った。
それでもハルカに会いたい。ハルカに会いたいが、勇太からアクションを起こしてハルカのメンタルに何か影響を及ぼしてしまうのが、どうしても怖かった。今はそっとしておくべきだろうか?そんなことを考えていた冬の終わり頃、勇太が雑貨店の店番をしてる時にハルカがひょっこり現れた。
「いっらっしゃいませ……はっ!ハルカ?!
どどどうしたん?何か買い物か?!」
「おばさんに聞いたら店番してるっていうからここに来たの。あのさ。お願いしたいことがあって。無理ならいいんだけどさ。」
と躊躇いがちなハルカに向かって、勇太は身を乗り出す勢いで
「な、なんだよ?遠慮せずに言えって幼なじみのよしみだろうがっ!」と興奮気味にハルカに迫った。ハルカが俺にお願いごと?!なんだろう?とにかくめちゃくちゃ嬉しいっ!と勇太は喜んだ。
ハルカは少し目を伏せながら……
「原付バイク買うのに付き合って欲しいんだけど……あともし良かったらそのあと原付に乗る練習も」
とハルカは言うのだった。
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勇太の連絡先は変わっていたので久しぶりにハルカと連絡先の交換を済ませると、バイク屋さんに原付バイクを買う日程を決めて、当日はバイク屋で現地集合、現地解散だった。
そしてまたナンバープレートや保険の手続きをしたりして新品のバイクをハルカの家まで運んでもらい、勇太はハルカと原付に乗る練習に付き合うことになった。
勇太は幸せだった。しばらくぶりのハルカに会えたこと。ハルカが原付を買うのに勇太を頼ってくれたこと。そして原付の練習も頼まれたこと。何もかもが幸せだった。
「これがアクセルでブレーキはここ。あまりアクセルを一気にふかすと原付でもタイヤが急発進してウィーリーみたいに前輪が宙を舞うことになるから気をつけてな。」
「うん。分かった。
き、緊張するっていうかちょっと怖いね。」
とあわよくばさりげなくハルカの手を触ってバイクについてレクチャーしたくなるが、そんなことをしたらハルカが怖がる。
勇太はハルカの体に触れるのは絶対に避けなければならなかった。勇太はうっかりハルカに触ってしまってまたハルカの恐怖スイッチを押さないように細心の注意を払った。
近所の道であらかた練習したあとは駅前の商店街で待ち合わせして一緒にランチを食べることになっていた。勇太は車で先に行って、ハルカは原付でゆっくり出発した。
勇太が車を駐車場に停めてから待ち合わせ場所でハルカを待っていると少ししてから、ハルカが小走りでやってきた。
「乗れたよっ!原付!道路凄く怖かったの!でも勇太!乗れたよっ!ありがとう!勇太!」
とハルカに笑顔で言われて勇太の胸はキュンキュンとなった。俺は少女かっ?!いや、しかし、なんて可愛いんだ。可愛すぎる。どうして幼なじみというアドバンテージを持っていたのに俺はハルカに今まで何もしてこなかったんだ!!
泥だらけになって友達と遊んでいる場合じゃなかった。ハルカともっと一緒に遊んでいれば良かった。中学になってみんなから揶揄からかわれるのが嫌で少し距離を取るなんてことしてなきゃ良かった!!
高校でたくさんたくさんアプローチしていれば、すました兄貴にハルカの恋心を持ってかれずに済んだかもしれないのにぃぃぃぃぃーーー!
と勇太は心の中でたくさんの後悔をするが、今は目の前のハルカとの時間を大切にしようと意識を現実に戻して、
「おぉ!良かったなハルカ。でも原付は事故った時に大怪我するからほんと気をつけてな。」と真剣な眼差しでハルカに忠告する。
「うん。気をつける。でも本当にありがとう。助かったよ。」
彩乃行きつけのパスタ屋というのが少し気に食わないでもなかったが、まぁそれはいい。2人で席を囲んでハルカと一緒に食べるパスタは、どんな店でも勇太にはきっと美味しく感じるはずだ。
勇太とハルカは”お互いの過去に触れることなく”、たわいもない話をしながらパスタランチを食べて、勇太にとっては幸せなひと時を過ごした。
ハルカにとってはどうだったんだろうか。男と何かあったのは分かるが勇太との時間はハルカにとって苦痛でないといいなと勇太は思った。
少し躊躇ったもののハルカとの別れ際に「無理しなくていいんだけど。これからお互い予定がない時は一緒に飯めし食べに行かないか?」と恐る恐るハルカに聞いた。
ハルカは「いいよ」とすぐに返事をくれて勇太は心の中でよっしゃぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!とガッツポーズを決めたのだった。
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