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かけおち悪女、提案をされる
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しかし、わたくしはまた、ケンゴと会うことになります。
それは、エルネストから、全く予想もできないようなことを提案されたからです。
『僕には、好きな女性が別にいる。その女性…マーガレットも、君と同じ国の人間だ。しかし、僕の婚約者にするためにはいささか爵位が低すぎる。しかし、君にも好きな男がいるらしいな?
どうだろう、僕達が好きな人と結ばれるために、協力し合う気はあるか?』
それが、わたくしが異世界追放された……いえ、してもらった理由です。
わたくしは、隣国の王子という婚約者がいながらも、平民と浮気をする『悪女』になる。
そして、異世界追放される…。
しかし、この国では一般的に、異世界追放=死を意味します。
1億もある異世界のうち、人間が生きられるような世界は10ほどしかないという考えがあったからです。
よほどの運が無い限り、人間が生きられないような世界へ飛ばされ、たどり着いた瞬間に死んでしまうということでした。
しかし、隣国ができあがってから1番の魔力保有者であり、異世界についての研究をしているエルネストいわく、それは全くのデタラメらしいのです。
ただ、確かに、人間が生きられない世界もあります。
けれど、研究の結果、安全な世界だけ…もっと言えば、ある特定の世界へとワープできる調節方法が見つかったそうです。
この調節方法で、わたくしとケンゴが同じ世界へと飛ばされ、結ばれます。
つまり、異世界追放という名の『かけおち』です。
そして、残ったエルネストは、浮気をしたわたくし達に激怒するフリをして、裏切ったこの国への戦争を仄めかせ…しかし、マーガレットと結婚ができるならば許す、という対応をとるのです。
隣国の王と王妃や、こちらの国の王が、どういった対応を取るかは分かりません。
けれど、そういった細かい部分は僕がなんとかするから任せてくれ…とエルネストは言いました。
これでわたくしたちの恋が叶います。
しかし、これらの話が終わった後、エルネストは真剣な顔で問いました。
『ワープする世界は、特定できる。だが今の所…辿り着く時代までは、調整できない。2人を同じ世界へ飛ばしても、バラバラの時代へ辿り着いてしまう可能性も高い。それでも……この案に乗るか?できれば、君だけの気持ちを聞きたい。』
これを聞いた私は、けれどどうしても1人で決めきれず、ケンゴへ相談したのです。
自分は不安である、けれど、この世界にいて、アナタと会えないのも辛い、と。
泣きながらそう話したわたくしに、ケンゴは言いました。
『僕は、たとえ1%でもカトリアと結ばれる可能性があるなら、それに賭けるよ。だって、君と結ばれない世界なんて……僕にはいらないから。』
それは、エルネストから、全く予想もできないようなことを提案されたからです。
『僕には、好きな女性が別にいる。その女性…マーガレットも、君と同じ国の人間だ。しかし、僕の婚約者にするためにはいささか爵位が低すぎる。しかし、君にも好きな男がいるらしいな?
どうだろう、僕達が好きな人と結ばれるために、協力し合う気はあるか?』
それが、わたくしが異世界追放された……いえ、してもらった理由です。
わたくしは、隣国の王子という婚約者がいながらも、平民と浮気をする『悪女』になる。
そして、異世界追放される…。
しかし、この国では一般的に、異世界追放=死を意味します。
1億もある異世界のうち、人間が生きられるような世界は10ほどしかないという考えがあったからです。
よほどの運が無い限り、人間が生きられないような世界へ飛ばされ、たどり着いた瞬間に死んでしまうということでした。
しかし、隣国ができあがってから1番の魔力保有者であり、異世界についての研究をしているエルネストいわく、それは全くのデタラメらしいのです。
ただ、確かに、人間が生きられない世界もあります。
けれど、研究の結果、安全な世界だけ…もっと言えば、ある特定の世界へとワープできる調節方法が見つかったそうです。
この調節方法で、わたくしとケンゴが同じ世界へと飛ばされ、結ばれます。
つまり、異世界追放という名の『かけおち』です。
そして、残ったエルネストは、浮気をしたわたくし達に激怒するフリをして、裏切ったこの国への戦争を仄めかせ…しかし、マーガレットと結婚ができるならば許す、という対応をとるのです。
隣国の王と王妃や、こちらの国の王が、どういった対応を取るかは分かりません。
けれど、そういった細かい部分は僕がなんとかするから任せてくれ…とエルネストは言いました。
これでわたくしたちの恋が叶います。
しかし、これらの話が終わった後、エルネストは真剣な顔で問いました。
『ワープする世界は、特定できる。だが今の所…辿り着く時代までは、調整できない。2人を同じ世界へ飛ばしても、バラバラの時代へ辿り着いてしまう可能性も高い。それでも……この案に乗るか?できれば、君だけの気持ちを聞きたい。』
これを聞いた私は、けれどどうしても1人で決めきれず、ケンゴへ相談したのです。
自分は不安である、けれど、この世界にいて、アナタと会えないのも辛い、と。
泣きながらそう話したわたくしに、ケンゴは言いました。
『僕は、たとえ1%でもカトリアと結ばれる可能性があるなら、それに賭けるよ。だって、君と結ばれない世界なんて……僕にはいらないから。』
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