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父と息子
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「今日はお父さまと一緒に湯浴みをしようか」
貴族は親子であっても一緒に入浴をすることはない。はじめての提案に驚きつつも、嬉しかった。
鍛え抜かれた引き締まった身体は、筋肉質で完璧な肉体美を見せつけていた。
多々ある剣の傷さえも計算されつくしたかのように美しさを際立たせていた。
「父上の身体とても綺麗です。僕も父上みたいになりたかったな」
「ちょっと恥ずかしいな。でも、ユランもしなやかで綺麗な身体をしているよ。ユランはユランの良さがあるんだよ」
筋肉をつつく僕に、目を細めて父が言う。
僕には僕の良さ。そう、そう言ってくれていたらゲームの中でユランが間違った道へ進むことはなかったのかもしれない。
でも、ゲームの父と今の父は違うし、ゲームの僕と今の僕も違う。
*
「ん…やだっ…うぅっ…」
「ユラン………」
(泣きながら魘されている。この子は一体何に怯えているんだろう。
昼間にも時折ふと、悲しそうな顔をしているが…思い切り甘えて頼って欲しいものだが見守るのも親の務め…)
父ーリカルドーは、寝ているユランの頭を優しく撫で、涙をそっと指で拭い頬に唇を当てた。
魘されながらも目覚めないユランを抱きしめると、安心してきたのか寝息が落ち着いてきた。
「おはようございます、父上」
「おはよう、ユラン」
朝目覚めると、父の腕の中にいた。
抱きしめられていることに驚くも、父の腕の中は居心地がよく安心できて、嬉しいユランは父の胸にぐりぐりと頭を寄せた。
それ以来、リカルドは最初からユランを腕の中に抱き締めて眠るようになり、ユランが魘される頻度は少なくなった。
*
リカルドは寝ているユランの髪を撫でた。
入浴時に見たユランの細く白い頸に火照った顔、誘うような潤んだ瞳がふと思い出された。
ふつふつと邪な感情が湧いてきたが、リカルドは頭を振って振り払い、小さく呟いた。
「…お父さまもユランのことが心配だよ。
ヒースもいるし、カールも近くにいるから2人なら必ずお前を守るだろうが……」
(もともと、天使のような清らかさに幻想的な儚さが庇護欲をそそっていたが、最近では大人の妖艶さが混ぜ合わさって恐ろしいほどに魅惑的で…
このままでは魅力に惑わされてお前を傷つけるような不埒な輩が現れそうで心配で堪らないよ)
貴族は親子であっても一緒に入浴をすることはない。はじめての提案に驚きつつも、嬉しかった。
鍛え抜かれた引き締まった身体は、筋肉質で完璧な肉体美を見せつけていた。
多々ある剣の傷さえも計算されつくしたかのように美しさを際立たせていた。
「父上の身体とても綺麗です。僕も父上みたいになりたかったな」
「ちょっと恥ずかしいな。でも、ユランもしなやかで綺麗な身体をしているよ。ユランはユランの良さがあるんだよ」
筋肉をつつく僕に、目を細めて父が言う。
僕には僕の良さ。そう、そう言ってくれていたらゲームの中でユランが間違った道へ進むことはなかったのかもしれない。
でも、ゲームの父と今の父は違うし、ゲームの僕と今の僕も違う。
*
「ん…やだっ…うぅっ…」
「ユラン………」
(泣きながら魘されている。この子は一体何に怯えているんだろう。
昼間にも時折ふと、悲しそうな顔をしているが…思い切り甘えて頼って欲しいものだが見守るのも親の務め…)
父ーリカルドーは、寝ているユランの頭を優しく撫で、涙をそっと指で拭い頬に唇を当てた。
魘されながらも目覚めないユランを抱きしめると、安心してきたのか寝息が落ち着いてきた。
「おはようございます、父上」
「おはよう、ユラン」
朝目覚めると、父の腕の中にいた。
抱きしめられていることに驚くも、父の腕の中は居心地がよく安心できて、嬉しいユランは父の胸にぐりぐりと頭を寄せた。
それ以来、リカルドは最初からユランを腕の中に抱き締めて眠るようになり、ユランが魘される頻度は少なくなった。
*
リカルドは寝ているユランの髪を撫でた。
入浴時に見たユランの細く白い頸に火照った顔、誘うような潤んだ瞳がふと思い出された。
ふつふつと邪な感情が湧いてきたが、リカルドは頭を振って振り払い、小さく呟いた。
「…お父さまもユランのことが心配だよ。
ヒースもいるし、カールも近くにいるから2人なら必ずお前を守るだろうが……」
(もともと、天使のような清らかさに幻想的な儚さが庇護欲をそそっていたが、最近では大人の妖艶さが混ぜ合わさって恐ろしいほどに魅惑的で…
このままでは魅力に惑わされてお前を傷つけるような不埒な輩が現れそうで心配で堪らないよ)
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