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スライドパズルの奥にあった部屋でお泊まりの準備を始める。とは言っても敷布団がわりにしてる毛皮を敷いたらおしまいだけどね。
後はお供物の準備だ。
俺とみー婆はさっきご飯食べたからお腹空いてないけど生命神は食べてないからね、さっきみー婆にお水とか杯もらっちゃったからお返しだ。
爺ちゃん婆ちゃん家にいた猫だから仏壇にお供物とかの習慣が身についてる賢い猫なのだ、みー婆は。だから貰ってばかりとか神様がいそうな所でお祈りとか挨拶しないと怒られちゃう。
みー婆も先ほどから俺がお供え料理を作ってるのを見てる、普段ならつまみ食いしようと擦り寄ってくるのだがこう言う時は大人しくしてくれてる。
まぁ…最後に味見役として少し食べるのだけど。
あまり手の込んだものは作れないし、正式なお供え料理とか知らないけどとりあえず何品か作っていく。お皿とか色々買っておいてよかったよ、質素なものだけどそこは許してほしい。
粗方完成するとみー婆のつまみ食いもとい、味見用に小分けしてみー婆の判定を待つ。
『ハム…ハム…アム…ナッ!』
どうやらみー婆のお口にあったようだ。だけどね?みー婆。そんなに審査員を気取らなくてもいいんだよ? みー婆がやってるの単なるつまみ食いだからね?
口に出すとみー婆が暴れるので心の中で思いながら、とりあえずみー婆の合格を貰った料理を杯があった台座にお供えしていく。粗品ですけどお納めください。
「よし、じゃあみー婆。今日はもうゆっくりしようか。今何時かわからないけど疲れたでしょ?」
『ナァ~』
そうね~、と擦り寄ってくるみー婆の体を撫でながら毛皮のマットに横になる。
……みー婆、重いからもう少しずれてね?おやすみ…
『ナッ!』
ここがいいの!と寄り添うと言うか殆どのしかかってるみー婆に諦めながら寝苦しいけど意識を段々と手放していくのであった。
潤がみー婆の下敷きになりながら寝入っている時、祭壇に一筋の光が降りて来ていた。
その光は段々と収束していき、祭壇の前には白いローブを纏った一人の女性が立っていた。
「あら、こんばんは」
『この星の神かしら。お邪魔してるわよ』
みー婆は潤の顔をぺろぺろしながら特に興味を向けるわけでもなく、潤に身体を預けながらゴロゴロしていた。その姿をその女性は微笑みながら見ていた。
「別に構わないわよ、それに素敵なお供物も頂いちゃったしね。ここまで謙虚にお供物してくれる人間なんて信徒以外で中々居ないわよ?」
『当たり前じゃない、この子は私がしっかり育ててるもの』
潤が褒められてみー婆は満更でもない感じで潤は私が育てた!と宣言している。潤が起きていたら婆ちゃんが厳しかったからと答えるだろう、みー婆は基本潤に魚たかってた。
「そのようね、でもその子平気なの? ここって結構危険度高い迷宮よ?』
『大丈夫よ、この子は私が守るもの。それにさっきのお水も頂いたし。ご馳走様、美味しかったわよ』
「そう、お口にあって良かったわ。でも本当にその子に大切にされてるのね貴女。親愛って素敵ね」
みー婆は尻尾をゆらゆらさせながら首輪に飾られた紅い宝石を見せつける。潤はただみー婆が気に入った宝石としか認識してないが少しでも教養があるものが見ればすぐに分かるだろう、その宝石の意味が。
「成程ね、貴女が大切にしてるのね。でもその子にはお供物頂いたしお礼しなきゃね。あの杯は入口の問題解いたご褒美だし、生命神としてご褒美ね」
『あら、何をくれるのかしら?』
「このダンジョンについて少しね? このダンジョンは大昔に異界の邪神イビルが作ったダンジョンなのよね。まぁイビル自体は当時の勇者や賢者に滅ぼされたから居ないんだけど最下層にはまだ遺物が残ってるのよ。イビルが呼び出した冥界の番犬がそうなんだけどイビルのやつ、この迷宮に呪いで縛り付けてたからイビルが滅んだ後も可哀想にこのダンジョンのボスやらされてるの。杯の力で呪いとか解除できるから解放してあげて? まぁ、ご褒美というかお願いというかわからないけどね」
『話長いのよ、もっと簡単に纏めなさいよ』
「………。お婆ちゃんには長かったかしら?ごめんなさいね?」
『………』
一気に剣呑な雰囲気になる一匹と一柱。どうしてこうなったのか。先ほどまでの和やかな雰囲気はどこに行ったのか…。
目を細めるみー婆と生命神。一触即発な空気感を醸し出しているが理由はなんなんだろうか、女のプライドとでも言うべきなのか? でもみー婆、潤にはお婆ちゃん扱いされてるよね…なんでこんな喧嘩腰なのか分からない。
そして、じっと睨み合いながらお互いに様子を伺い……
「んー……みー婆…すぅ…すぅ……」
一気に緊張感をぶち壊すような潤の寝言が静かに響くと共にみー婆を求めるように潤の手があちこちに彷徨う。
『仕方ない子ね…全く…』
なんて満更でもない感じで潤の顔をぺろぺろして身体を押しつけて、ここに居るわよと潤に教えるみー婆。
「その子に助けられちゃったわね。じゃあさっきのお願いよろしくね」
『分かったわよ、でもこの子次第だから』
あくまでも潤が中心なみー婆に苦笑を浮かべながら来たとき同様に光に包まれて消えていく生命神。そして、光が消えていくと台座には空になった食器類だけが残されていた。
後はお供物の準備だ。
俺とみー婆はさっきご飯食べたからお腹空いてないけど生命神は食べてないからね、さっきみー婆にお水とか杯もらっちゃったからお返しだ。
爺ちゃん婆ちゃん家にいた猫だから仏壇にお供物とかの習慣が身についてる賢い猫なのだ、みー婆は。だから貰ってばかりとか神様がいそうな所でお祈りとか挨拶しないと怒られちゃう。
みー婆も先ほどから俺がお供え料理を作ってるのを見てる、普段ならつまみ食いしようと擦り寄ってくるのだがこう言う時は大人しくしてくれてる。
まぁ…最後に味見役として少し食べるのだけど。
あまり手の込んだものは作れないし、正式なお供え料理とか知らないけどとりあえず何品か作っていく。お皿とか色々買っておいてよかったよ、質素なものだけどそこは許してほしい。
粗方完成するとみー婆のつまみ食いもとい、味見用に小分けしてみー婆の判定を待つ。
『ハム…ハム…アム…ナッ!』
どうやらみー婆のお口にあったようだ。だけどね?みー婆。そんなに審査員を気取らなくてもいいんだよ? みー婆がやってるの単なるつまみ食いだからね?
口に出すとみー婆が暴れるので心の中で思いながら、とりあえずみー婆の合格を貰った料理を杯があった台座にお供えしていく。粗品ですけどお納めください。
「よし、じゃあみー婆。今日はもうゆっくりしようか。今何時かわからないけど疲れたでしょ?」
『ナァ~』
そうね~、と擦り寄ってくるみー婆の体を撫でながら毛皮のマットに横になる。
……みー婆、重いからもう少しずれてね?おやすみ…
『ナッ!』
ここがいいの!と寄り添うと言うか殆どのしかかってるみー婆に諦めながら寝苦しいけど意識を段々と手放していくのであった。
潤がみー婆の下敷きになりながら寝入っている時、祭壇に一筋の光が降りて来ていた。
その光は段々と収束していき、祭壇の前には白いローブを纏った一人の女性が立っていた。
「あら、こんばんは」
『この星の神かしら。お邪魔してるわよ』
みー婆は潤の顔をぺろぺろしながら特に興味を向けるわけでもなく、潤に身体を預けながらゴロゴロしていた。その姿をその女性は微笑みながら見ていた。
「別に構わないわよ、それに素敵なお供物も頂いちゃったしね。ここまで謙虚にお供物してくれる人間なんて信徒以外で中々居ないわよ?」
『当たり前じゃない、この子は私がしっかり育ててるもの』
潤が褒められてみー婆は満更でもない感じで潤は私が育てた!と宣言している。潤が起きていたら婆ちゃんが厳しかったからと答えるだろう、みー婆は基本潤に魚たかってた。
「そのようね、でもその子平気なの? ここって結構危険度高い迷宮よ?』
『大丈夫よ、この子は私が守るもの。それにさっきのお水も頂いたし。ご馳走様、美味しかったわよ』
「そう、お口にあって良かったわ。でも本当にその子に大切にされてるのね貴女。親愛って素敵ね」
みー婆は尻尾をゆらゆらさせながら首輪に飾られた紅い宝石を見せつける。潤はただみー婆が気に入った宝石としか認識してないが少しでも教養があるものが見ればすぐに分かるだろう、その宝石の意味が。
「成程ね、貴女が大切にしてるのね。でもその子にはお供物頂いたしお礼しなきゃね。あの杯は入口の問題解いたご褒美だし、生命神としてご褒美ね」
『あら、何をくれるのかしら?』
「このダンジョンについて少しね? このダンジョンは大昔に異界の邪神イビルが作ったダンジョンなのよね。まぁイビル自体は当時の勇者や賢者に滅ぼされたから居ないんだけど最下層にはまだ遺物が残ってるのよ。イビルが呼び出した冥界の番犬がそうなんだけどイビルのやつ、この迷宮に呪いで縛り付けてたからイビルが滅んだ後も可哀想にこのダンジョンのボスやらされてるの。杯の力で呪いとか解除できるから解放してあげて? まぁ、ご褒美というかお願いというかわからないけどね」
『話長いのよ、もっと簡単に纏めなさいよ』
「………。お婆ちゃんには長かったかしら?ごめんなさいね?」
『………』
一気に剣呑な雰囲気になる一匹と一柱。どうしてこうなったのか。先ほどまでの和やかな雰囲気はどこに行ったのか…。
目を細めるみー婆と生命神。一触即発な空気感を醸し出しているが理由はなんなんだろうか、女のプライドとでも言うべきなのか? でもみー婆、潤にはお婆ちゃん扱いされてるよね…なんでこんな喧嘩腰なのか分からない。
そして、じっと睨み合いながらお互いに様子を伺い……
「んー……みー婆…すぅ…すぅ……」
一気に緊張感をぶち壊すような潤の寝言が静かに響くと共にみー婆を求めるように潤の手があちこちに彷徨う。
『仕方ない子ね…全く…』
なんて満更でもない感じで潤の顔をぺろぺろして身体を押しつけて、ここに居るわよと潤に教えるみー婆。
「その子に助けられちゃったわね。じゃあさっきのお願いよろしくね」
『分かったわよ、でもこの子次第だから』
あくまでも潤が中心なみー婆に苦笑を浮かべながら来たとき同様に光に包まれて消えていく生命神。そして、光が消えていくと台座には空になった食器類だけが残されていた。
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