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10話(最終話) 言い知れぬ虚無感

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さちこがシャワーから出ると
彼は服を着て身支度を整えていた。

彼はベッドに座りながらさちこが服を着る姿を
まじまじと観察していた。

「何見てるの?」
「いや、別に。」

着替え終わったさちこは彼の隣に座った。

「ん?」
「今日はありがとうございました。」
「うん。ありがとうございました。。。ん?」
「ん?別に。」
「行こうか。」
「うん。」

フロントでキーを返して駅まで歩いた。

「私、どうだった?年相応かなあ?」
「いや、若いんじゃない?」
「肌とか。。。」
「うん。年より若いと思う。」
「幾つぐらいって言えるかなあ?笑」
「30代前半とかじゃない?」
「やった~。じゃあプロフ書き換えようかな。笑」
「俺も35くらいにしたい。」
「全然いけるよ。でも登録した後は変えれないよ。」
「だから一旦退会して
また登録すればいいんでしょ?」
「あ、そっか。」

(っていうか、また登録するんかい!)

「今日のは私はアリやった?ナシやった?」
「そりゃアリでしょ。」
「良かった~。」
「あれはアリでしょ。」
「良かった~。フェチってあるの?」
「ん~脚かな。」
「そうなんだ。」
「脚綺麗だよね。」
「ありがとう。
脚フェチに褒められて光栄ですわ。笑」

(ヒール履いてきた甲斐があった。)

「ねえライン交換しない?」
「いいよ。言うから検索して。」
「うん。」

改札口を入って立ち止まり、ライン交換した。

「じゃあまたね。」
「うん。」

帰り際もあっさりしたものであった。

さちこは帰省土産を一応彼にも買っていて
持ってきていたがなんとなく渡す気にならず
持ち帰った。

ラインも自分から交換しようと言った割には
帰宅後に「今日はありがとう。」
とさえ自分から送る気にならなかった。

さちこは帰りの電車からずっと
なんとも言えない虚無感に駆られていた。

(気持ちのない相手とは例えイケメンでも
セックスが気持ち良かったとしても
後でこんなにも虚しくなるものなのか。

膣もまあまあ気持ちよかったし、
前戯もきちんとしてくれてたし、
なのになんなんだろうか。。。この虚無感。。。)

前に第一彼氏が言っていた。
「風俗は終わった後の虚無感が半端無いから
もう行かないことにしたんだ。」

そんな虚無感にしているのかもしれない。

「相性が合えば好きになる」ということも
今回の彼にはなさそうだ。

だからと言って
セフレとしてキープしたいかと言えば
そうも思わない。

おそらくさちこからみると
彼の人間性に深みを感じられないからかもしれない。
彼は一般的にヤリモクと
倦厭されがちな類の人種っぽいが
性格が悪いとも思わないし、
嫌な奴とまでは思わない。
ただ彼に好奇心が湧かないからなのかもしれない。

さちこは帰宅後、湯船に塩を入れて浸かった。
セックスした後に塩風呂に浸かろうとするのは
相手に対してどう思っているかの
一種のバロメーターである。

さちこは彼とセックスしたことによって
受け取りたくない何かを感じたからである。

そして風呂から上がって
お気に入りのベテランAV男優、
田淵正浩さんの動画でオナニーした。

なんとなくこういう時は
おじさん男優の動画で癒されたかった。



翌日の晩、彼からお礼のラインがきた。

「昨日はありがとうございました。
また会えるといいですね。」

(向こうからメッセージを送ってきてくれるのは
ありがたいが、その他人事のような言い方。。。
きっとそういうところなんだろうな。。。)

「こちらこそ昨日は気持ち良かったです。
ありがとうございました。
はい、またお会いできるのを楽しみにしています。」

社交辞令には社交辞令で返した。

「今度はハプバーに行きましょう。」

(。。。。。
確かにハプバーに興味あるって言ったけど
なんとなくオメエとは
行きたいと思わないんだよなあ。)

「そだね~。笑」

時間をあけて当たり障りのない言葉で返信した。

(彼は超イケメンだし、
性格が悪いわけでもなさそうだ。
女性に対してオラオラ系でもないし
高飛車でもない。

ただ自分の男に対しての好みが
うるさくなっただけかもしれない。

今後この人と(友達としても)付き合って
自分が楽しいかどうか、
有意義な時間を送れるか否かは
なんとなく想像できるようになった。

はっきりしているのは、
次、性感マッサージを頼むとしたら
もっと色気のあるプロフェッショナルな
やらしいおじさんに本格的なのをお願いしたい。)

そう思うさちこであった。




友介さん、いろんな学びをありがとう。

彼に幸あれ。

最後まで読んで下さってありがとうございました。
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