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61話 えなりかずきみたいな喋り方ゆえの無言セックス

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彼は激しく腰を突き動かした。
さちこは彼に上半身をぎゅっと抱き寄せられて
ガンガン突かれると物理的に息が苦しくなった。
途切れ途切れに発する自分の喘ぎ声が色っぽく感じさちこは陶酔していた。

「あ。。。あ。。。あ。。。ん。。。あ。。。あーん。。。あああ。。。」

いいところで彼は一旦竿を外した。

「ちょっと休憩。」
「うん。」

彼の体は代謝がよく、背中にぐっしょり汗をかいている。

「寒くない?」
「うん。大丈夫。えなり君暑いでしょ?こんなに汗かいて。
暖房きってもいいよ。」
「大丈夫。」

さちこは巻いていたバスタオルを彼の背中に回して、
抱き合った状態で背中の汗を拭いてあげた。
彼は右隣になだれ込んで横たわりさちこの顔中にキスをしてきた。

「鼻だけ冷たいね。」
「うん。鼻高いから。笑 
私、自分の顔の中で鼻が一番好きなの。
鼻の穴の形めっちゃきれいなんだから。見て見て。笑」
「ほんとだね。笑」

彼はびっしょり濡れた顔を寄せてさちこの顔に汗をつけた。
ただ大仏君のような弾力はないのでさちこはそれほど不快ではなかった。

「ごめんね、汗いっぱいついちゃたでしょ。」

そう言いながらバスタオルでさちこの顔をぬぐった。

「えなり君って、いつから私とやりたかったの?」
「初めてチューした時ぐらいじゃないかな。」
「じゃあずいぶん前だよね。
でもそのあとキスもしなくなったじゃん?なんで?
もう気持ちが覚めたのかと思ってた。」
「ずっとしたかったけど、そういうタイミングがなかったしさ。」
「ふーん、そうなんだ。
でもかわいいねとか、好きだよって言ってくれないよね。笑」
「それはね、、、あれですよ。
そういうのを言うとね、またややこしくなるでしょ?
あなたには社会的ステータスがあるんだから。」
「そーなんだ。でもエッチの時は言ってほしいな。
無言ってなんか変な感じがする。」
「え?エッチの時は普通無言でしょ?かわいいねとか言う奴いるの?」

(最近の人みんな言ってくれるけどなあ。)

「うん、けっこういるよ。
普通言うんじゃない?何も言わない人のが珍しい。」
「えー言わないよ。だってしゃべったら気がそれるじゃん。
この行為自体が会話なんだから言葉はいらないんだよ。」

(あんたの顔で無言だったら自己陶酔しなきゃいけないから
こっちは結構大変なんだよ。笑)

「じゃあ気持ちよくなって、
気持ちいいって言うのとかは言わない方がいいの?邪魔?」
「いや、それは言ってくれたらこっちは。
あ、そこがいいんだなってわかるし、ありがたいよ。
でもそれは確認の意味で嬉しいってことで、別に息づかいだけでもわかるし、
無理に言わなくてもいいよ。」
「ふーん。」

(だからあのニンマリした表情で時折見つめてくるのか。
その方が気が逸れるけど。)

「俺の場合はしゃべると萎えちゃうから。
無言でこの行為に全神経を集中したいわけ。」
「ふーん。」

(まあえなりかずきだからな。確かに聞く方も萎えるかも。笑
結局自分のスタイル貫きたいんだね。歩み寄りはないんだね。)
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