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第1章 僕にしか懐かないおキツネさま

第3話 餌付けされる僕

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僕たちは、ハンバーガ屋さんに来ていた。

結局、美咲にベジタブルなバーガーセットを奢らされている。

まあ、元々美咲の食費は僕持ちなのだから仕方がない。

実は、実家から離れて暮らす条件だったから。

僕は、いま美咲と二人で暮らしている。

それが、条件だった。

最初は、一人暮らしだったが1年の時に美咲が不登校になったこともあり僕と同居になった。

いまは、学生ではありえない大きな部屋に住んでいる。

1フロアぶち抜きのアパート。

3LDKだったかなぁ。

「話して」

ポテトをもぎゅもぎゅと小動物のように食べている美咲がそういってた。

僕は、美咲に親父のメッセージを見せる。

「わかった、いついくの?」

「明日かな、早めに済ませよう」

「明日・・・うん、幸ちゃん」

「ん?どうした?」

「・・・にならないでね」

美咲が小さな声で何かを言っていた。

でも、詳しくは聞こえなかったがたぶん聞き直しちゃだめなやつだと直感した。

とりあえず、僕は美咲の頭を撫でることにした。

「ん、ん」と小さな声を漏らしながら細目になる美咲。

「幸ちゃん、くすぐったい」

「いやか?」

「いやじゃない」

「ならよかった」

「幸ちゃんの手、気持ちいい」

ほんとかわいいな。

あ~、おもちかえりしt・・・あ、同じ家だった。

「幸ちゃん、幸ちゃん。お腹いっぱい」

「はいはい、じゃああと食べるね」

美咲の前にあるトレーにはポテトが残っていた。

美咲は、割と小食なんだよね

「あ~ん」

美咲が、ポテトを僕の口に運んでくる。

僕は、口を開けて食べる。

「幸ちゃん、おいしい?」

「うん、美味しいよ」

は、恥ずかしい。

よく美咲は平気で・・・いや、耳赤いなぁ。

ほんとかわいいなぁ。

「美咲、このあとどうする?」

「ゴロゴロしたい」

「じゃあ、食べ終わったら家帰ろうか」

「うん、帰る」

僕は、トレーの上の物は胃袋に片付け、後片付けをする。

まだ外は、天気雨が降っていた。

ほんと、いつになったら止むんだろう。

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