The Energy World

リョウタ

文字の大きさ
上 下
13 / 34

第十三エナジー「エナジー部隊高等部に行く」

しおりを挟む
7月になった。

竜牙たち小学六年生にとっての最後の夏休み。

夏休みが近づくにつれ、竜牙の浮かれていった。

竜牙の父親は先月の6月に北海道に帰ったきり、また連絡がなくなった。

竜牙の母親は女ができたと騒いでいる。

それより今の竜牙が気にしていることは?

放課後のいつもの公園。

竜牙(アバター)と良太は、シールドで強化した体で格闘の訓練をしていた。

ドンドン!!

バキバキ!!

拳と蹴りでお互いの打撃を受けあう。

「ったあ~。竜牙の攻撃は重いよ。右腕でシールドを強めに覆っていても、攻撃を吸収しきれない。ほらっ。腕にあざができたよ。」

「ごめんごめん。太陽が出ていると思った以上に力が出てしまうんだ。もっと手加減するよ。」

「たぶん。竜牙より強いエナジーパワー持っている子どもなんていないよ。いや、大人だって危ういかも。エナジー部隊の人たちでもそんなにエナジーパワー感じないし。」

「えっ。そういうもんなの?でも地球はエナジー発展途上国ってさこが言ってたし。」

「あれ?今日はさこ様とまよ様は?」

「まよのやつ、ほんとガキだもん。甘いもん食べたいから、母さんの買い物に付き合ってるぜ。ホントガキ。あれでマクロっていうから笑えるよな?俺、最初に倒すマクロはまよって決めてるんだ。そういや愛は?ここ最近、付き合い悪すぎない?別にいいけど。」

「竜牙。おまえ、愛のこと気になってんだ?」

「別に気にしてねーよ。あいつ、口うるさいし、プライド高いし、言うほど強くないし、良いとこなんかねーじゃねーか。」

「いや確実に興味あるだろ?愛から口止めされていたけど教えてやるよ。愛は飛び級したんだ。エナジー部隊高等部に。」

「俺たちで言えば、小学生から高校生になったってこと?一気にババアになったんだ。」

「言葉遣いわりーな。高等部に入るメリットは大きいんだ。まず、初等部でエナジー操作の基本や座学を習う。中等部では、水中、空中などを自由に移動できる移動術を勉強する。エナジーパワーでいうと、1000エナジーパワー以上を常時保てるくらいだ。」

「え~。1000エナジーパワーなんて良太も愛もとっくに達成してるんじゃねーのか?」

「瞬間的に出すことは前からできたけど、ずっとその状態を維持するっていうのは大変だったんだ。だけど、さこ様に伝授していただいた『エナジー修行赤ちゃん編』で24時間ずっとエナジーを放出し続けることができるようになった。以前とは比べものにならないくらいエナジーパワーの持続力が上がったんだ。この時点で俺や愛は中等部卒業レベルなんだ。」

「じゃあ良太も卒業したらいいんじゃねーの?俺は中高生のおっさんたちと話したくねーけど。」

「おっさんって。問題は高等部。専門的な技を多く会得できる可能性がある。治療、個々のエナジー特性の研究、サポートエナジー能力の講義、俺も興味あるんだけど、ちょっと今、別の能力の勉強中だから余裕ねーんだ。」

「ふ~ん。それより愛が高校の奴らとうまくいってんのか。気になる。絶対に◯◯○だと思うけど。」

週末。

愛はエナジー部隊高等部の校舎に来ていた。

「同じ敷地内にあるから、どうってことないけど。」

初等部、中等部、高等部はエナジー部隊の基地、演習場兼、運動場側にある校舎にある。

日本の若年層のエナジープランの数が少ないので、生徒数も少ない。

初等部12人。

中等部11人。

高等部9人。

高等部に愛が加わり、10人になる。

愛は自分のクラスの教室に入った。

「おはようございます。」

そこには、男子生徒5人、女子生徒4人がいた。

エナジー部隊の高等部の生徒にも関わらず、ガラが悪そうな生徒だった。

「おまえが新人の初等部からきたガキか。俺は、古谷信之。(ふるたにのぶゆき)てか何で先輩の俺から挨拶してんの?おまえからしろ!!メスガキ!!」

「はあ~。」

愛は大きくため息をついた。

「おまえ、殺されたいのか?おまえも知ってんだろ?エナジー部隊に入隊したものは、年に数回は死人が出るのを。」

「だからなんですか?パイセン。私を殺したいんですか?脅しとかそういうのやめましょ。時間の無駄です。できる人間というのは、やると思ったときに行動し終わっているものです。だから私はこうして小学生でありながら、ここに来たということです。」

「『ペネッケハネーラ』(水のエナジーショット)!!」

女子生徒の1人が、愛に水でできた大きな塊をぶつけた。

バチっ!!

愛は左腕にエナジーマジックを集中させ、「ペネッケハネーラ」を弾き飛ばした。

「ごめんなさい。パイセンたち。私、話してる最中でも隙がございませんの。もちろん寝ている時でも。教室狭いので、お外でやりませんか?パイセンたちの見事な『ウガンドロン(シールド高速移動術)』をぜひ、この目で拝見したいですわ。」

「調子に乗りやがって!!ガキメス!!おまえら、外でやるぞ。調教しようと思っていたけど、やっぱ殺す!!ミンチにする。」

愛と高等部の生徒9人は窓から外に出て、空中戦をすることになった。

9人が愛の周りを取り囲んでいる。

「謝るんだったら今のうちだぞ。小便くさいメス!!」

不敵に笑う愛。

「何がおかしい!!」

「なんて言いますか、品がなさすぎと言いますか、下品というか。ねえ皆さんが腹を立てているのは私が生意気だからでしょ?」

「小学生の女でおまえみたいにムカつくやつは初めてだ!!自分でもそう思わんか!!」

「私はグローバルに物事を見ております。日本の縦社会。ほんとくだらない。実力主義でいきましょう。私の方があなたたちより強いので。」

「ホントに社会がわかっていないブスだな。俺らは軍人になるんだ。軍人や警察は縦社会が基本だろうが!!それがわからんブスは死ね!!七瀬!!丸山!!愛内!!加賀美!!おまえらでその女殺せ!!」

リーダー格である男子生徒が女生徒に命じた。

「小便くさい女。お姉さんが切り刻んでやるぜ。『ジャル・タラーバ』(水の剣)」

七瀬は、右腕にエナジーを纏わせ、水の剣をつくりだした。

丸山は、火のエナジーを手のひらに纏わせた。

「『アギャ』(火)。」

愛内は体中のエナジーを増幅させ、エナジーパワーを強化し、攻撃と防御を底上げした。

加賀美は、手を出し、愛に何かを放つ構えをみせた。

そのとき、

「遅いわ!!『ヴュックジャガ』(電撃)!!」

バリバリー!!

「キイィああああああああああああ~。」

加賀美は攻撃をする前に愛に先に攻撃され、感電し、運動場に落下した。

ドン!!
「このメス!!あんな威力死んでらどうする気だ!!」

と叫んだ愛内にも、

「『ヴュックジャガ』!!弱いくせに喋っている暇あるの?」

「いやああああああああああああ~。」

愛内も感電して、地面に叩き落とされた。

ドン!!

「よりによって、マジックシールドを強化していなかった愛内がやられるなんて。」

「何よ。その意外そうな目は。ちゃんと計算してるに決まってるでしょ?私がエナジーマジックで攻撃してるのに、エナジーパワー強化してるなんて、愛内ってパイセン、バカとしか言いようがないわ。」

「殺す!!処女くさい女!!」

七瀬は水の剣で切りかかってきた。

ズバッ。

愛は右腕でガードしたが、エナジーパワーが七瀬より劣ってしまい、腕が切れて血が吹き出した。

「ウッ。」

「あはははは。おバカのお嬢ちゃん。あんたが私よりエナジーマジックが上なのは認めるわ。でもね、エナジーマジックとエナジーパワーを混ぜ合わせた『ジャル・タラーバ』(水の剣)のような使い方があるの。お勉強になったわね。あっ。でもこのまま殺してあげるわ。もしかして、心配してる?私があなたを殺したら、警察に捕まるかもって?大丈夫よ。私の父、警察官の偉いさんだし、エナジー管轄だし、ごまかせるわ。あんたみたいなのが一匹死んだって大丈夫。うぐっ。」

ドブっ!!

愛は「ポール・ゲング」(エナジーできた玉)を発生させ、エナジーパワーを強く込めた球は、七瀬を殴りつけ、そのまま地面に叩き落とした。

ドン!!

「はい。一丁あがり。3人でもこの程度なの?笑わせるわ。」

ヴワァン。

瞬間、愛の周りにサークルが出現した。

「何コレ!!あっ。エナジーが練れない!!」

エナジーでできたサークルの中に入った愛は、エナジーが使えなくなった。

エナジーが使えないということは、ウガンドロンで空を飛んでいた愛は一気に地上に落下し始めた。

ビュン!!

「10セケネット・ラケットエナジー。(10秒間強制無効エナジー)」

もう一人の男子生徒長谷入間が愛に仕掛けたサークルは、10秒間エナジーを練らせない技だった。

サークル内に入った者は強制的にエナジーが使えなくなる。

愛は地上20mの高さからエナジーを纏えない生身の状態で、運動場に着地した。

ドン!!

バキバキバキ!!

うまく足から着地したのはいいものの、足の骨はバキバキに損壊した。

もし足で着地ができず、頭を打っていたら、間違いなく即死だ。

「うぎゃあああああああ~。」

粉砕骨折でたまらず、声をあげる愛。

そこにすかさず、

グシャ。

愛の顔を踏み潰す男子生徒の荒井芳樹。

「よう。嬢ちゃん。さっきの威勢はどこにいった?このまま、頭を潰してやろうか?」
ボコッ!!

強烈なボディーブローが荒井芳樹にまともに入り、吹っ飛んだ。

「ぐぶぅぅぅぅうう~。」

荒井は血反吐を吐き、ショックにより気絶した。

「おまえは!!」

「なんだ。そのガキ。」

「いや、あいつは報告書でみたことがある。」

「あの重要任務の本人!!あのクソガキが!!」

そこには竜牙がいた。

竜牙のアバターが現れたのだ。

「愛のことだから、おっさんの高校生たちと仲良くできるわけないって思っていたら、予想以上だったってことだな。おまえら、ぶっ殺す!!」

「違うのよ。竜牙。」

つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

処理中です...