The Energy World

リョウタ

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第八エナジー「会議中、お邪魔をする」

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「アンドロネ・タックネス(空間移動術)。」

さこのエナジーで三人は地球に戻ってきた。

「30分しかあの星にいなかったけど、地球の空気は美味しいわ~。」

「30分だけの宇宙旅行だったな。」

「旅行じゃないわ。修行よ。」

「あんなの遊びだ。」

「あれ?この家は?」

「ん?竜牙の家だが、マズイのか?」

さこは竜牙の家の中に三人を移動させてしまっていた。

「あら?そこの可愛らしいお嬢さんは愛ちゃん?久しぶりじゃない?昔はよくうちに来てくれたのに、最近は全然遊びに来てくれなくなったもんね。おばさん、悲しいわ。」

「おばさま、お久しぶりです。久しぶりなのに、こんな汚い格好ですみません!!」

さっきの砂漠の星にいたせいで、愛と良太は砂埃と傷で服も体もボロボロだった。

「愛ちゃん!!腕、切れてるじゃない!!ちょっとみせてみなさい。消毒したら、その部分は湯船につけず、うちのお風呂使いなさい。良太くんも。」

「は、はい。」

愛は竜牙の母親に腕の傷を消毒してもらった。

その間に良太は風呂に入っていた。

「それにしても大変なんだな。『エナジープラン』って。そもそも『エナジープラン』の意味がよくわかんないんだけど。」

「だから、あんたは本当の『エナジープラン』なんかじゃないの。この際だから、おばさまに聞いとくわ。竜牙ってエナジー使えないですよね?」

「エナジー?ちょっと私、わかんないわ。」

「そりゃ。母さんはわからんだろ。料理しか作れねーんだから。」

「竜牙。あんたね。」

「本当のエナジープランはね、赤ちゃんがお母さんのお腹から出てくる時にわかるものなのよ。」

「えっ?どゆこと。」

「エナジーを使うと、存在が認識されないの。あんたでも知っているでしょ?」

「エナジーを纏っていると、エナジーが使えない人から見えなくなるってやつだな。」

「だから、お腹の中から赤ちゃんが産まれたとき、赤ちゃんが消えるのよ。本当はそこにいるのに。赤ちゃんはエナジーを制御できない。産まれた瞬間に赤ちゃんが消えるということはエナジーを無意識に使っているということになるの。赤ちゃんがシールドを体に纏っちゃうだけなんだけど。こういう事象がだいたい50万件に一回。産婦人科の一部の人たちは、機密事項である『エナジー』の存在を知っている。すぐに我々、エナジー部隊に連絡が入り、赤ちゃんを無事保護する。赤ちゃんがエナジーをコントロールできるまで、エナジー部隊所属の特殊養護施設に入る。もちろん、保護者の方々に説明する。外部に公表しない約束で。エナジープランが産まれたときは、こんな感じよ。もしかして、おばさま、部隊に口止めされていたからとぼけていた?」

「母さんに限ってそんな演技できねーよ。」

「あんた、失礼ね。大人舐めすぎよ。初耳よ。愛ちゃん。世の中、私たちの知らないことがたくさんあるのね。まこちゃんたちがお話ししていたのもびっくりしたけど。」

「いや、母さん適応能力高すぎ。もっと疑問に思ってくれ。」

「もう。あんたうるさい。愛ちゃん。話の続き教えて。養護施設に入った後はエナジープランの子たちどうなるの?」

「それからは義務教育を受けながら、エナジー部隊初等部に入隊するかどうか、保護者と本人の意思で選択できます。私は自分が特別な力を持つ者の使命を全うしたいと思っていたので、入隊を小学校に入る前から決めていました。」

「マジかよ。幼稚園の時、おまえとよく遊んでいたけどそんな素振り全然みせていなかったじゃねーか。」

「私だって、女よ?裏表くらい幼稚園児の時から使い合わせているわ。あんたのことバカな男って思っていたわ。」

「愛ちゃん。竜牙は放っときましょ。話がそれるから。エナジープランの人たちは大人になったらどうなるの?」
「初等部が小学校と同じ6年間。中等部が中学と同じ3年間。高等部が高校と同じ3年間。それからは正式にエナジー部隊に正式に入隊するか、一般企業に勤めながら、兼業する人もいます。さっき言った産婦人科から連絡があった場合、駆けつける人は兼業の方が多いです。エナジーを出して赤ちゃんを見つけるだけなんで、エナジープランであれば誰でもできますので。エナジープラン自身、日本では人数が少ないので、それぞれ仕事が割り当てられていることが多いです。私や良太も初等部に所属していながらも、仕事をこなしています。」

「え~。愛ちゃん小学生なのに、もう働いているの~。忙しいわね。どんなお仕事しているの。母さん楽しみよ。」

「他人事なのに何楽しんでんだよ。」

「エナジープランの犯罪者もいるので、制圧しています。先日の竜牙を襲った田中先生もエナジープランの犯罪者でした。」

「よく考えたら、エナジー使ったら刑務所から出れるんじゃねーか?建物とか透けちゃうじゃん。」

「バカね。ちゃんとエナジープラン用の刑務所が別にあるの。もちろん刑務官たちは全員エナジープランよ。」

「よかった。だったら安心だな。」

「すごいわ。愛ちゃん立派だわ。他にどんなお仕事してるの?」

「うふふふ。あとは竜牙の監視も任されています。なんか部隊の超重要機密事項らしいです。竜牙なんかを監視することが。」

「えっ。」

そのとき、良太が風呂から上がってきた。

「ちょっと愛。まずいだろ。その話したら。さすがに。」

「あっ。やば。隊長に怒られるわ。」

「怒られるとかのレベルじゃないぞ。部隊に所属している自覚をちゃんともてよ。」

「良太ごめんなさい。」

トコトコトコ。

その話を聞いていたまこが歩いてきた。
「面白そうな話してるな。オレにも詳しく聞かせてくれ。」

「えーと、あなた様は別のマクロ様ですね。私は鈴中愛です。こっちは中西良太。私たちエナジープランです。」

「おまえたちには全く興味はないが、竜牙を監視している理由と上司のいる場所を教えろ。」

「上司?私たちの初等部の全責任者は山本隊長です。明日は横須賀の地下機密会議場で極秘会議があるとおっしゃっていました。」

「だから、愛。そういうのまずくねーか?」

「オレもおまえの立場だったら殺されても言わねー情報だな。困ったエナジープランだ。やっぱガキだな。」

「でも、マクロ様たちすごく可愛らしいです。くまちゃんだったりうさちゃんだったり。」

「まこは可愛いとか喜ばねえから。まよだったら喜ぶけど。」

「まこちゃんがリビングに来たってことは、お腹空いたんでしょ?今日は負けないわよ。夕ご飯作るから、愛ちゃんも良太くんも食べていってね。愛ちゃんはお風呂に入ってきてね。」

「は~い。」

「明日は横須賀に行ってくるか。」

まこはボソッと独り言を言った。

この後、愛と良太は竜牙の家で夕ご飯をごちそうになった。

そのまま、夕ご飯を食べた後、自分たちの家に帰っていった。

食後。

「なあなあまことさこ。俺ってどっちにエナジー修行つけてもらったらいいの?」

「まよちゃんがつけてあげようか?りゅーがのあほ。」

「まよには聞いてねーよ。どうせ、お前もエナジーのことあんまわかってねーんだろ?」

「明日は、まこのやつ珍しく用事があるらしい。さこが学校終わった後に今日の続きを教えてやる。愛と良太も連れてこい。」

「うん。わかった。」

そういう決め事を勝手に取り決めた竜牙とさこ。

竜牙はワクワクして床についた。

朝。

ここは横須賀の地下機密会議場。

日本のエナジー関わる重鎮たちが集まる大事な会議が行われる。

本日の内容は、大きく3点。

1.ミクロ巨神「水龍」の消失の謎。

2.謎のマクロ三体の正体。

3.ヤマタノオロチの対策。

ドン!!

どこかの偉そうなおじさんが会議室の机を叩いた。

「どういうことだ!!日本三代巨神の一角。『水龍』が何者かにやられたとは何事だ!!答えろ!!山本!!」

山本。

エナジー部隊総隊長を務め、愛や良太の通うエナジー部隊初等部も担当している。

年齢は43歳。

顎髭を生やしている短髪で強面の中肉中背のおっちゃんだ。

制服は自衛隊の迷彩柄ではなく、紺色の中に、黄色の線が二つ入った制服だ。

これがエナジー部隊の制服のようだ。

「申し訳ございません。我が想定していないような出来事がこの数日間で起こってしまいました。水龍を一瞬にして消失させたのは、二つめの議題である謎のマクロ三体の仕業だということがわかりました。」

「そいつらの正体は分かったんだろうな?何も分かっていないなど済まされるわけがないぞ。」

「奴らのエナジーを測定しましたところ、あまりにも異質なエナジー総量でした。数値が高すぎて、測定不能です。ただ言えることは、奴らは『アッカシュガンガ(銀河クラス)』です。」

「は?」

「ちょっと待て、アッカシュガンガ?銀河系を一瞬で消し去るほどのエナジーパワーの持ち主。なぜ、そんなマクロがこんな地球に。」

「そもそもただのエナジープランが地球に入れるはずがありません。エナジーを発すると地球は認識できませんので。」

「それを分析、解明できるほどのマクロが三体の中に。恐ろしい。」

会議で集まっている50名ほどのおじさんたちは恐怖で震えた。

そんな中、この地下会議場の地上で大きな物音があった。

ドン!!

「何事だ!!」

「侵入者です!!皆様、お逃げください。グフ。」

「皆さん、シールドを強化してください!!地上に避難しますよ!!」

「待て。俺も話がしたかった。」

地上から、生身の拳でこの地下会議場まで破壊し、降りてきたまこ。

降りてくるエナジー部隊の警備部隊の者たちは、まこに襲いかかり、無惨にも殴り殺されている。

「おい。お前ら。エナジーを出さない方がいい。死ぬぞ。」

「ヒィぃぃい~。化け物~!!殺せ~!!」

エナジー部隊の精鋭20人がこの会議場に待機しており、全てがまこに襲いかかった。

「ヴュックジャガ(電撃)!!」

「アギャ(炎)!!」
「バンビスポート(爆撃)!!」

バリバリ!!

ボンボン!!

ドカンドカン!!

一斉に性質系のエナジーマジックをまこにくらわせた。

くらわせたはずなのに、まこには攻撃が届かない。

それどころか、精鋭20人はいきなり、頭が破裂した。

パンパンパンパンパン!!!!!

ドシュー!!

会議室は血まみれになった。

つづく。
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