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7話 かまってちゃん
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いよいよキスとなっても不思議とムラムラもドキドキもワクワクもしなかった。
口髭のある男とキスをするのは初めてだった。
潔癖症の気があるさちこにとってはやはり少なからず抵抗があった。
「ちくちくするね。」
「そう?」
「うん。唇の感触がわかりにくい。」
「ごめんね。今度はちょっと短くしとくから。」
「うん。」
彼は遠慮がちに舌を入れてきたが、さちこ的には全然盛り上がらなかった。
カラオケ同様、可もなく不可もないキスであった。
それよりか少し匂いが気になった。
口臭ではないが、髭に付着した臭いではないかと思った。
部屋を出て会計レジに行った。
彼は2人2時間分3000円を現金で支払った。
さちこは一応今回は半分出そうかと思った。
「いいよ。」
「いいの?ありがとう。」
(その<いいよ>が全然良さそうに見えないところが気を使うんだよな。)
駅に向かった。
店を出ると彼はやっと手を繋いできた。
今回も冷たくて薄い手のひら、貧相な手に胸キュンは起きなかった。
今回も彼は自分の路線の改札口を通り越して
さちこの路線の改札口まで送ってくれた。
「ありがとう。」
「じゃあまたね。」
改札口でのキスはなかったが、
さっきのキスも無難だったので再度したいとは思わなかった。
カラオケの腕前といい、キスの感じといい、
可もなく不可もないセックスなのだろうと思った。
彼は帰り際に<週明けに2回目のワクチンを接種する>と宣言していた。
かなり副反応にビビっていたので
一応接種当日の朝に元気づけるラインを送った。
彼は珍しくさちこから朝ラインがきたので嬉しそうだった。
その夕方<少し熱がある>とラインしてきた。
翌日も聞いてもいないのに自覚症状をラインしてくる。
どこぞの男と同じ現象である。
さちこからすれば、そういう男は心配になるどころか女々しく思えて
心配したくなくなる。
(本当にしんどければ誰にもLINEできないと思う。
そんなに心配してほしいのか?
かまってちゃんにしか思えない。)
先月も同じような短小の男がいてつい最近ブロックしたところだった。
(だからお前の副反応に興味ないっちゅうねん!
そういうのは嫁に心配してもらえ。)
と何度心の中で突っ込んだことであろう。
「大丈夫?」
(って返すしかないよな。)
「心配してくれてたの?ねえ心配してくれたの?」
(いやいや、お前がそう送って欲しそうに送ってくるから。)
その聞き方が更にうっとーしく感じた。
「そりゃ心配するよ。だって奥さんも接種して寝込んでるって言ってたし、
子供の世話する人いなくなるじゃん。」
「なんだ。そっちか。」
「そっちって何?二人とも副反応で動けなくなったら大変じゃん。」
「俺の心配してくれたのかと思って。そうだったら恋に落ちてたのにな。」
(知るかよ。そんな男に惚れられても嬉しくないし、
その言葉聞いて私は恋に落ちないと思う。)
「ふーん。」
彼の副反応騒ぎは1週間ほど続いた。
口髭のある男とキスをするのは初めてだった。
潔癖症の気があるさちこにとってはやはり少なからず抵抗があった。
「ちくちくするね。」
「そう?」
「うん。唇の感触がわかりにくい。」
「ごめんね。今度はちょっと短くしとくから。」
「うん。」
彼は遠慮がちに舌を入れてきたが、さちこ的には全然盛り上がらなかった。
カラオケ同様、可もなく不可もないキスであった。
それよりか少し匂いが気になった。
口臭ではないが、髭に付着した臭いではないかと思った。
部屋を出て会計レジに行った。
彼は2人2時間分3000円を現金で支払った。
さちこは一応今回は半分出そうかと思った。
「いいよ。」
「いいの?ありがとう。」
(その<いいよ>が全然良さそうに見えないところが気を使うんだよな。)
駅に向かった。
店を出ると彼はやっと手を繋いできた。
今回も冷たくて薄い手のひら、貧相な手に胸キュンは起きなかった。
今回も彼は自分の路線の改札口を通り越して
さちこの路線の改札口まで送ってくれた。
「ありがとう。」
「じゃあまたね。」
改札口でのキスはなかったが、
さっきのキスも無難だったので再度したいとは思わなかった。
カラオケの腕前といい、キスの感じといい、
可もなく不可もないセックスなのだろうと思った。
彼は帰り際に<週明けに2回目のワクチンを接種する>と宣言していた。
かなり副反応にビビっていたので
一応接種当日の朝に元気づけるラインを送った。
彼は珍しくさちこから朝ラインがきたので嬉しそうだった。
その夕方<少し熱がある>とラインしてきた。
翌日も聞いてもいないのに自覚症状をラインしてくる。
どこぞの男と同じ現象である。
さちこからすれば、そういう男は心配になるどころか女々しく思えて
心配したくなくなる。
(本当にしんどければ誰にもLINEできないと思う。
そんなに心配してほしいのか?
かまってちゃんにしか思えない。)
先月も同じような短小の男がいてつい最近ブロックしたところだった。
(だからお前の副反応に興味ないっちゅうねん!
そういうのは嫁に心配してもらえ。)
と何度心の中で突っ込んだことであろう。
「大丈夫?」
(って返すしかないよな。)
「心配してくれてたの?ねえ心配してくれたの?」
(いやいや、お前がそう送って欲しそうに送ってくるから。)
その聞き方が更にうっとーしく感じた。
「そりゃ心配するよ。だって奥さんも接種して寝込んでるって言ってたし、
子供の世話する人いなくなるじゃん。」
「なんだ。そっちか。」
「そっちって何?二人とも副反応で動けなくなったら大変じゃん。」
「俺の心配してくれたのかと思って。そうだったら恋に落ちてたのにな。」
(知るかよ。そんな男に惚れられても嬉しくないし、
その言葉聞いて私は恋に落ちないと思う。)
「ふーん。」
彼の副反応騒ぎは1週間ほど続いた。
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