33 / 61
転科と実技
しおりを挟む
騎士科の教室にはほとんどの生徒が着席をしていた。
(ニコラス王子は教室にはいないな。まだ外交から帰ってないのだろうか。
王子がいないということは、当然のことだが、兄もいない)
目でいつのまにか兄の姿を探してしまう。
兄が不在を確認し、僕はため息をついた。
教室を開けた瞬間から痛いほど視線を浴びる。僕は目を合わせぬように俯きながら、事前に確認しておいた自席に座った。
机の上には騎士科の制服と教科書が置かれている。
ヒソヒソと話し声が耳に飛び込んでくる。
(僕のことを噂しているのかな。こんな中途半端な時期に転科したから?
それともイザベラとのことが噂になっている?)
「この制服に着替えていた方が良いかな?」
「そうですね。1限は実技があるので、ローブじゃない方が良いと思います」
周りの話し声を無視して、隣席の子ににこりと挨拶をする。少しメテオに似た優しい面立ちの隣席の子は、僕を見て顔を赤らめながら優しく教えてくれた。
*
ローブを脱いで騎士服に着替えた。
なぜかLLサイズのためユランにはかなり大きいが、これは騎士はすぐに身体を鍛えて大きくなるからと将来を見越したものなのだろうか…
ゲームのユランの屈強な体格ならこの大きさでもピッタリであったかもしれないので、もしかしたらこれもゲーム補正なのだろうか…
着替えに手間取りチャイムよりも少し遅れて実演場に到着すると、クラスメイトの視線が突き刺さってきた。
僕のことを新参者と興味本位で見ている人が大半だが、中には刺々しい視線やネットリとした視線もあり、背筋がゾッとする。
(ここにもイザベラの味方がいるのかもしれない。
僕を敵と見做して攻撃をしてくるかもしれないから、注意をしておこう。
騎士科にはメテオみたいな明確な味方はいないもの…)
実技は2人でコンビを組んで対戦を行うようだ。
見学のつもりでいた僕は、一番弱いコンビの補助につくことになった。
防御魔法と回復魔法で後方支援をすることになった。
この世界の魔法はそれほど強力なものはない。僕が使える土魔法は防御といっても一方向からの攻撃を壁を作って妨げる程度のものだ。それに、回復魔法といっても僕のヒールは体力増強ぐらいの力しかない。
(記憶が戻るまでは剣の鍛錬もしていたけど、ひさびさの実演だから剣も握れない。僕の魔法って本当に攻撃方面ではあまり役に立たないなぁ。
足を引っ張らぬように、後方からの二人への防御支援に集中しよう)
2人対3人での対戦となるが、相手方の2人は屈強な体格をしていて、見るからに強そうな空気を纏っている。
なぜか僕を見てにやりと笑った、2人のうちの背の高い男性は剣に加えて、水魔法が使えるらしい。
僕のように騎士科を選んでいる人の中にも魔力を扱える人は数人いるらしい。
(ニコラス王子は教室にはいないな。まだ外交から帰ってないのだろうか。
王子がいないということは、当然のことだが、兄もいない)
目でいつのまにか兄の姿を探してしまう。
兄が不在を確認し、僕はため息をついた。
教室を開けた瞬間から痛いほど視線を浴びる。僕は目を合わせぬように俯きながら、事前に確認しておいた自席に座った。
机の上には騎士科の制服と教科書が置かれている。
ヒソヒソと話し声が耳に飛び込んでくる。
(僕のことを噂しているのかな。こんな中途半端な時期に転科したから?
それともイザベラとのことが噂になっている?)
「この制服に着替えていた方が良いかな?」
「そうですね。1限は実技があるので、ローブじゃない方が良いと思います」
周りの話し声を無視して、隣席の子ににこりと挨拶をする。少しメテオに似た優しい面立ちの隣席の子は、僕を見て顔を赤らめながら優しく教えてくれた。
*
ローブを脱いで騎士服に着替えた。
なぜかLLサイズのためユランにはかなり大きいが、これは騎士はすぐに身体を鍛えて大きくなるからと将来を見越したものなのだろうか…
ゲームのユランの屈強な体格ならこの大きさでもピッタリであったかもしれないので、もしかしたらこれもゲーム補正なのだろうか…
着替えに手間取りチャイムよりも少し遅れて実演場に到着すると、クラスメイトの視線が突き刺さってきた。
僕のことを新参者と興味本位で見ている人が大半だが、中には刺々しい視線やネットリとした視線もあり、背筋がゾッとする。
(ここにもイザベラの味方がいるのかもしれない。
僕を敵と見做して攻撃をしてくるかもしれないから、注意をしておこう。
騎士科にはメテオみたいな明確な味方はいないもの…)
実技は2人でコンビを組んで対戦を行うようだ。
見学のつもりでいた僕は、一番弱いコンビの補助につくことになった。
防御魔法と回復魔法で後方支援をすることになった。
この世界の魔法はそれほど強力なものはない。僕が使える土魔法は防御といっても一方向からの攻撃を壁を作って妨げる程度のものだ。それに、回復魔法といっても僕のヒールは体力増強ぐらいの力しかない。
(記憶が戻るまでは剣の鍛錬もしていたけど、ひさびさの実演だから剣も握れない。僕の魔法って本当に攻撃方面ではあまり役に立たないなぁ。
足を引っ張らぬように、後方からの二人への防御支援に集中しよう)
2人対3人での対戦となるが、相手方の2人は屈強な体格をしていて、見るからに強そうな空気を纏っている。
なぜか僕を見てにやりと笑った、2人のうちの背の高い男性は剣に加えて、水魔法が使えるらしい。
僕のように騎士科を選んでいる人の中にも魔力を扱える人は数人いるらしい。
10
お気に入りに追加
1,582
あなたにおすすめの小説
雌化したぼくらは、雄たちの孕み袋
えい
BL
魔女の呪いにより、女が子供を産めなくなった国で、ある計画が実行される。
男を雌化させ孕み袋とする雌化計画。
魔女狩りを行っていた貴族家は、嫡子以外の適齢期の男を雌化させるように言い渡される。
雌化した男と、雌と交尾することしかできない男たちの物語。
※淫語、幼児化、男母乳…
※受、攻どちらも不特定多数
※群像劇
こちらの作品はpixivにも掲載いたします。
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
欲情貞操教育 〇歳から始める非合意近親生交尾
オロテンH太郎
BL
春になったといっても夜は少し肌寒く、家に帰るとほんのり温かく感じた。
あんな態度をとってしまっていたから素直になれなくて一度も伝えられてないけれど、本当の家族みたいに思ってるって父さんに伝えたい。
幼い頃、叔父に引き取られた樹は、卒業をきっかけに叔父の本性を目の当たりにする……
【R18】歪んだ家族の幸せ
如月 永
BL
ホモでメスガキの僕は、エッチな事が好きだった。
母さんがいなくなった家で、寂しいお兄ちゃんとお父さんは僕をメスとして愛してくれた。
セックスすると気持ち良いし寂しくなくて幸せなんだ。
<説明&注意点>
父×息子。兄×弟。3P。近親相姦。ショタ。ストーリー性0。エロ中心。
メスガキ感はあんまり出せてないかも。
一話2000文字くらい。続きの更新未定。
<キャラクター覚え書>
●お父さん(※名前未定):
会社員。妻に逃げられ、仕事に熱中して気を紛らわせたが、ある日気持ちがぽっきり折れて息子を犯す。
●和雅(かずまさ):
兄。高校生。スポーツをしている。両親に愛を与えてもらえなくなり、弟に依存。弟の色気に負けて弟の初めてを奪う。
●昂紀(こうき):
弟。僕。小学○年生。ホモでメスガキな自覚あり。父と兄とするセックスはスキンシップの延長で、禁忌感は感じていない。セックスは知識より先に身体で覚えてしまった。
近親相姦メス堕ちショタ調教 家庭内性教育
オロテンH太郎
BL
これから私は、父親として最低なことをする。
息子の蓮人はもう部屋でまどろんでいるだろう。
思えば私は妻と離婚してからというもの、この時をずっと待っていたのかもしれない。
ひそかに息子へ劣情を向けていた父はとうとう我慢できなくなってしまい……
おそらく地雷原ですので、合わないと思いましたらそっとブラウザバックをよろしくお願いします。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
【BL・R18】可愛い弟に拘束されているのは何ででしょうか…?
梅花
BL
伯爵家長男の俺は、弟が大好き。プラチナブロンドの髪や青色の瞳。見た目もさることながら、性格も良くて俺を『にーに』なんて呼んだりしてさ。
ても、そんな弟が成人を迎えたある日…俺は…
基本、R18のため、描写ありと思ってください。
特に告知はしません。
短編になる予定です。地雷にはお気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる