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〇〇視点 転落
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(〇〇視点)
初めて彼女の姿を見たときは雷に打たれたような衝撃をうけた。
薄い金色の髪を靡かせてサファイアの色の瞳をした彼女は、色が白く陶器のようなきめ細やかな肌をしており妖精のように可憐だった。
今にも折れそうな華奢な身体をした彼女を自分の手で守りたいと思った。
彼女の姿に心を奪われたのは私だけでなく、クラスのほとんどの男性が彼女の虜になっていた。
容姿が優れているだけでなく、心優しく清らかな彼女。
魅力的な彼女に比べたら、他の女性が石っころにしか見えなかった。
私は愛する人を手中に収めるために計画を立てた。
愛する人の周りには美しい容貌で優秀な人が集まっていた。
そのライバルたちを蹴散らすためには、彼女を直接落とすのではなく、外堀を埋めていく方法を選択した。
*
(イザベラはユラン様に何故か敵対心を持っている。これをうまく煽っていけばユラン様は孤立し追い詰められていくだろう。そこを私が助ければ…)
「イザベル嬢、そんなに険しい顔をしてどうされたのですか?貴女にはそんな顔は似合いませんよ。私でよければ話してください」
「あら、そんな上手なことをおっしゃっても、貴方はユラン様の味方なんでしょう?」
「何をおっしゃってるんですか?私は美しい貴方の味方ですよ。ユラン様はただのクラスメイトにすぎません」
愚かな女は、ただ口から出まかせに褒めたたえる私をすぐに信用した。
頭のおかしいこの女は、ここがゲームの世界で自分が主人公だという妄想を持っていた。
主人公の自分はやがて王子やその護衛騎士達と恋愛を繰り広げる。その中で重要な役目を果たすのがユランだと述べた。
劣情を抱くユランからイザベラを守ろうとして、彼達との愛が深まるのだと。
ユランが劣情を表に出さないため、ゲームが進まなくて困っている。そのため魅了効果を発する匂い袋を作成したが、ユランに渡せない。
これを受け取らないので、ユランが自分への邪な愛を示さず困っているんだと、匂い袋なるものを見せてきた。
既に匂い袋の効果は家族や使用人に用いて実証済みで、これからクラスメイトに使用する予定だそうだ。
(この女…とても画期的なものを持っているな。これは存分に利用させてもらおう)
「それでしたら、そのカールとやらにも、この匂い袋を渡したらよいではないですか」
「でも、カール様は私の物を決して受け取ってくれないのよ。肌身離さず持ってもらわないと、効果が持続しないから困っているのよ」
「なるほど…ではこの匂い袋の成分を分析してみましょう」
解析魔法が優れている私は匂い袋の中身を分析した。
いくつかの魔法を組み合わせることで、魅了する成分を抽出し凝縮することに成功した。
花にこのエキスを振りかけることで、より効果を持続することができるようになった。
「貴方の魔法はすごいわ。私、このエキスを使ってカールを堕としてみる」
なかなか自分に好意を抱かないカールに業を煮やしたイザベラは、匂い袋にエキスを加えてカールと接した。
徐々にエキスの量を増やしていき、カールがイザベラに陥落寸前、となったある日彼は突然姿を消した。
カールが陥落寸前で消えた焦りから、イザベラは暴走した。
突然ユランに暴行を行ったり、教師にエキス入りの匂い袋を手渡してユランを騎士科に転科するように誘導したりした。
イザベラが錯乱し暴走すればするほど、ユランが孤立化し追い詰められていった。
孤立化したユランに寄り添うことで、唯一の味方として私はユランの信用を得ていった。
これまでイザベラの暴走を内心喜んでいたが、今回の暴挙はさすがに予想外で困惑した。
(このままではユラン様と接点がなくなってしまう。何か方法を考えねば…)
*
「カールとも王子とも恋愛が進まないので、ユランに対し強硬手段に及ぼうと考えてるんだけれど…」
何か手を打とうと対策を立てていた矢先に、イザベラから相談があった。
ニヤニヤした彼女が取り出したものは魔女の雫という秘薬だった。
彼女の計画では、まず抽出したエキスを用いてイザベラに好意を抱かせる。次にユランにこの魔女の雫を嗅がせた後、自分をユランに襲わせるというものだった。
襲う寸前で王子やカールに助けてもらうことで、王子やカールとの愛が深まるという少女小説のような妄想だった。
(ユラン様に薬を使ったところで、イザベラみたいな下衆な女を襲うわけがないだろう…)
イザベラの浅はかな考えに呆れるとともに、明案が浮かんできた。
(もしかしてイザベラの企みを上手く利用したら、ユラン様を私のものに出来るのではないか?)
イザベラの企みには計画の破綻が見えていたが、イザベラの賛同をするフリをした。
魔女の雫を手に入れ、エキスと組み合わせ、効果を調べているうちに面白いことがわかった。
魔女の雫は単品では催淫材に過ぎず、エキスは単品ではイザベラにだけ反応する魅了エキスに過ぎないが、掛け合わせたときに予想外の効果を発することがわかった。
摂取後、数十分の間に性交した相手に劣情を抱くという、画期的な効果だった。
(これで、私がユラン様と性交すれば、ユラン様が私に恋するようになる…こんなに早く夢が叶うなんて…)
*
イザベラがユラン様を閉じ込めているという、演習場へと向かった。
(ユラン様を助けると見せかけて、どさくさに紛れてユラン様とセックスをしよう…イザベラは私の味方だ。何とでもなるだろう…性交して…これでユラン様が手に入る)
ユランの助けを装い、ユランへペニスを挿入しようとしたときに、予想外の邪魔が入った。
チャラそうなこの男は自分の方が先に楽しむ権利があると、私の目の前から獲物を掻っ攫っていった。
(悔しいがあと少しだ…あと少しでユラン様が私のものになる)
*
「はい。あと、そこのメテオ様も関与が疑われますので、同様に取り調べてよろしいでしょうか」
この瞬間、上手いこと渡り歩いていた自分の人生が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちていくのがわかった。
初めて彼女の姿を見たときは雷に打たれたような衝撃をうけた。
薄い金色の髪を靡かせてサファイアの色の瞳をした彼女は、色が白く陶器のようなきめ細やかな肌をしており妖精のように可憐だった。
今にも折れそうな華奢な身体をした彼女を自分の手で守りたいと思った。
彼女の姿に心を奪われたのは私だけでなく、クラスのほとんどの男性が彼女の虜になっていた。
容姿が優れているだけでなく、心優しく清らかな彼女。
魅力的な彼女に比べたら、他の女性が石っころにしか見えなかった。
私は愛する人を手中に収めるために計画を立てた。
愛する人の周りには美しい容貌で優秀な人が集まっていた。
そのライバルたちを蹴散らすためには、彼女を直接落とすのではなく、外堀を埋めていく方法を選択した。
*
(イザベラはユラン様に何故か敵対心を持っている。これをうまく煽っていけばユラン様は孤立し追い詰められていくだろう。そこを私が助ければ…)
「イザベル嬢、そんなに険しい顔をしてどうされたのですか?貴女にはそんな顔は似合いませんよ。私でよければ話してください」
「あら、そんな上手なことをおっしゃっても、貴方はユラン様の味方なんでしょう?」
「何をおっしゃってるんですか?私は美しい貴方の味方ですよ。ユラン様はただのクラスメイトにすぎません」
愚かな女は、ただ口から出まかせに褒めたたえる私をすぐに信用した。
頭のおかしいこの女は、ここがゲームの世界で自分が主人公だという妄想を持っていた。
主人公の自分はやがて王子やその護衛騎士達と恋愛を繰り広げる。その中で重要な役目を果たすのがユランだと述べた。
劣情を抱くユランからイザベラを守ろうとして、彼達との愛が深まるのだと。
ユランが劣情を表に出さないため、ゲームが進まなくて困っている。そのため魅了効果を発する匂い袋を作成したが、ユランに渡せない。
これを受け取らないので、ユランが自分への邪な愛を示さず困っているんだと、匂い袋なるものを見せてきた。
既に匂い袋の効果は家族や使用人に用いて実証済みで、これからクラスメイトに使用する予定だそうだ。
(この女…とても画期的なものを持っているな。これは存分に利用させてもらおう)
「それでしたら、そのカールとやらにも、この匂い袋を渡したらよいではないですか」
「でも、カール様は私の物を決して受け取ってくれないのよ。肌身離さず持ってもらわないと、効果が持続しないから困っているのよ」
「なるほど…ではこの匂い袋の成分を分析してみましょう」
解析魔法が優れている私は匂い袋の中身を分析した。
いくつかの魔法を組み合わせることで、魅了する成分を抽出し凝縮することに成功した。
花にこのエキスを振りかけることで、より効果を持続することができるようになった。
「貴方の魔法はすごいわ。私、このエキスを使ってカールを堕としてみる」
なかなか自分に好意を抱かないカールに業を煮やしたイザベラは、匂い袋にエキスを加えてカールと接した。
徐々にエキスの量を増やしていき、カールがイザベラに陥落寸前、となったある日彼は突然姿を消した。
カールが陥落寸前で消えた焦りから、イザベラは暴走した。
突然ユランに暴行を行ったり、教師にエキス入りの匂い袋を手渡してユランを騎士科に転科するように誘導したりした。
イザベラが錯乱し暴走すればするほど、ユランが孤立化し追い詰められていった。
孤立化したユランに寄り添うことで、唯一の味方として私はユランの信用を得ていった。
これまでイザベラの暴走を内心喜んでいたが、今回の暴挙はさすがに予想外で困惑した。
(このままではユラン様と接点がなくなってしまう。何か方法を考えねば…)
*
「カールとも王子とも恋愛が進まないので、ユランに対し強硬手段に及ぼうと考えてるんだけれど…」
何か手を打とうと対策を立てていた矢先に、イザベラから相談があった。
ニヤニヤした彼女が取り出したものは魔女の雫という秘薬だった。
彼女の計画では、まず抽出したエキスを用いてイザベラに好意を抱かせる。次にユランにこの魔女の雫を嗅がせた後、自分をユランに襲わせるというものだった。
襲う寸前で王子やカールに助けてもらうことで、王子やカールとの愛が深まるという少女小説のような妄想だった。
(ユラン様に薬を使ったところで、イザベラみたいな下衆な女を襲うわけがないだろう…)
イザベラの浅はかな考えに呆れるとともに、明案が浮かんできた。
(もしかしてイザベラの企みを上手く利用したら、ユラン様を私のものに出来るのではないか?)
イザベラの企みには計画の破綻が見えていたが、イザベラの賛同をするフリをした。
魔女の雫を手に入れ、エキスと組み合わせ、効果を調べているうちに面白いことがわかった。
魔女の雫は単品では催淫材に過ぎず、エキスは単品ではイザベラにだけ反応する魅了エキスに過ぎないが、掛け合わせたときに予想外の効果を発することがわかった。
摂取後、数十分の間に性交した相手に劣情を抱くという、画期的な効果だった。
(これで、私がユラン様と性交すれば、ユラン様が私に恋するようになる…こんなに早く夢が叶うなんて…)
*
イザベラがユラン様を閉じ込めているという、演習場へと向かった。
(ユラン様を助けると見せかけて、どさくさに紛れてユラン様とセックスをしよう…イザベラは私の味方だ。何とでもなるだろう…性交して…これでユラン様が手に入る)
ユランの助けを装い、ユランへペニスを挿入しようとしたときに、予想外の邪魔が入った。
チャラそうなこの男は自分の方が先に楽しむ権利があると、私の目の前から獲物を掻っ攫っていった。
(悔しいがあと少しだ…あと少しでユラン様が私のものになる)
*
「はい。あと、そこのメテオ様も関与が疑われますので、同様に取り調べてよろしいでしょうか」
この瞬間、上手いこと渡り歩いていた自分の人生が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちていくのがわかった。
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