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10話 カミングアウト
しおりを挟む「もう餃子食べたの?早いね」
「うん、これからデザート。」
「さすがやね。」
「もうめっちゃ硬なってるで。ほら。」
さちこはデニムの上から彼のスタンバイをそっと撫でて確認した。
「デニムだからわかりにくいね。脱いで。」
彼のベルトに手をかけた。
彼がデニムを脱ぐとバランスの悪いドラムスティックの姿が
くっきりとブリーフの上に浮き出ていた。
さちこはその輪郭をなぞりながら言った。
「ほんとだね。舐めてほしい?」
「いや、いい。」
「え?いいの?」
「うん。ベッド行く。」
ベッドの上で彼の独演奏が始まった。
今日は酒を飲んでいなかったが、やはり彼の味わいではいけなかった。
やがて彼は演奏が終わり、
流石に暖房の効いた寝室では暑かったらしく、顔に汗をかいて横たわっていた。
「暑い?暖房消そうか?」
「いや、いいよ。」
「でも顔すごい汗かいてるし。肌着脱いだら?なんで脱がないの?嫌なの?」
「うん。恥ずかしい。」
「恥ずかしいって下半身丸出しにしてるくせに。笑
胸毛はボーボーじゃなさそうやし、刺青でもしてるの?」
「うん。」
「そうなんだ。やっぱりそんなことじゃないかと思った。
どこに入ってるの?見せて。」
「背中。」
「へー。見たい!見たい!見せて!」
彼の背中を起こして肌着をめくりあげた。
背中一面に龍の上に薬師如来様が乗っている和柄だった。
色は入っておらず、明るい紺色で輪郭が描かれている下書きのような絵柄だった。
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