上 下
41 / 61

イザベラの強行 1 ※

しおりを挟む
「おら、暴れんじゃねーぞ」

男は僕を追いかけてくる。
僕は土魔法で壁を作って身を隠しながら逃げるが、水魔法と物理攻撃で壁が壊されていく。

(コイツ…実技のときの…僕を執拗に追いかけてきた…)

騎士科の実演で対戦相手となった水魔法を使う男が、僕のことを捕まえようと攻撃を仕掛けてくる。

(まずいっ!逃げなきゃ…
どうしてこんなことになったんだろう。
こいつ…実技の時から僕を執拗に狙ってた…
こいつもイザベラの仲間だったのか…
王子は?…………王子が呼んでるって言っていたけど……王子もイザベラとグルなのか?)

ヒースとの話の後、毎日僕は図書室で調べ物をしていた。
そんな時伝言を伝えられた。
王子が俺を実演場まで来るように呼んでいると…
どうしても内密に伝えたいことがあるから一人で来るようにと…


(僕に伝えてくれたのが彼でなければ、罠だと疑ってしまっていたかもしれない。
でも、彼だったから…
言葉を信じてここまできたのに…
彼を信じてきたのに…彼もイザベラの手に堕ちてしまったのか…)


「あは…ドゥェインあんたってほんと悪趣味ね…
痛ぶって遊ぶなんて…まぁ、ちょっとぐらい怪我させてもいいから早く捕まえて…もうっ…早くしてよ。そんなに時間がないんだから…お金もちゃんと払ったでしょ」
急いでと言いながらも、この女は僕が追い詰められる様子を、けたけたと笑い声をあげて楽しそうに眺めてる。

(コイツ…ドゥェインて言うのか…
イザベラはこの暴力的な男に、お金を払ってまで僕を痛めつけようとしているのか…
王子からの呼び出しと嘘をついてまで…
ヒースはイザベラが何か企んでると言ってたけれど、このことだったのか…)

僕はイザベラの匂い袋の秘密を図書室で調べていた。
ゲームの中で僕と彼女が大きく動くのは、騎士科へ見学を行く時ーー今から半年以上も先のことだからと、少し油断していたのかもしれない。

(逃げなきゃ…少しでも他の生徒がいるところへ…
ここで捕まってしまったら何をされてしまうか…
もし僕の予想が正しければ…彼女は…)

実演場から教室までは少し離れている。声を上げても助けを呼ぶことはできない。
授業はとっくに終わっているので、実演場のまわりはガランとして人っ子一人いなかった。

(ドゥエイン一人ならこのまま魔法で耐え続けて、時間稼ぎをするしか…)


「俺も加勢しよう」
別の男の声が静かな実演場に響きわたった。静かに
成り行きを見守っていたイザベラの取り巻きの3人のうちの1人だ。
そいつは風魔法で壁を壊し、壊された土が風に飛ばされていく。

体力のない僕は防御壁を崩されると、逃げることが出来ない。落胆と体力の消耗で、僕は脚がもつれてしまい、膝から崩れ落ちてしまった。
はぁはぁと肩で息をする僕をイザベラの取り巻きたち3人が不敵な笑みを浮かべて駆け寄ってくる。

強い力で床に押さえつけられ、仰向けの状態で両腕を取り巻きの男の手で固定される。
上半身の自由を奪われ両足をバタバタさせて抵抗をすると、取り巻き1が僕の脚をガバッと広げ、取り巻き2人が両脚をそれぞれ固定する。

ドゥェインはにやにやと嫌らしい笑みを浮かべながら、取り巻きの様子を遠巻きに眺めている。

「もうっ‼︎本当はこんなことしたくなかったけど…
王子は学校来てるはずなのに、なかなか会えないし…
カールは途中までいい感じだったのに、なぜか学校こなくなったし…
ヒースはこれから出会えるとは思うけど…
このままじゃ、ハーレムエンドが迎えられないじゃない。誰かが私の邪魔をしているのよ。
考えたけど、あなたがバグなのよ。バグは修正しないと…」
白目を充血させて、ブツブツとつぶやく姿は狂気じみている。イザベラの目は落ち窪んでいて薄気味悪いほどギョロリとしている。

(頭がおかしくなっている?怖いっ!怖い怖い怖い)

「も、も、もしかして…僕が騎士科へ転科になったのも?」

「そうよ、だって、ユランは魔法科でなくて騎士科にいないとおかしいじゃない。間違った行動は正さないと!」
イザベラの表情はどこか冷気を放っている。僕の方を見据えてはいるが、虚空を見つめてゆらゆらと彷徨い焦点があっていない。
僕は戦慄した。

「ヒィッ!」
カタカタと震えが止まらない。

「ふふっ…ユランはイザベラのことを思っているの。媚薬を飲まされて身体が熱くなってきたユランは、恋焦がれたイザベラに襲いかかるのよ…
分かるわ。ほんと最低な行為でしょう…でもね…この行為が決められた定めなので避けられないのよ…
ユランがイザベラを襲うのは運命なのよ…ユランはそのためだけに存在するんだから」

ぶつぶつと小さい声で独り言を呟きながら、ゆっくりと近づいてくる。イザベラの姿はまるで意志を持たない人形のようで、血の気のない正気でない顔をしておりから瞳はどんよりと光を失ったように見える。

「やめろっ‼︎近づくな…!」
声を上げ必死にもがいて身体を動かそうとするが、男3人の手で押さえつけられた身体はピクリともしない。 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

雌化したぼくらは、雄たちの孕み袋

えい
BL
魔女の呪いにより、女が子供を産めなくなった国で、ある計画が実行される。 男を雌化させ孕み袋とする雌化計画。 魔女狩りを行っていた貴族家は、嫡子以外の適齢期の男を雌化させるように言い渡される。 雌化した男と、雌と交尾することしかできない男たちの物語。 ※淫語、幼児化、男母乳… ※受、攻どちらも不特定多数 ※群像劇 こちらの作品はpixivにも掲載いたします。

3人の弟に逆らえない

ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。 主人公:高校2年生の瑠璃 長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。 次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。 三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい? 3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。 しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか? そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。 調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m

欲情貞操教育 〇歳から始める非合意近親生交尾

オロテンH太郎
BL
春になったといっても夜は少し肌寒く、家に帰るとほんのり温かく感じた。 あんな態度をとってしまっていたから素直になれなくて一度も伝えられてないけれど、本当の家族みたいに思ってるって父さんに伝えたい。 幼い頃、叔父に引き取られた樹は、卒業をきっかけに叔父の本性を目の当たりにする……

近親相姦メス堕ちショタ調教 家庭内性教育

オロテンH太郎
BL
これから私は、父親として最低なことをする。 息子の蓮人はもう部屋でまどろんでいるだろう。 思えば私は妻と離婚してからというもの、この時をずっと待っていたのかもしれない。 ひそかに息子へ劣情を向けていた父はとうとう我慢できなくなってしまい…… おそらく地雷原ですので、合わないと思いましたらそっとブラウザバックをよろしくお願いします。

【R18】歪んだ家族の幸せ

如月 永
BL
ホモでメスガキの僕は、エッチな事が好きだった。 母さんがいなくなった家で、寂しいお兄ちゃんとお父さんは僕をメスとして愛してくれた。 セックスすると気持ち良いし寂しくなくて幸せなんだ。 <説明&注意点> 父×息子。兄×弟。3P。近親相姦。ショタ。ストーリー性0。エロ中心。 メスガキ感はあんまり出せてないかも。 一話2000文字くらい。続きの更新未定。 <キャラクター覚え書> ●お父さん(※名前未定): 会社員。妻に逃げられ、仕事に熱中して気を紛らわせたが、ある日気持ちがぽっきり折れて息子を犯す。 ●和雅(かずまさ): 兄。高校生。スポーツをしている。両親に愛を与えてもらえなくなり、弟に依存。弟の色気に負けて弟の初めてを奪う。 ●昂紀(こうき): 弟。僕。小学○年生。ホモでメスガキな自覚あり。父と兄とするセックスはスキンシップの延長で、禁忌感は感じていない。セックスは知識より先に身体で覚えてしまった。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

【BL・R18】可愛い弟に拘束されているのは何ででしょうか…?

梅花
BL
伯爵家長男の俺は、弟が大好き。プラチナブロンドの髪や青色の瞳。見た目もさることながら、性格も良くて俺を『にーに』なんて呼んだりしてさ。 ても、そんな弟が成人を迎えたある日…俺は… 基本、R18のため、描写ありと思ってください。 特に告知はしません。 短編になる予定です。地雷にはお気をつけください!

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

処理中です...