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25.お見舞い
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目を覚ますとベッドの上だった。
大人が3人くらい横になれそうな広いベッドだ。
暖炉の部屋からは移動したみたいだけど、ほんわりと温かい空気が漂っている。
部屋が暗いから今は夜だろうか。頭痛や眩暈もないし、もう寝なくても良さそう。
手を広げたけど端に届かなかったから、なんとなく転がってみた。
「ミノリ?起きたの?」
端まで転がると、頭上からノルックの声がした。
恐る恐る顔を上げると、ノルックと、少し離れた位置に4人くらいの人影がある。
誰もいないと思ったのに!めちゃめちゃ恥ずかしい…
内心動揺しまくりだったけど、平静を装って前髪を直しながら体を起こした。
「うん。今目が覚めたよ。」
声を聞いたら安心したのか、躊躇いなくノルックの手が伸びてきて頬を撫でられた。
なんだか心臓のあたりがくすぐったい。
「部屋を明るくいたします。」
離れた位置から声がして思わずノルックを押しやる。
不満気な顔をされたけど許して欲しい。
部屋を明るくしてくれたのはハンさんだった。ハンさんの近くにミィミとピナさんもいた。ミィミがベッドに来たそうなのをピナさんが押さえている。
その隣に、見たことのない女性がいた。
ロングの髪を一つにまとめて、無地の生地で作ったシンプルで動きやすそうな服装をしている。
誰なんだろう。…新しい友達候補の方とか?
「あの…。」
発した声は耳触りがよく、スッと通る声だった。声をかけながらチラリとノルックの方を見ている。
ノルックも、女の人の視線を感知して何か目で合図している。無表情だったけど。
思わず顔を120℃動かして視界に入らないようにした。
「ミノリ、少し席を外す。すぐ戻るから。」
背中からノルックの気配が消えた。
あわてて振り返ると部屋の扉が閉まるのが見えた。人影が5人から3人に減っている。
ノルックがいた位置にさっきの女性が移動していた。
「ミノリ様、はじめまして。カメル・ミラ・マルセルと申します。
私は治療者です。ミノリ様の体に異常がないか確認させていただきますね。」
ワンブレスで言うと、布団を剥ぎ取って腕を触り出した。遠慮がない力で細かくさすってくる。
「あ、あの、くすぐったい…」
「感覚はある。ということはこれが通常状態?意識があっても魔力を全く感じないなんて…」
ぶつぶつ呟きながら手がだんだん上に移動して、顔をペタペタ触ってきた。
目の前にある顔に息をかけてしまいそうで思いっきり吸い込んで止めた。く、苦しい…
「マルセル先生、ミノリ様が怯えていますわ。」
ピナさんが撫で回していたカメルさんの腕をそっと離してくれた。その隙に息を吐く。
「ミノリサマ!ダイジョーブですか?気を失ったって聞いて、さすがのウチもめっちゃ心配したんすよ?」
ピナさんの横からミィミが泣きそうな顔で湯気の出たタオルを差し出してきた。
「一応、モンバード様が清浄の魔法をかけてるっぽいけど、ミノリサマはオシボリ?っていうのが必要ってモンバード様が言ってたんで、作りました!」
「あ、ありがとう。」
ミィミから受け取ったタオルをそのまま顔に被せる。緊張が湯気と一緒に浮上していくようで、ほぅ、と息を吐いた。
前世でホットタオル気に入ってたから、森でも疲れた時によく作ってたんだよね。
ホットタオルで癒されながら、ふとノルックと一緒に退室されたのはハンさんだったことに気付く。
女性だけになるから気を遣ってくれたのかな。…いや、気を失う前にノルックからいろいろ言われてたし、仕事があるからか。
「なんかきもちよさそ。ウチもあとでやってみよっかな。」
ミィミの声で我に返る。
「あ、気持ちいいよ。ぜひやってみて。」
顔を起こすとタオルが剥がれた。少しの時間でもさっきよりスッキリした気がする。
「ミノリ様、お加減はいかがですか?」
ミィミの後ろからピナさんが声をかけてくれた。
「あ、ご心配おかけしました。寒くもないし、もう大丈夫みたいです。」
眉を八の字にしながら微笑んで、念の為、と温かいお茶を用意してくれた。
不謹慎なのはわかってるんだけど心配されていることが伝わってきて心が浮き足立ちそうになる。
「自覚症状がない場合もあります。ミノリ様は本当に魔力がないようで、私の力では貴女の体を点検することができませんでした。」
カメルさんは俯いて、ダラリと下げた両拳を強く握りしめた。
「えーっ、じゃあミノリサマ元気になったかわからないってこと?」
私が落としたオシボリを回収してから、ミィミがカメルさんに詰め寄った。
「ミノリ様がおやすみの間、恐れながら魔力の流れが確認できませんでしたので、衣服の上から見える範囲で目視させていただきました。
右の腕に鋭利なもので刺したような小さい跡を確認しています。新しい傷のようでしたのでそこから何かしらの薬剤を流し込まれている可能性があります。どんな薬剤かは今確認中ですので、少なくともわかるまではくれぐれも、くれぐれも安静になさってください。」
いつの間に鼻先近くまで接近されていた。
眉間の皺が深く刻まれている。
「ミノリサマになにあったらクビ飛んじゃうもんねー」
ケラケラと笑いながら言うミィミに、ノルックはそんなことしないと言いきれないところがつらい。
「そんなこと、させないようにノルックに言っておきます…」
言いながらさりげなく距離をとる。
一応保護者代わりのような身としては、申し訳なくて目を見れない。
「しかし、それとは別でミノリ様は大変興味深いです。人間は必ず大なり小なり魔力を保持しているという前提が覆されました。魔力がなくても生きられるというのはどういう仕組みなのか、解明すれば今までの常識が変わるかもしれない。
魔力がないから、あのモンバード氏が触れても何も感じないのですか?!」
さっき俯いてたの、悔しいのポーズじゃなくて、興奮を抑えてた方だったの…?
急に鼻息荒くなって怖い。キレイな顔なのに。
なんとなくだけど余計なことを言うとモルモットにされそうな予感がするから、カメルさんにはあまり話さないでおこう…
「え…と、皆さんはノルックの近くだと何か感じるんですか?」
逆質問してかわしたつもりが、これじゃあ“何も感じていません”と言ってるようなものだ。私のばか。
「モンバード氏に近付くと、普通の人は魔力の圧が強すぎて立っていられません。」
カメルさんが即座に答える。勢いが、怖い…
「あれ。でもミィミはノルックと仲良かったんだよね?まとわりついてたってノルック言ってたけど…」
まとわりついてたって、けっこう近くにいるイメージよね。
「いやいや、仲良いとか恐れ多すぎっすよ。ウチぶっちゃけ魔力はモンバード様の足元くらいかもしれないすけど、技量はそこそこあるんすよね。いちおーそれが認められてミノリ様の護衛を兼ねるってことで雇ってもらってるんで。
それでもモンバード様と接近するのは1mが限度です。まとわり…っていうか、最初の頃はモンバード様が気になって見に行ったりしたけど、離れたところから一方的に見てただけですよ。こないだモンバード様にミノリ様の惚気話聞かせてもらった時だってテーブル挟んででしたし、それでも肌はビリビリしてましたよ。」
「護衛…ビリビリ…」
初耳だ。護衛を兼ねていたという割にほとんど姿を見てなかったけど、隠密みたいなスタイルなのかな?ノルックは『喋るだけしか認めない』みたいなこと言ってた気がするけど。
それより、“一方的に見てた”って、やっぱりミィミはノルックのことが…
考えそうになったところを無理やり中断した。気を取り直して、ピナさんは?と聞くと
「私はミィミより魔力の面では劣りますので、先程の距離が限度です。
ハンさんはモンバード様に30cmまで近付けるみたいですが。」
なるほど。ということはハンさんってけっこうすごい人なんだね。
「モンバード氏がミノリ様を大事にするわけですね。人間なんだかんだ触れ合いは大事だと思いますから。」
この場では魔力での検査ができないので、代わりに前世でも受けたことがあるような、眼球に光をあてたり、体が動くかチェックされたり、気分が悪くないかという簡単な質問をしてカメルさんは退室していった。
くれぐれも安静に、と強く念押しして。
その後もノルックがなかなか戻って来ないから、ミィミとピナさんにお願いをして他愛もない話をしながら帰りを待つことにした。
大人が3人くらい横になれそうな広いベッドだ。
暖炉の部屋からは移動したみたいだけど、ほんわりと温かい空気が漂っている。
部屋が暗いから今は夜だろうか。頭痛や眩暈もないし、もう寝なくても良さそう。
手を広げたけど端に届かなかったから、なんとなく転がってみた。
「ミノリ?起きたの?」
端まで転がると、頭上からノルックの声がした。
恐る恐る顔を上げると、ノルックと、少し離れた位置に4人くらいの人影がある。
誰もいないと思ったのに!めちゃめちゃ恥ずかしい…
内心動揺しまくりだったけど、平静を装って前髪を直しながら体を起こした。
「うん。今目が覚めたよ。」
声を聞いたら安心したのか、躊躇いなくノルックの手が伸びてきて頬を撫でられた。
なんだか心臓のあたりがくすぐったい。
「部屋を明るくいたします。」
離れた位置から声がして思わずノルックを押しやる。
不満気な顔をされたけど許して欲しい。
部屋を明るくしてくれたのはハンさんだった。ハンさんの近くにミィミとピナさんもいた。ミィミがベッドに来たそうなのをピナさんが押さえている。
その隣に、見たことのない女性がいた。
ロングの髪を一つにまとめて、無地の生地で作ったシンプルで動きやすそうな服装をしている。
誰なんだろう。…新しい友達候補の方とか?
「あの…。」
発した声は耳触りがよく、スッと通る声だった。声をかけながらチラリとノルックの方を見ている。
ノルックも、女の人の視線を感知して何か目で合図している。無表情だったけど。
思わず顔を120℃動かして視界に入らないようにした。
「ミノリ、少し席を外す。すぐ戻るから。」
背中からノルックの気配が消えた。
あわてて振り返ると部屋の扉が閉まるのが見えた。人影が5人から3人に減っている。
ノルックがいた位置にさっきの女性が移動していた。
「ミノリ様、はじめまして。カメル・ミラ・マルセルと申します。
私は治療者です。ミノリ様の体に異常がないか確認させていただきますね。」
ワンブレスで言うと、布団を剥ぎ取って腕を触り出した。遠慮がない力で細かくさすってくる。
「あ、あの、くすぐったい…」
「感覚はある。ということはこれが通常状態?意識があっても魔力を全く感じないなんて…」
ぶつぶつ呟きながら手がだんだん上に移動して、顔をペタペタ触ってきた。
目の前にある顔に息をかけてしまいそうで思いっきり吸い込んで止めた。く、苦しい…
「マルセル先生、ミノリ様が怯えていますわ。」
ピナさんが撫で回していたカメルさんの腕をそっと離してくれた。その隙に息を吐く。
「ミノリサマ!ダイジョーブですか?気を失ったって聞いて、さすがのウチもめっちゃ心配したんすよ?」
ピナさんの横からミィミが泣きそうな顔で湯気の出たタオルを差し出してきた。
「一応、モンバード様が清浄の魔法をかけてるっぽいけど、ミノリサマはオシボリ?っていうのが必要ってモンバード様が言ってたんで、作りました!」
「あ、ありがとう。」
ミィミから受け取ったタオルをそのまま顔に被せる。緊張が湯気と一緒に浮上していくようで、ほぅ、と息を吐いた。
前世でホットタオル気に入ってたから、森でも疲れた時によく作ってたんだよね。
ホットタオルで癒されながら、ふとノルックと一緒に退室されたのはハンさんだったことに気付く。
女性だけになるから気を遣ってくれたのかな。…いや、気を失う前にノルックからいろいろ言われてたし、仕事があるからか。
「なんかきもちよさそ。ウチもあとでやってみよっかな。」
ミィミの声で我に返る。
「あ、気持ちいいよ。ぜひやってみて。」
顔を起こすとタオルが剥がれた。少しの時間でもさっきよりスッキリした気がする。
「ミノリ様、お加減はいかがですか?」
ミィミの後ろからピナさんが声をかけてくれた。
「あ、ご心配おかけしました。寒くもないし、もう大丈夫みたいです。」
眉を八の字にしながら微笑んで、念の為、と温かいお茶を用意してくれた。
不謹慎なのはわかってるんだけど心配されていることが伝わってきて心が浮き足立ちそうになる。
「自覚症状がない場合もあります。ミノリ様は本当に魔力がないようで、私の力では貴女の体を点検することができませんでした。」
カメルさんは俯いて、ダラリと下げた両拳を強く握りしめた。
「えーっ、じゃあミノリサマ元気になったかわからないってこと?」
私が落としたオシボリを回収してから、ミィミがカメルさんに詰め寄った。
「ミノリ様がおやすみの間、恐れながら魔力の流れが確認できませんでしたので、衣服の上から見える範囲で目視させていただきました。
右の腕に鋭利なもので刺したような小さい跡を確認しています。新しい傷のようでしたのでそこから何かしらの薬剤を流し込まれている可能性があります。どんな薬剤かは今確認中ですので、少なくともわかるまではくれぐれも、くれぐれも安静になさってください。」
いつの間に鼻先近くまで接近されていた。
眉間の皺が深く刻まれている。
「ミノリサマになにあったらクビ飛んじゃうもんねー」
ケラケラと笑いながら言うミィミに、ノルックはそんなことしないと言いきれないところがつらい。
「そんなこと、させないようにノルックに言っておきます…」
言いながらさりげなく距離をとる。
一応保護者代わりのような身としては、申し訳なくて目を見れない。
「しかし、それとは別でミノリ様は大変興味深いです。人間は必ず大なり小なり魔力を保持しているという前提が覆されました。魔力がなくても生きられるというのはどういう仕組みなのか、解明すれば今までの常識が変わるかもしれない。
魔力がないから、あのモンバード氏が触れても何も感じないのですか?!」
さっき俯いてたの、悔しいのポーズじゃなくて、興奮を抑えてた方だったの…?
急に鼻息荒くなって怖い。キレイな顔なのに。
なんとなくだけど余計なことを言うとモルモットにされそうな予感がするから、カメルさんにはあまり話さないでおこう…
「え…と、皆さんはノルックの近くだと何か感じるんですか?」
逆質問してかわしたつもりが、これじゃあ“何も感じていません”と言ってるようなものだ。私のばか。
「モンバード氏に近付くと、普通の人は魔力の圧が強すぎて立っていられません。」
カメルさんが即座に答える。勢いが、怖い…
「あれ。でもミィミはノルックと仲良かったんだよね?まとわりついてたってノルック言ってたけど…」
まとわりついてたって、けっこう近くにいるイメージよね。
「いやいや、仲良いとか恐れ多すぎっすよ。ウチぶっちゃけ魔力はモンバード様の足元くらいかもしれないすけど、技量はそこそこあるんすよね。いちおーそれが認められてミノリ様の護衛を兼ねるってことで雇ってもらってるんで。
それでもモンバード様と接近するのは1mが限度です。まとわり…っていうか、最初の頃はモンバード様が気になって見に行ったりしたけど、離れたところから一方的に見てただけですよ。こないだモンバード様にミノリ様の惚気話聞かせてもらった時だってテーブル挟んででしたし、それでも肌はビリビリしてましたよ。」
「護衛…ビリビリ…」
初耳だ。護衛を兼ねていたという割にほとんど姿を見てなかったけど、隠密みたいなスタイルなのかな?ノルックは『喋るだけしか認めない』みたいなこと言ってた気がするけど。
それより、“一方的に見てた”って、やっぱりミィミはノルックのことが…
考えそうになったところを無理やり中断した。気を取り直して、ピナさんは?と聞くと
「私はミィミより魔力の面では劣りますので、先程の距離が限度です。
ハンさんはモンバード様に30cmまで近付けるみたいですが。」
なるほど。ということはハンさんってけっこうすごい人なんだね。
「モンバード氏がミノリ様を大事にするわけですね。人間なんだかんだ触れ合いは大事だと思いますから。」
この場では魔力での検査ができないので、代わりに前世でも受けたことがあるような、眼球に光をあてたり、体が動くかチェックされたり、気分が悪くないかという簡単な質問をしてカメルさんは退室していった。
くれぐれも安静に、と強く念押しして。
その後もノルックがなかなか戻って来ないから、ミィミとピナさんにお願いをして他愛もない話をしながら帰りを待つことにした。
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