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第一種接近遭遇
デートでタブーの話題
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デートは、まず区民ミュージアムのある公園を攻めて、その後商店街を調査する事にする。その二カ所が二人の持ち寄ったプランの中で合致していたから。それに加え変に奇をてらってない分、誰もが入りやすい場所であると考えたからだ。
私の携わっている『ヒダマリSANポ♪』という雑誌はフリーで配布しているモノ。だからと言って中身もタダで楽しむ内容だけで構成したら一円の儲けにもならない。公告収入だけではダメなのだ。
上手くお店や企業とタイアップしていけるネタが必要なのだ。Win-Winの相手を見つけて組み立てていくのが大事。
家から冷蔵庫にあるものを適当に詰めたお弁当と、水筒にお茶を入れて公園にハイキング。それではたいした経済効果は生まれない。
『そのお弁当のおかずにこんな所で食材を買ったらどうだ?』とか『このお店で売っているお弁当箱に詰めてピクニックにいったら素敵よね?』といった内容を記事に折り込み、そこに何だかの経済効果を促す必要があるのだ。
季節が二月という事もあり公園はかなり寒かった。デートだとはいえ、腕を組んだり手を結んだりという事はしていない。清酒さんと私は三十センチくらいの距離をとりながら歩いていた。
『編集者、取材相手、読者と関わった人全てが何かを得るというWin-Win-Winのモノでなければいけない』
私の羽毛田編集長の受け売りの話を、清酒さんは楽しそうに聞いていた。
因みにこの羽毛田編集長の苗字の読みは『ハゲタ』という。この名前で本当に○○なので非情に苗字が呼びにくいという困った所がある。そこで皆『編集長』とだけ読んでいる状況なのだ。
「なるほどね~その精神は営業の仕事にも通じる所はあるよね。俺の場合も一度売ればそれで良いというモノではない。
ずっと継続して愛用してもらう事を考えないと駄目。となると口先のセールスなんて通じない。次を繋げていくという意味でも同じなのだろうね」
私達は、公園をのんびり歩きながらも、目で連携相手に繋がるアイデアを探して歩いていた。
「そうですよね。清酒さんの所もまた別の意味でも大変ですよね。
ウチにもコーヒーメーカーを設置させてくれませんか? という営業もよく来ますし。今の所よりやすく提供しますよとかも言ってくるし」
と、ウッカリ話してしまい、私はハッと気付き口を閉じる。清酒さんは気を悪くしたそぶりはなくクククと笑う。
「ライバルも多いからね~。俺の業界は。浮気されて捨てられないように、編集部へのラブコールは今まで以上に頑張らないとね」
私はその言葉に、顔が一瞬、強張るのを感じた。慌てて笑顔を作るものの、清酒さんは私を見つめ目を細めた。胃の奥にズンと重い何かを感じ、背中に嫌な汗が流れる。外の寒い風が心の中にも入り込んできたように凍える。
「あれ? もしかして……」
私は慌てて首を横にふり言葉と態度でハッキリ否定をする。
コーヒー豆のサンプルは受け取った事はあるが、業者の変更といった予定はない。それは清酒さんという営業マンの存在も大きいと思う。
彼は営業で珈琲を売り込んでいるだけでない。彼は営業として様々な企業のいろんな部署との繋がりがあり顔も広い。そういった所で編集長もその人脈を頼りにしている所がある。時々他の会社を紹介してもらって仕事に繋げている所があるようだ。
清酒さんは、私が語るまでもなくWin-Winの関係を各企業と行っているのである。
「それだったら、今日の件も速攻断っていましたよ! 気不味いから」
私の否定した態度がおかしいのか、清酒さんはニヤニヤ笑っている。でもすぐに表情を戻し私も見下ろしてくる。
「じゃあ、何がひっかかったの?」
立ち止まり黙り込んだ私を、清酒さんは肩に手をやりベンチに誘う。
近くの自動販売機で二つホットの缶コーヒーを買って戻ってくる。
「あれ? いいの? ライバル社の製品で」
缶を見て、首を傾げる私に清酒さんはフフと笑う。
「自社製品だけしか見ない・感じないでは、その状態で仕事として終わっているだろ!」
なるほど、敵を知るためにも飲むということか。私は頷く。缶コーヒーの温かさがなんとも手に気持ちよかった。私はプルトップを開けずに、その暖かさをまず手で味わう。
「何か気に障ること、俺言った?」
話が逸れた事でホッとしていたのに、清酒さんはしっかり話を戻してくる。
「いや、何も。
そういえばさ、清酒さんって……」
私はなんとか話を逸らそうと、問いかける事にしたが、良い言葉が浮かばない。
清酒さんは頷き真面目な顔で、私の話を聞こうという姿勢を態度で示す。
「……い、いままでの恋愛って、どういう感じだったのかな?
告白されたの? したの? そしてどう別れたのかな?」
一気にまくし立てるように聞いてしまった。話題を逸らすつもりが、そこまで大きく逸らせなかったように感じる。
それでもコチラへの質問は回避は出来た。清酒さんは目を丸くして私を見つめている。
「初デートに、随分踏み込んだ所まで聞いてくるんだね」
私は、言葉に困りを顔を伏せる。
「別に隠すことでもないし、ぶっちゃけるけど……。
と言っても……余り話せる程の過去もないかな? 始まりは告白したり、されたり、その時々によってという感じかな?
あと終わり方っていうと何だろ? 難しいな……」
私はその言葉の意味をじっくり考える。ここまでの内容から、過去に彼女は複数いたようだ。
互いに二十代後半なのでそこに傷つくこともない。逆にこの年齢で『君が初めての女なんだ!』って言われるほうが少し引く。
「一人確実に覚えているのは、あまりの酒癖の悪さに、『付き合ってられない』といって別れたかな?
大喧嘩してそのままの時もあったし、自然になんとなくというパターンもあったし……」
清酒さんなりに誠実に答えてくれているのだろう。『一つ一つ覚えてられないくらい、彼女がいたの?』と突っ込みそうになったけどやめた。
考え事していたために少し遠くを見つめていた清酒さんの視線が私に戻る。この流れだと確実に『君は?』という事になるだろう。私は少し焦る。
「『浮気』されたり、したり? とか?」
その言葉から離れよう、離れようとして必至に頑張っていた。しかし自分からその言葉を言ってしまって『しまった』と思う。
「されたことはあるかな? ま、その時は恋も終わりかけていて気持ちも離れていた状態だったから、傷つきもしなかったけど……」
あっさり答えてきたその言葉に、私は何と返してよいのか分からず頷く。そんな私をそっと清酒さんが伺っているのを感じる。
清酒さんは何も言わず、私の頭をなでてフワリと優しく笑った。
「そういえばさ、公園といったら、ああいう遊具とか、犬とも遊べる用品とかもいいよね。あいうものを紹介して、楽しい休日を演出するのもいいかもね。
デートでチョットしたスポーツを楽しむというのも、いいと思わない?」
公園の広場に視線を向けそんな事を言ってきた。察しが良く気遣い出来るというのは、こういう時は助かる。しかし私の知られたくない過去を気付かれたという意味で凹む。
清酒さんは何もそれ以上は過去の恋愛の話題をしなかったし、ふらなかった。元のデート企画の話題が中心だったものの、気不味く会話が途切れる事もなく楽しい一日が終わった。
※ ※ ※
羽毛田さんは、苗字ランキング6915位で328世帯いらっしゃるそうです。
私の携わっている『ヒダマリSANポ♪』という雑誌はフリーで配布しているモノ。だからと言って中身もタダで楽しむ内容だけで構成したら一円の儲けにもならない。公告収入だけではダメなのだ。
上手くお店や企業とタイアップしていけるネタが必要なのだ。Win-Winの相手を見つけて組み立てていくのが大事。
家から冷蔵庫にあるものを適当に詰めたお弁当と、水筒にお茶を入れて公園にハイキング。それではたいした経済効果は生まれない。
『そのお弁当のおかずにこんな所で食材を買ったらどうだ?』とか『このお店で売っているお弁当箱に詰めてピクニックにいったら素敵よね?』といった内容を記事に折り込み、そこに何だかの経済効果を促す必要があるのだ。
季節が二月という事もあり公園はかなり寒かった。デートだとはいえ、腕を組んだり手を結んだりという事はしていない。清酒さんと私は三十センチくらいの距離をとりながら歩いていた。
『編集者、取材相手、読者と関わった人全てが何かを得るというWin-Win-Winのモノでなければいけない』
私の羽毛田編集長の受け売りの話を、清酒さんは楽しそうに聞いていた。
因みにこの羽毛田編集長の苗字の読みは『ハゲタ』という。この名前で本当に○○なので非情に苗字が呼びにくいという困った所がある。そこで皆『編集長』とだけ読んでいる状況なのだ。
「なるほどね~その精神は営業の仕事にも通じる所はあるよね。俺の場合も一度売ればそれで良いというモノではない。
ずっと継続して愛用してもらう事を考えないと駄目。となると口先のセールスなんて通じない。次を繋げていくという意味でも同じなのだろうね」
私達は、公園をのんびり歩きながらも、目で連携相手に繋がるアイデアを探して歩いていた。
「そうですよね。清酒さんの所もまた別の意味でも大変ですよね。
ウチにもコーヒーメーカーを設置させてくれませんか? という営業もよく来ますし。今の所よりやすく提供しますよとかも言ってくるし」
と、ウッカリ話してしまい、私はハッと気付き口を閉じる。清酒さんは気を悪くしたそぶりはなくクククと笑う。
「ライバルも多いからね~。俺の業界は。浮気されて捨てられないように、編集部へのラブコールは今まで以上に頑張らないとね」
私はその言葉に、顔が一瞬、強張るのを感じた。慌てて笑顔を作るものの、清酒さんは私を見つめ目を細めた。胃の奥にズンと重い何かを感じ、背中に嫌な汗が流れる。外の寒い風が心の中にも入り込んできたように凍える。
「あれ? もしかして……」
私は慌てて首を横にふり言葉と態度でハッキリ否定をする。
コーヒー豆のサンプルは受け取った事はあるが、業者の変更といった予定はない。それは清酒さんという営業マンの存在も大きいと思う。
彼は営業で珈琲を売り込んでいるだけでない。彼は営業として様々な企業のいろんな部署との繋がりがあり顔も広い。そういった所で編集長もその人脈を頼りにしている所がある。時々他の会社を紹介してもらって仕事に繋げている所があるようだ。
清酒さんは、私が語るまでもなくWin-Winの関係を各企業と行っているのである。
「それだったら、今日の件も速攻断っていましたよ! 気不味いから」
私の否定した態度がおかしいのか、清酒さんはニヤニヤ笑っている。でもすぐに表情を戻し私も見下ろしてくる。
「じゃあ、何がひっかかったの?」
立ち止まり黙り込んだ私を、清酒さんは肩に手をやりベンチに誘う。
近くの自動販売機で二つホットの缶コーヒーを買って戻ってくる。
「あれ? いいの? ライバル社の製品で」
缶を見て、首を傾げる私に清酒さんはフフと笑う。
「自社製品だけしか見ない・感じないでは、その状態で仕事として終わっているだろ!」
なるほど、敵を知るためにも飲むということか。私は頷く。缶コーヒーの温かさがなんとも手に気持ちよかった。私はプルトップを開けずに、その暖かさをまず手で味わう。
「何か気に障ること、俺言った?」
話が逸れた事でホッとしていたのに、清酒さんはしっかり話を戻してくる。
「いや、何も。
そういえばさ、清酒さんって……」
私はなんとか話を逸らそうと、問いかける事にしたが、良い言葉が浮かばない。
清酒さんは頷き真面目な顔で、私の話を聞こうという姿勢を態度で示す。
「……い、いままでの恋愛って、どういう感じだったのかな?
告白されたの? したの? そしてどう別れたのかな?」
一気にまくし立てるように聞いてしまった。話題を逸らすつもりが、そこまで大きく逸らせなかったように感じる。
それでもコチラへの質問は回避は出来た。清酒さんは目を丸くして私を見つめている。
「初デートに、随分踏み込んだ所まで聞いてくるんだね」
私は、言葉に困りを顔を伏せる。
「別に隠すことでもないし、ぶっちゃけるけど……。
と言っても……余り話せる程の過去もないかな? 始まりは告白したり、されたり、その時々によってという感じかな?
あと終わり方っていうと何だろ? 難しいな……」
私はその言葉の意味をじっくり考える。ここまでの内容から、過去に彼女は複数いたようだ。
互いに二十代後半なのでそこに傷つくこともない。逆にこの年齢で『君が初めての女なんだ!』って言われるほうが少し引く。
「一人確実に覚えているのは、あまりの酒癖の悪さに、『付き合ってられない』といって別れたかな?
大喧嘩してそのままの時もあったし、自然になんとなくというパターンもあったし……」
清酒さんなりに誠実に答えてくれているのだろう。『一つ一つ覚えてられないくらい、彼女がいたの?』と突っ込みそうになったけどやめた。
考え事していたために少し遠くを見つめていた清酒さんの視線が私に戻る。この流れだと確実に『君は?』という事になるだろう。私は少し焦る。
「『浮気』されたり、したり? とか?」
その言葉から離れよう、離れようとして必至に頑張っていた。しかし自分からその言葉を言ってしまって『しまった』と思う。
「されたことはあるかな? ま、その時は恋も終わりかけていて気持ちも離れていた状態だったから、傷つきもしなかったけど……」
あっさり答えてきたその言葉に、私は何と返してよいのか分からず頷く。そんな私をそっと清酒さんが伺っているのを感じる。
清酒さんは何も言わず、私の頭をなでてフワリと優しく笑った。
「そういえばさ、公園といったら、ああいう遊具とか、犬とも遊べる用品とかもいいよね。あいうものを紹介して、楽しい休日を演出するのもいいかもね。
デートでチョットしたスポーツを楽しむというのも、いいと思わない?」
公園の広場に視線を向けそんな事を言ってきた。察しが良く気遣い出来るというのは、こういう時は助かる。しかし私の知られたくない過去を気付かれたという意味で凹む。
清酒さんは何もそれ以上は過去の恋愛の話題をしなかったし、ふらなかった。元のデート企画の話題が中心だったものの、気不味く会話が途切れる事もなく楽しい一日が終わった。
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羽毛田さんは、苗字ランキング6915位で328世帯いらっしゃるそうです。
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