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第二章「性愛の山」
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ひとしきり泣き、疲れて全身で息をしていると、足音が近づいてきた。
獣だろうか?
喰われるのかと思ったが、何をしているのかと女が聞いたので顔をあげると、姉だった。
―― 転んだのか?
大丈夫か?
痛むか?
と、姉は権太を起こしてくれ、さらには懐から古布を出して、顔を拭いてくれた。
姉が戻ってきてくれて、なおかつ傷の手当てもしてくれて、ほっと安心した。
それも束の間、姉から色々と小言をいわれた。
―― 何をしている?
なんでついてきた?
早く戻れ!
ついてくるな!
そう言って姉は背負向け、また歩き出した。
権太も、まだ所々痛むが、姉についていく。
―― 阿保!
なんでついてくる!
ついてくるな!
姉は後ろを振り返ることなく罵りながら、足早に歩く。
今度は絶対に遅れまいと、権太は必死でついていく。
―― 帰れ!
嫌や!
帰れ!
嫌や!
それを繰りながら、権太は姉にしがみ付くようにしてついていった。
しばらくすると、姉も権太のしつこさにへきへきして諦めたのか、黙り込み、黙々と歩き続けた。
権太も、黙って姉の後を歩く。
どこに向かっているのか分からない。
が、十兵衛のところだとは分かっていた。
どのくらい歩いたろうか?
はじめは姉についていくのが必死で、早く十兵衛に会いたいという一心で歩いていたが、流石に疲れてきた。
姉も、息があがっているようだ。
ときどき立ち止まって、ふうふうと大きな息をしている。
少し休みたい。
だが、姉が再び歩き出すので、権太も力を振り絞って歩き続けた。
獣だろうか?
喰われるのかと思ったが、何をしているのかと女が聞いたので顔をあげると、姉だった。
―― 転んだのか?
大丈夫か?
痛むか?
と、姉は権太を起こしてくれ、さらには懐から古布を出して、顔を拭いてくれた。
姉が戻ってきてくれて、なおかつ傷の手当てもしてくれて、ほっと安心した。
それも束の間、姉から色々と小言をいわれた。
―― 何をしている?
なんでついてきた?
早く戻れ!
ついてくるな!
そう言って姉は背負向け、また歩き出した。
権太も、まだ所々痛むが、姉についていく。
―― 阿保!
なんでついてくる!
ついてくるな!
姉は後ろを振り返ることなく罵りながら、足早に歩く。
今度は絶対に遅れまいと、権太は必死でついていく。
―― 帰れ!
嫌や!
帰れ!
嫌や!
それを繰りながら、権太は姉にしがみ付くようにしてついていった。
しばらくすると、姉も権太のしつこさにへきへきして諦めたのか、黙り込み、黙々と歩き続けた。
権太も、黙って姉の後を歩く。
どこに向かっているのか分からない。
が、十兵衛のところだとは分かっていた。
どのくらい歩いたろうか?
はじめは姉についていくのが必死で、早く十兵衛に会いたいという一心で歩いていたが、流石に疲れてきた。
姉も、息があがっているようだ。
ときどき立ち止まって、ふうふうと大きな息をしている。
少し休みたい。
だが、姉が再び歩き出すので、権太も力を振り絞って歩き続けた。
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