『手のひら。』

日向理

文字の大きさ
上 下
18 / 64

Episode.21

しおりを挟む

かきかき…


               かきかき…


           「これ、テストじゃないから、
      解らないところがあったら先生呼んでね」

                   かきかき…

 「先生ー」

                     「ん?」



     「どこが解らなかった?」


 「ここぉ『しにがはち』であってる?」

「ここはね、「4人のお友達に2個ずつあげた飴玉は、
 全部で何個でしょー?」って聞かれてるから、飴玉の
 数が先にくるのよ だから『2x4=8』になるの」

                「んー…」

「『4x2=8』だと、4人のお友達が
 8人になっちゃうでしょ?」
 「そっか!!」
                「そか!」



 「『問題で聞かれてるものを掛けてあげる』
     ってのを覚えておいてね」
キーンコーンカーンコーン♪



  「次の算数は、5の段は覚えやすいので
   6の段も一緒にお勉強したいと思います」



                    「えー」
 「えー」
                     「えー」

       「えー言わないの!」
    「休むことも大切だからね^^」
    「はい、遊んではっさーーん!!」


ガタガタ
                     ガタガタ
           ガタガタ





                  わいわい

    がやがや


          きゃっ きゃっ

わいわい
                 「だははっ!笑」

   「ともちゃん先生ー!」

          「ん?陽菜ちゃんどうしたの?」


   「ほかのクラスの子が
    先生よんでっていってるの!」

         「そうなの?どのお友達?」

   「あの子!」

       「あ、2組の藤森さなえちゃんね」






 「さなえちゃん、どうしたの?」
「先生すごーーい!!」

 「ん?」

「さな、てらだ先生とおはなししたことないのに、
 さなの名まえいったからびっくりした!」
 「うふ^^」

 「そりゃあ先生だもん、他のクラスのお友達の
  お顔とお名前くらい覚えてるわよ^^」
「すごーい!」

「んじゃあの男の子は?」
 「ん?」

 「…あの子はね」

 「田中琥太郎くん!」



       タタタタ…

             じーーっ
            「ほんとだ!」
                

       タタタタ…


「んじゃあのひとは?」
 「あのお姉ちゃんは簡単よ、本田花音ちゃん」
 「5年生で人気者だもの」


       タタタタタ…


                じーーっ
             「ん?どうしたの?」
             「お姉ちゃんに用?」
      「2年2くみの藤森さなえです!」
    「おねーちゃんのお名まえおしえて!」
 「ふふ 笑」

              「お姉ちゃんはね、
           本田花音っていうの^^」
               「ほんとだ!」

       タタタタタ…

                「え?」




 「お姉ちゃん、
  困った顔になってるわよ 笑」


「んと…んと…」


「あのひとは!」
 「はは 笑」

 「あの人はねぇ、
  用務員の…杉下勤さん!」


       タタタタターッ!!




      「おじさん、お名まえなんていうの?」
                   「ん?俺?」
                 「杉下だよ^^」
             「したのお名まえは?」
                     「下?」

 「あはは 笑」
             「下の名前は勤だよ^^」
                「ほんとだ!!」
                      びくっ



       タタタタターッ!!


 「用務員さん、吃驚しちゃってるわよ 笑」
「先生すごーーーい!!!」
 「えっへん^^」

          「俺は子供にはモテるのかぁ…」

 「でもさなえちゃん、
  先生にご用があったんじゃないの?」
「そだ!」

ガサゴソ

「先生!これ!」
 「ん?これは何かなぁ~」



   おたんじょーびかい しょーたいじょう

         藤森さなえ
    
     日時:5月6日(日)15時から
場所:藤代市霞ヶ丘3-1-14兵藤ビル2階 (株)シダル


       プレゼントごふよー



 「わぁ!」
 「さなえちゃんのお誕生日会に
  先生招待してくれるの?」
 「でも先生さなえちゃんとお話したことが
  ないんだけど…他の先生もご招待してるの?」

ぶるぶるっ!


 「ん?じゃ先生は私だけ?」

こくん

「あのね、おにーちゃんとおはなししたら・・
 てらだ先生もしょーたいしよって」

 「?」
 「お兄ちゃんもここ通ってたの?」

 「…んー、『藤森』ってお名前の男の子、
  教えたことってあったっけなぁ…」


ぶるぶるっ!



「さなには『おにーちゃん』はいないの」

 「?」
 「じゃそのお兄ちゃんって?」

「おにーちゃんはね、まえにね、
 こーえんでおともだちになったの」
「でねおにーちゃん、
 先生とも『おともだち』なんだって」

 どきっ

「おともだちだから、
 きっとてらだ先生もきてくれるって、
 おにーちゃんいってたの」



 「…お兄ちゃんのお名前はなんて言うの?」


「んとね…」
「かなたぁ! あおのかなたー!!」


 !?


キーンコーンカーンコーン♪


「先生、ぜーったいきてね やくそくだよ!」


タタタタ…



 「…あおのかなた…」


                      くすっ
     「じゅぎょう、はじまってるぞ~ 笑」
  くすくすっ
            くすっ

                 くすくすっ

    くすっ

!!

 「ごめん、ごめん!」
 「じゃ次の授業始めましょう^^」

 「えっと・・教科は…」


「先生、こくごだよこくご!」

       「そうだったわね」
「じゃ6ページから…田村君に読んでもらいましょう」

       「先生、そこは前回やったところです」

  「習ったところをもう一度お勉強する事で、
    新しい発見があったりします^^」
   「そう言う意味でもう一度、田村君、
    読んでもらってもいいかしら?」

                 「わかりました」

                       ガタ


           「あの坂のむこうには海がある
              まっすぐにつづく道の…




   おたんじょーびかい しょーたいじょう

         藤森さなえ
    
     日時:5月6日(日)15時から
場所:藤代市霞ヶ丘3-1-14兵藤ビル2階 (株)シダル


       プレゼントごふよー




 「かなたくんって、あのかなたくんよね…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

美しいお母さんだ…担任の教師が家庭訪問に来て私を見つめる…手を握られたその後に

マッキーの世界
大衆娯楽
小学校2年生になる息子の担任の教師が家庭訪問にくることになった。 「はい、では16日の午後13時ですね。了解しました」 電話を切った後、ドキドキする気持ちを静めるために、私は計算した。 息子の担任の教師は、俳優の吉○亮に激似。 そんな教師が

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

ごめんなさいね・・・リストラされた夫の代わりにパートで働く私だけど若い男に誘惑されて

マッキーの世界
大衆娯楽
56歳の夫がリストラされて仕事を失ったため、お給料が貰えず、家計が苦しくなってしまった。 そこで、私はパートに出るため求人サイトで仕事を探した。 時給950円の漬物工場での仕事を見つけたので、午前9時から夕方16時まで働くことにした。 「じゃ、あなた、パートに行ってくるわね」 「ああ」 夫に朝食を作り、

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

お父様の相手をしなさいよ・・・亡き夫の姉の指示を受け入れる私が学ぶしきたりとは・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
「あなた、この家にいたいなら、お父様の相手をしてみなさいよ」 義姉にそう言われてしまい、困っている。 「義父と寝るだなんて、そんなことは

お父さん!義父を介護しに行ったら押し倒されてしまったけど・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
今年で64歳になる義父が体調を崩したので、実家へ介護に行くことになりました。 「お父さん、大丈夫ですか?」 「自分ではちょっと起きれそうにないんだ」 「じゃあ私が

処理中です...