蒼き流れの中で

白い黒猫

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九章 ~鼓動の先~ キンバリーの世界

水鏡の独白

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 マグダレンは豪華な天蓋の屋根にあしらわれた文様を眺める事で意識を逸らそうとする。
 部屋は静かでネチャネチャとした水音だけが響いている。その音と共に自分の膣からはうねるようなムズムズとした感覚が沸き起こる。しかしその手の動きはあまりにも優しく、決してそれは淫らな意図で動かされている訳はないのでその行為によって感じでいるという感覚を自分の中で必死に否定する。
 首を動かすとそこには、この世の者とは思えない神々しいまでの美貌をもった男がソファーに座りこちらの様子をのんびりと眺めている。金糸のあしらわれた豪華なガウンを裸の上に羽織っているだけという格好でも何故か風格があり堂々たるモノだった。マグダレンはその男の余裕な態度も気に入らず顔を背ける。
「っ……もう……大丈夫……臨めます……から……」
 それ以上膣を解されていると、あられもない醜態を晒しそうでマグダレンは介添えをしてくれていた相手にそう訴える。
「しかし……」
「そう言っている、もう良い。後は俺がやろう。お前は下がれ」
 そう言い、ソファーに座っていた男が立ち上がりガウンを脱ぐ。マグダレンは初めてみるその男の裸に身体が強ばる。元々長身で体格の良い男であるのは知っていたが、その股間のモノも思った以上に大きかった。この日の為に張り型を入れて慣らしてきたのだが、その張り型よりも明らかにソレは大きかった。思わずベッドから出ようとしていた人物の腕を掴んで引き戻してしまう。戸惑いの表情をした相手はその手を振り払う事はしないでマグダレンを見つめ返してくる。
「マレ、この子の気持ちが安らぐならそのまま握っておいてやれ」
「……はい」
 そのやり取りでホッとしたのも束の間だった。先程の指とは異なる太く長い指が膣に挿入され思わず声を出してしまう。
「良い感じに熟れてきているな。しかしもう少しだな」
 先程の細く長い指の繊細な動きとは異なり、骨ばったその指の動きは男そのもので痛くはないが大胆。この男にこうされるならば、先程の状態で耐えていたら良かったとマグダレンは後悔する。
「もうっ、大丈夫でっす……から……挿れ……て下さ……い」
 そう必死に請願する。早く伽なんてモノ終わらせたかったから。
「お前が辛いだけだぞ」
「大丈夫ですっ……から!!」
 男はヤレヤレという顔をするが、マグダレンの腰を持ち上げてきて勃立した自分をのモノを充てがう。
 次の瞬間自分の中に圧倒的な圧迫感をもったものが入ってくるのを感じマグダレンは仰け反る。
「ウッ……ァ”……グッ……」
 言葉にならない苦悶の音だけが口から漏れる。掴んでいた手を潰さんばかりに強く握り締める。その手が強く握り返してくれた事に気持ちが少し強くなる。
「大丈夫か?」
 肩で息をしマグダレンは落ち着こうと努力する。無理やり押し込んでこないでマグダレンの様子を確認しながら、止めて落ち着いてきたら少し進めるという感じで、気を使ってくれているのは分かったが、それに感謝する余裕なんてなかった。まだ幼いく経験もないマグダレンにはその男のモノは大きすぎた。相手の体質によるものなのか? 男のソコは元々そういうものなのか? まるで焼けた鉄で突き刺されたような熱さを感じて、自分の子宮が溶けるのではないかという恐怖すら覚える。ジンジンとした感覚が痛みなのか性的な反応であるのかも分からない。兎に角身体が熱かった。マグダレンの瞳にはもう天蓋の模様も見えず、ボヤけてた視界にはキラキラとした光が舞っているのだけが見えた。身体がユサユサ揺れているのは理解てもきるが。背中にある筈のシーツの感触すらもうなく繋げられた所から流れてくる相手の気にただ翻弄されるしかなかった。そんなマグダレンを現実に繋ぎとめてくれているのは右手が掴んでいる自分を見守ってくれている優しい存在だけ。マグダレンはその存在にすがるように握りしめ爪を立てる。
 快楽も痛みも怒りも超えた感覚に理性が追いつかず獣のような声をあげるしかなかった。時間という概念すら消失しており、解放された時には身体を繋げてどの位の時間経過したのかすらもう分からなかった。
「よく耐えて、頑張……」
 そう囁かれ額と頬にされたキスがひどく心地良かったのだけが印象に残っている。指一本動かすのも辛ったがマグダレンは重たい瞼を開けるとそこに柔らかく笑う優しい瞳があった。
「……レ……」
 マグダレンはその名を呼ぼうとしたが、身体が限界だったのだろう。伝えたい言葉を言い切る前に意識を失った。

 マグダレンはクワっとベッドで目を覚ます。夢のマグダレンが意識を無くすと現実に戻るというオカシナ状況に笑ってしまう。いつから普通の夢を見る事をやめてしまったのだろうか? 眠っている時に見るのは様々な過去を繰り返し追体験するだけ。右手をあげるがそこには自分の手しかなく誰にも繋がっていない。マグダレンは空っぽの掌をただ見つめてしまう。ベッドも粗末で小さい木のベッド。もうすっかり馴染みとなった安宿の客室にいる。起き上がろうとして下腹部に鈍い痛みと股間がドロリと濡れた何とも嫌なを感じに顔を顰める。月の物が始まってしまったのだ。普通の人間はこれが毎月くるらしいという事実に同情してしまう。巫は能力によるものか、寿命の長さがそうさせるのか分からないが、かなり緩い周期でやってくる。とはいえ嫌な事には変わりなく、その事がマグダレンを憂鬱にさせ、鈍い苦しみを与えている。いつもだったら病気である訳ではないし大した事ないと言って何でもないように振舞っていたのだが、いつになく強めに症状が来てしまった事と、あえて流して見守ってくれるローレンスとキンバリーとは異なり今の状態のマグダレンをイサールは変に気遣いこの街で療養する事になってしまったのだ。
 テーブルを見ると水が入った桶と清潔な布とが用意してある。
 起き上がり血で汚れた布を取り、濡らした布で汚れた肌を新しい布に替えため息をつく。
 こういう作業もマグダレンを憂鬱にさせるが、さらに言うと月の物がまだあるという事実もマグダレンの気持ちを不安定にさせるのだ。それはまだ子供を作るという能力をもっているということ。つまりは自分には家畜としての利用価値がまだあるという事だ。

 桶の血に汚れた水に映る自分の顔と見つめ合う。映っている顔は暗い部屋にいるために彩度もなく、表情も無いために、マグダレンではない顔に見える。マグダレンは自分の顔である事を確認するように頬を撫で、唇、鼻へと移動させていく。そしてその指はサークレットをなぞりマグダレンは顔を歪める。
 マグダレンを守る為に付けられた筈のこの装飾具、しかし今はそれがマグダレンを永遠に支配し縛りつける為の枷となっている。それが罪を犯したマグダレンに用意された檻。
罪……それが何なのか? マグダレンは思う。そもそも人間という存在が罪を犯すように出来た生物なのだ。罪を犯してしまった事実は重要ではない。寧ろ信念をもって行った罪ならば誇るべきだ。
 重要なのはその罪の意味とちゃんと向き合って生きて行く事。マグダレンは水に映った自分に向かって嗤う。
「私は貴方と共にいる。いつでも」
 呪文のような呟きが部屋に響いた。水の中の映っている人物はその言葉を肯定するかのように笑い返してきた。
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