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4話 チャンスをモノにする男

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それから1週間が過ぎた。 
部屋を退居することで管理会社と話していると、
先日修理した時に彼が持ち帰った取り換え前の蛇口が必要かもしれないと
さちこは急に不安に駆られた。 
 
もう修理してから8日目で、蛇口は処分されてるかもしれないけど、
意を決して彼の携帯番号に電話すると機械音が流れた。 
 
「こちらは発信専用ダイアルです。」 
 
仕方ないので会社のサービスセンターに電話した。 
女性が電話に出たので事情を話した。 
 
「確認しますのでしばらくお待ちくださいませ。」 
 
しばらく保留音が流れた後、女性が受話器に戻ってきた。 
 
「お待たせいたしました。 
先日修理に伺った担当者に今連絡を取りましたが、 
後ほどお客様に直接折り返すとのことですので、 
折り返し担当者の方からのお電話をお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」 
「わかりました。ではお願いいたします。」 
 
その晩彼が電話してきた。 
「もしもし?」 
「もしもし~お久しぶりです。こないだはありがとうございました。」 
「こちらこそありがとうございました。」 
「すいません。遅くなって。」 
「いえいえ、お忙しいところすみません。蛇口残ってますかねえ?」 
「たぶん残ってると思うから持っていきます。」 
「ほんとですか?!良かった~。ありがとうございます。」 
「まだ現場なので、残ってるかこれから見てみないとわからんけど。」 
「あ、そうなんですか。」 
「いや、多分残ってるんで、残ってなくてもお話だけでもしたいんで。」 
「え?残ってないんですか?」 
「いや、残ってます。 
まだ仕事なので、遅くなるけど持っていってもいいですか?」 
「残ってるなら。はい。私は夜中起きてるので、 
何時でも構いませんのでよろしくお願いします。」 
「ひょっとしたら残ってないかもしれませんが、
またお話もしたいので行きますね。」 
「え?残ってなかったらわざわざ来てもらうのも悪いですし、
来なくていいですよ。」 
「いや、残ってると思うんで行きます。いいでしょ?」 
「は、はい。」 
 
彼の会いたい感じは伝わってきた。 
さちこも暇を持て余し、話し相手が欲しかったので了承した。
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